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TRUMPⅢ  作者: 四季 華
第8章
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 突然笑い始めた春一に、三人は呆気に取られている。春一は笑いを抑えられない様子で、夏輝と黒牙を見た。

「秋志って、そういえばつまんねーギャグが好きだったんだよな」

「わかりやすいように頼みます」

「そう急かすなって、夏。考えてみろよ。黒牙と光牙だぜ?」

 春一がそう言うと、夏輝は小さく噴き出した。

「ハル、くだらないですよ」

「考えたのは俺じゃねぇよ」

 その会話に取り残された黒牙が、控えめに話しかける。

「春一さん、夏輝さん、おれは学がないからわかんないんですけど、どういうことですか?」

 やっと笑うのをやめた春一が、光牙の顔を見て微笑む。

「光牙、英語のお勉強だ。『黒』は英語でなんて言うか知ってるか?」

「知ってる!『ブラック』だ」

「そう。よくできたな。んじゃ黒牙、『光』は英語で?」

「えっと、『ライト』……あぁっ!」

「な、くだらないだろ?」

「ねぇ、どういう意味?」

 光牙が春一の袖を引っ張る。春一は光牙をひょいと抱きかかえて膝の上に乗せた。

「光牙、ブラックライトって知ってるか?」

「なあに、それ?」

「蛍光インクで書いた文字は、目には見えない。だけど、それをブラックライトっていう特殊なライトで照らすと、その文字が見えるんだ。最近はライトも手に入りやすいから、現代版のあぶり出しってところかな」

「へぇ~」

「確か家にライトあったから持ってくるわ。ちょっと待ってて」

 そう言い残した春一は、約十五分後、黒牙の家に戻ってきた。

「さ、行くぜ」

 春一が紙にブラックライトを当てる。すると、そこには英字の文章が浮かび上がった。それを春一が読み上げる。

「『You can do it.Don’t cost much.』これが、秋志からのメッセージだ」

「『君ならできる。そんなに難しいことじゃない』ですね。黒牙さんに宛てて、秋志さんが書いたものです」

「秋志さん……」

「気楽に行けってことだな。秋志は、黒牙を信じてた」

 その言葉に、黒牙が長い溜息を吐き出す。込み上げるものを必死に抑えているのだろう。

「さて、探偵の仕事は終わりだ。帰ろうか、ワトソン君?」

「そうですね、ホームズ」

 春一はソファから立ち上がって、夏輝と共にドアへと足を向けた。

「春一さん、ありがとうございました」

 黒牙の礼に、春一は片手を上げた。

「Take it easy」

 そう言い残して、立ち去った。



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