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TRUMPⅢ  作者: 四季 華
第8章
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「とりあえずね」

 春一はソファの上でふんぞり返ったまま、話し始めた。その紙を人差し指と中指で挟んでひらひらと振っている。

「この白い紙は多分、秋志からのエールだと思うよ。白は秋志のラッキーカラーなんだよ」

「白が?何でですか?」

「白秋って言うだろ?春は青、夏は朱、秋は白という風に、季節には色がついている。秋志はその名の通り秋だから、あいつのラッキーカラーは白なんだ。だから白い紙をお守りに入れてたんだと思う。実際、あいつ交通安全のお守りの中に白い紙入れてたし」

「へぇ~」

「ただ……」

「メッセージ、というのが、いまいち解せませんね」

 春一の後を夏輝が引き継ぐ。春一は彼を指さして頷いた。


「それと、そこにどう光牙が関係してくるのかも」

 黒牙の言葉に春一はまた一つ頷いて、両手を合わせて親指の付け根を顎の所に持ってきた。何度となく紙を見回すが、何もわからない。

「この紙にメッセージが書いてあるようには見えないんだけどなぁ……」

 春一が独り言のようにつぶやく。その独り言に反応したのは、夏輝だった。

「昔はよくあぶり出しとかやりましたけどね」

「あぶり出しか、懐かしいな」

 春一と夏輝、それに黒牙はうんうんと頷いているが、光牙は何のことかと首をかしげている。

「何?あぶり出しって」

 光牙が尋ねると、春一は驚いた様子で長く息を吐き出した。

「そうか。今の子供達は知らないのか。昔は流行ったんだけどな」

「今やると少し時代遅れな気がしますね」

「ねぇ、あぶり出しって何?」

 その問いに、春一は光牙に目線を合わせて答えた。

「柑橘類の汁とかで、紙に文字を書くんだ。そんで、その紙の下から火であぶる。そうすると、書いた文字が浮かび上がる。昔は年賀状とかよくそうやって送ったんだ」

「へぇ~」

 光牙が目をキラキラと輝かせて話を聞いている。春一はそんな光牙の頭を撫ぜた。彼は子供が好きだ。

「じゃあ、これも?」

 黒牙が春一の持つ件の紙を指差して言う。しかしその言葉に春一は首を振る。

「あぶり出しの効果は持ったとして一、二年。お守りなんて滅多に開けるものじゃないし、何年越しかのメッセージを伝えるために使うには適さない」

「確かに」

 結局手詰まりか、と全員が再び沈黙した時、突如として春一が大きな笑い声を上げた。

「あっはっは!バッカみてー」

「どうしたんですか?ハル」

「わかったよ。犯人はお前だ、って言えないのが残念だ」



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