表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TRUMPⅢ  作者: 四季 華
第7章
35/48

7-2

7-2


 春一の不機嫌さと言ったら、この世にある言葉の全てを出し尽くしても表せられないほどだ。今日の試合は、ACLに出場するためにも、そして何より優勝するためにも絶対勝たなければならないゲームだった。相手は最下位だし、こちらのホーム。手堅く勝ち点3を取る予定だった。

 前半はステッレ優勢で折り返した。後半になると、ステッレの花形ストライカーで、得点王を狙っている選手が素晴らしいミドルシュートを決め、ステッレサポーターは一気に活気づいた。このまま二点目もそう遠くないと思われたが、最下位には最下位なりの意地があった。

 後半も時間が少なくなってきたところで、相手のFWがコーナーキックからのヘディングシュートを決めた。それで調子が出てきたアーレック姉崎は、後半ロスタイムに追加点を決めた。そして試合終了のホイッスル。勝負とは時に奇跡を生み、特に残虐なものである。


 春一はスタジアムから家に着くまで、苛々しっ放しだった。そのせいで車の運転も荒くなる。いつもはあまりしないのだが、家の駐車場に停める時、一回フカした。

 家に入り、いつものようにダイニングに行く。首に巻いていたタオルをソファに投げつけ、ユニフォームも脱いでその辺へ投げ捨てる。

「ハル、お帰りなさい」

 夏輝の言葉にも反応をせず、そのまま自分の部屋に戻ろうとした時。


 春一は、殴り飛ばされた。


「イッテェ……。夏!どういうつもり……だ?」

 夏輝に文句を言おうかと顔を上げた春一の表情が見る見るうちに混乱で染まる。

「ひどいですね、ハル。父親の顔を忘れるなんて」

 春一は殴られた痛みも忘れ、自分を見下ろしている父親を見た。

「な……何で、親父!?」

「全く、イラつくのは勝手ですが、それを他人に当たり散らすなんて感心できませんねぇ。ハル、直すようにしてください」

「アメリカの大学にいるはずじゃあ……」

「学会が日本であるので、帰ってきたんですよ。尤も、明日の朝には発ちますけどね」

 何も言えない春一に、父親はニコリとほほ笑んだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ