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春一と凛は、それぞれ授業が終わった丈、琉妃香と落ち合った。春一はそこで凛を二人に紹介して、一緒に食堂まで行った。
「ここのオムライスはお勧めだよ」
「へぇ。じゃあ、オムライスにしようかな」
琉妃香の勧めに応じて、凛は早速食券を買い求めた。春一達もそれぞれ好きなものの食券を買う。中に入ってテーブルにつき、食事が到着するのを待つ。
「凛は何で転入してきたんだ?」
水を飲みながら、春一が凛に尋ねる。丈と琉妃香も興味津々に転入生を見ている。凛はちょっと困ったように笑って、「引っ越したんだ」と答えた。
「ふぅん。どうせなら最初っから来ればよかったのに」
「急に決まったことだったから」
その後、運ばれてきた料理を食べ、食事を済ませた四人は、また授業へと散って行った。
「なぁ、凛。わかってるよな?」
「大学変えたくらいで俺らから逃げれると思ってんなよ?」
「はい、二択。煙草押し付けられるのと、金出すの、どっちがいい?」
夕方から夜へと変わった、そんな時間。北神大学近郊の公園では、凛が三人の男に囲まれていた。その内一人には目前に煙草を構えられていた。
「今日は、お金、持ってないんだ」
凛が恐る恐る言うと、男達は舌打ちをして、煙草を吸っていた男が迷わず凛の顔に煙草を押し付けた。凛の悲鳴が公園内に木霊する。
「何でかしんねーけど、お前はすぐ治っちゃうからな。こっちはやりたい放題だぜ」
「はい、もっかい二択。殴られるのと金出すの、どっちがいい?」
凛は溢れだす涙をぬぐうことすらできずに、胸倉を掴まれた。ふるふると首を振ると、容赦ない拳が彼の頬を打ち据えた。
「ダメだ、コイツ今日は金持ってねーよ」
「んじゃ適当に痛めつけて終わりにするか」
男はペッと煙草を吐き捨てると、倒れた凛の腹に蹴りを打ち込んだ。それを皮切りに、何重もの蹴りが凛の体にめり込んだ。
凛は男達が去った後も、公園で蹲り、ただ涙を流した。