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ゲームの原作に描かれなかった結末に関して

結論から言ってしまえば、オカルト研究会の面々は救えた。

彼らは事の顛末やら、悪魔召喚の結末やらを知らないそうなので伝えると、難しい顔で一頻り唸った後、

「ありがとうございました」


と言って何処かに出掛けてしまった。

彼らがまた、悪魔を召喚するのかはわかんない。彼らが全員生き残っていたとして、書かれた原作はないのだから。

ただ、次現れたらどうするか、と聞かれたから、次も当然邪魔してやる、と答えてやった。すると、ならば隠れてやるしかありませんな、と冗談っぽく答えていたから、大丈夫だと信じたい。


俺の朝は早い。いや、元々は夜型だったけど、この世界に来てから5時30分には起きるようになった。

窓から光が差し込み、太陽に向かってうーん、と一伸び。


今日は祝日であり、昨日の疲れを癒すためふて寝している気であったが、やめた。フィリップが珍しく朝早くから起きているらしく、床の布団が空だったからだ。


どうやら、部屋にはいないらしいが、ゴーマン君だったら、きっと起床時間すら従者と競っていただろうから。


何もしないのも気持ちわるいもので、昨日の4限以降のノートを綺麗に写し直すことにする。あの後、眠気と真剣に戦い抜いた俺は本当に偉いと思う。


4時間程経った頃であろうか。とっくに写したノートを覚えていると、急にドアがノックされる。

フィリップかと思って、出てみるとリラとミハネだった。

「やっはー。はよー」

「……お、おはよ」


リラは黒い丈の長いワンピース(というかイブニングドレス?)を着て、肩で揃えた黒髪の一房のサイドテールにしている。黒の革靴からは白いソックスが見えている。

ミハネは赤いリボンで髪を2つに結び(くくってはいない)、赤色にアクセントとして黒が入るチェックのシャツの上に薄黄色の半袖を着合わせ、下は短いジーンズに焦げ茶のブーツという格好だ。

二人とも、CG鑑賞で見たことがある、とてもセンスのいい、よそ行きの服で決めて来ている。


なお、他の文化がどれだけ劣っていようと、衣類の文化が進んでいることに突っ込んではいけない。


Q.休日によそ行きの服で女の子達(・・・・)が部屋に来ました。何をしに来たでしょう?

A.ファッションショー?


「……二人ともよく似合ってるな」

「ほ、本当?」

「ああ、リラは髪と服の色彩、それに雪膚と評するに値する肌に白い靴下という白黒の組み合わせが、どことなく古風で個性的な印象を醸し出している。

ミハネはもともと中身も外見も活動的で明るいから、そういうカジュアルな格好は直球に魅力を存分に出してい……」


ここで、気付いた。


……何で素を出してるんですか、私は☆


ええ。ええ。基本、彼らとは敵同士ですよ。いや、昨日の共闘?


命を救うために仕方なくですねぇ……ええ、わかっています。好感度を下げなければ、ですねぇ。

……………………チェンジ!フォルムゴーマンモードッ!

「ふ、ふん……二人とも可愛いではないか」

それからフンッ、と鼻を鳴らして目をそらす。


よしっ!トチらなかった!行動も完璧!!夜中の喜劇も無駄じゃぁなかった!!

ふっ……俺だって着実に成長して……


……ん?



って、どあほぉぉぉおおおお!


口調が変わってもデレちゃ駄目だろぉぉがよぉぉぉおおお!

成長の後がみえる分余計痛々しいわぁぁぁああああ!


あ、その後の目を反らす動作も、鼻を鳴らす動作もそれっぽい。それっぽい、けど間違っている!


相手も受け流してくれればいいのに、顔を真っ赤にして固まっているし!

リラにいたっては俯いたまま動かなくなっている!


何、この初々しいカップリング効果!

だ、駄目だ、何か意識が朦朧として……理性が……!


その時、神が救いの手を差し伸べてくれたのか、大きな声が部屋の窓から響いてきた。

俺は野性から解放され、窓辺へ急ぐ。二人もこの空気から解放されたかったのか、何かな、と呟きながら続く。

カリガラスがつくれないため、窓は木製だ。その木製の窓を押して開け放つ。


すると、その大きな声は鮮明に聞こえてくる。何やら、聞き覚えのある声が多数……


「はっはっはっはっはははっは!!あーはははっははははっは!!はーはははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっははははっはは!」

「おらぁ!まだまだぁ!」


……寮の裏で騒音をたてていたのは、朝から姿の見えなかったフィリップとオカルト研究会の皆様だった。


「フィリップ。何をしている」

「あ、ゴーマン様。見ての通り、ファンクラブの活動です」


…………………………WHAT?


「……ファンクラブ?誰の?」

「へぇ!題してゴーマンファンクラブ!

今朝発足したんです。今は憧れのゴーマン様に少しでも近付こうと、闇夜のゴーマン様を真似したんです!なぁ、皆」

「「「「スッ!!」」」」

「ちなみに俺は会長ッス!!」


あはは、最近難聴かなぁ。あり得ない単語を聞いた気がするよ。フィリップ。君が掲げている旗の上部につけられているシンボル、っぽいの。誰がモデルだい?何か身近な誰かなような気がするんだ。というか、朝から帰ってこないと思ったら何してんだよ。あと、皆さん。あの時の俺は真剣にやっていたけれど、誰かに見られたこと自体黒歴史だからやめれ。というか、オカルト研究会の皆様。あなた達、意外と体育会系なのですね?

「あー、なんであんな奴にファンクラブができんだよ」

「つーか、うるせぇ。どうだっていいだろあんな奴!」

「ははっ。どうせ金で買ったんじゃねぇの」

「ありえる!貴族様だしな!」


下の窓からくる、貴族批判がカッコいいとか勘違いしている学生の声。それを聞いて、なんだか腹の下から湧き出るものがあった。


あーあーあーあー!また、敵ができた。本当にこの世界は上手くいかねぇなぁ!


俺はなんだか清々しくて馬鹿馬鹿しくて、腹を捩って笑ってしまう。


都合よくいかない、けれど少しは報われる。そんな不条理で不合理で不完全な世界が俺は好きなのだ。

誰よりも傲慢に幸せを望み、誰よりも嫉妬深く、誰よりも強欲で、誰よりも幸せをたらふく食べたくて、そのくせ怠惰に過ごしたいのに。我ながら狂っている。

「おらぁ!ゴーマン様応援歌第一弾!いくぞっ!

ゴーマン、ゴーマン!」

「「「「ゴーマン!ゴーマン!ゴーマン!ゴーマン!ゴーマン!ゴーマン!」」」」


立てた両腕を上下に振り、まるでエーリ○を連呼する時みたいな動きを皆でやっている。

いや、ただ地団駄を踏んでいるようにも見えるが。明日以降、これもどう解散させるか考えないといけないだろう。笑いすぎた影響の涙目でその光景を見ていると、ちょんちょん、と肩を突かれる。

「どうした?」


そこにいるのはリラとミハネ。主人公様とヒロイン様。

……あれ、そういえばこのゲーム百合が出来た気も。俺とフィリップ以外の男っ気もないみたいだし……まさかねぇ?


そんなバカなことを考えていると彼女たちは頷きあって俺から数歩離れる。

それから、両手を振り上げて外の連中バカどものマネを始める。

「……ゴ、ゴーマン、ゴーマン」

「ゴーマン、ゴーマン!」


リラは恥ずかしげに、ミハネは飛び跳ねるようにして、俺の名前を連呼する。

その掛け声は何を伝えたいのかはわからない。でも、きっと冷やかしや、遊びではなく真剣にエールを送っているんだろう。ほら、心がほんわか温かくなっていく。


……こんな風に憎めないと、イラついてしょうがないな。


仕方ない。今日だけはゴーマン君じゃなくて、普通の男の子として接してあげよう。


右手はミハネの頭の上に、左手をリラの頭の上においてゆっくりと撫でる。

別にテクニックとかはないが、(ウブ)な二人は照れた顔でこちらを見てくる。


ドキリ、とした。

「「「あぅ」」」


3人の声が重なる。

うぅ。認めてやるよ。ミハネは可愛い。リラも可愛い。少なくとも俺が冷静を保てなくなる程には可愛い。


これでまた一歩、生き延びる可能性が遠ざかったかもしれない。けれど、俺は悪くない。可愛い過ぎるコイツらが悪いのだ。


だから、腹いせ混じりに、現実世界に帰って掲示板にスレッドをたてている妄想でもしよう。


タイトルは……そうだな。


ゲームの主人公がイラついてしょうがない件に関して


精々ディスられてくれ、主人公♪


ゴーマン、ゴーマン、ゴーマン、ゴーマン!!

そういうノリが好きな作者です。なお、ニックやブックも絡ませようかと思ってやめました。


あと、活動報告にも書きましたが、4月までお休みします。

○○か月投稿されていません、と表示されるのは嫌なので、次の登場人物紹介で一応完結設定にしておきます。

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