灯
「灯、ごめんね。」「由乃・・・・。本当に行っちゃうの?」「うん。引っ越しても電車で三十分ぐらいの所なんだから、何時でも会えるよ。」「由乃・・・・・。」・・・・・・夢・・・・・。久しぶりに由乃の夢を見た。
【岸谷由乃】それが、彼女の名前。由乃とは、高校一年の時に同じクラスになり、二人とも動物好きで好きな音楽も一緒だったから、すぐに打ち解けた。高校を卒業するまで、違うクラスになってもそれは変わらなかった。
卒業して直ぐに由乃は、隣り町へ引っ越してしまい、別々の大学に通うようになってからは、夏休みとお正月ぐらいしか会う事はなかった。今年も碧や結翔、太一達と龍頭神社に初詣に行って以来、メールも電話も、来る回数が減って来た。もしかしたら、付き合ってる人でもいるのかな。由乃は綺麗だし、充分有りえるかもーと一人、ほくそ笑みながら長くてサラサラとした彼女の黒髪を思い出していた。
ティンタァントゥン・・ティンタァトゥン・・その時、私の携帯が鳴った。由乃からの久しぶりのメールだった。「灯、元気?中々連絡出来なくて御免ね。今年も夏休みに皆で神社のお祭りに行くのかな。その時は、私の事も誘ってね。」と言う内容だった。直ぐに私は、お祭りで会える日を楽しみにしてるねと、返信した。あの日、あの祭りの日。私の全てが変わった。そして、彼女もまた・・・・・。




