表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TRUMPⅢ  作者: 四季 華
第4章
19/48

4-4

4-4


 春一が病院から知らせを受けて飛んでいくと、ベッドには傷だらけの夏輝が寝ていた。まだ意識は戻らないらしい。

 春一はベッドの脇にヘルメットを置いて、椅子に腰かけた。ギシ、と椅子が軋む音やけにうるさく聞こえる。

 しばらく座っていると、部屋のドアがノックされて、医師と看護師が入ってきた。春一は立って会釈して、医師の言葉を待った。

「同居人の方ですか?」

「はい」

 医師は頷いて、傷の具合を話し始めた。

「内臓や脳に損傷はありませんが、打撲がひどく、肋骨と鎖骨を骨折しています。意識はもう少しで戻るでしょう」

「そうですか。ありがとうございます」

 春一が頭を下げると、医師は軽く頭を下げて部屋から出て行った。

 それからしばらくすると、夏輝が軽い呻き声を上げた。春一はすぐに立ち上がってベッドのそばに寄った。

「ハ……ル」

「夏、大丈夫か?」

「はい……。すみません、車を壊してしまいました……」

「お前な、こんな時になんだけど、殴るぞ?んなことどうだっていいっての。……無事で良かった……!」

 心から安堵の表情を浮かべる春一に、夏輝は「すみません」という言葉を発しかけて飲み込んだ。

「ハル、今回の事件ですが……」

「事件のことは忘れろ。今のお前は妖万屋である前に患者なんだから」

「いえ、言わせてください。私はハルの助手ですから」

「お前ってそういう所頑固だよねー」

 春一はため息をついて、頭をぼりぼりと掻いた。少し躊躇った後、「聞こう」と言った。

 夏輝は自分が見たものの全てを春一に話した。妖怪の乗る白いシルビア、そしてそれが不自然なほど暗い闇に消えたこと、事故をした後に走り去るシルビアを見たこと、一つの情報も漏らさず、詳細を伝えた。

「わかった。お前の調査結果は無駄にしねぇ。後は俺に任せて、療養しろ」

「はい、ありがとうございます」

 春一は頷いて、ヘルメットを手にした。

「また来るよ、じゃあな」

 それだけ言って、彼は部屋を出た。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ