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TRUMPⅢ  作者: 四季 華
第5章
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5-1

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 中学三年生になるまでに、春一、丈、琉妃香の三人は数々の喧嘩を買ってきた。それは彼らを「不良」と位置付けるには十分であり、世間が彼らに冷たく接する理由としては頷けるものだった。今まで友達だった者の目は冷たく、態度は余所余所しくなった。

 しかしそれは、必然的に三人が結束するという結果になった。それぞれがそれぞれの拠り所に。いつの間にか三人だけでいるのが普通になっていた。

 学校はいつしか行かなくなり、昼夜三人で行動するのが当たり前になった。

 だが、彼らは決して自ら喧嘩を売ったことはない。こちら側から手を出すことなどいくらでもあるが、彼らが喧嘩をする時と言えば、相手が誰かを虐げている時や、向こうが三人の内の誰かに手を出そうとした時だけだ。喧嘩を売られても基本的には相手をしなかったが、相手が誰かに手を出そうとすると(特に琉妃香)糸がいとも簡単に切れるため、すぐ喧嘩に発展した。

 煙草も酒もやらなかった。元々、「トランプ」なんて名前を付けられるのも不本意だった。有名になればなるほど、敵は増えた。そのたびに誤解は増えた。

 警察の厄介になることも珍しくはなかった……どころか、むしろ常連だった。年も増すごとにそれは多くなり、本格味を帯びてきた。

 警察に連れて行かれそうになると、春一と丈はまず琉妃香を逃がした。琉妃香は常々不平を言っていた。自分だけ助かるのは不公平だと。しかし、二人は頑として聞き入れなかった。琉妃香は絶対捕まらせたくない。それが二人の願いで、琉妃香は二人が一度決めたことを譲らないということを知っていたし、何度講義しても無駄だった。故に、トランプが三人組だということを知っている人間は少ない。彼らと直接会っていなければ知らないだろう。

「またお前らか!」

「うっせーな、こっちだって来たかねーよ!テメーらが連れてくんだろが!」

「そーだヨ!来てほしくなかったら連れてくんのやめりゃいいじゃねーカ!」

 警察署の少年課で、椅子にふんぞり返って座り、文句を垂れる二人に刑事は机をドンと叩いた。

「オメーら静かにしやがれ!」

「じゃあまずテメーが静かにしろよ!」

「黙らせてやんカ!」

「んだと!」

 いつものやり取りが続いたある日。いつもとは違う光景がそこに介入してきた。

「おうおう、威勢のいい奴らだな。聞くまでもなく元気だな」

「誰だテメー!」

「俺らに何の用だヨ!」

「ちったぁ落ち着けよ……。俺は秋志。少年課の刑事よ」

 それが、初めての出会いだった。



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