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TRUMPⅢ  作者: 四季 華
第2章
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2-4

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 その日の帰り道、凛は春一達とは別方向のため、一人で歩いていた。すると、後ろからバイクの爆音が近づいてきた。まさかと思い振り返ると、凛の願いもむなしく、昨日も来た三人組だった。

「凛ちゃーん、ちょっとツラ貸して?」

 言われるがままに昨日と同じ公園に連れて行かれ、恐怖に身を縮まらせていたら、肩をドンと押されてフェンスに叩きつけられた。

「で、金は用意したんだよな?」

「昨日はなかったけど、今日はあるんだよねー?」

「俺らもそんな気ぃ長い方じゃねぇから、そろそろ出しといた方がいいよ?」

 にやにやしながらにじり寄ってくる三人に、凛はカタカタと肩を震わせながら、喉の奥から声を絞り出した。

「きょ、今日もないよ……」

「ああ!?」

 一人がガシャン、とフェンスを蹴って脅すと、もう一人が凛の胸倉を掴んで立たせた。そして思い切り殴る。

 再びフェンスに叩きつけられた凛は、ぽろぽろと涙を流しながら、頬の痛みと口の中に広がる鉄の味に必死に耐えていた。

「凛、いい加減にしろよ!」

「いや~、あのゼファーとケッチシブいね~」

「「「「……。!?」」」」

 突然全く違う声が介入してきた。しかし、三人組の後ろから現れた当の人物はいい天気でも眺めるようにバイクを遠巻きに眺めている。

「で、お前らだな、俺らのダチを恐喝してるってのは。あのねー、いい年こいてやることがこすい。大学生なら自分で働いて稼ぎなさい。お母さん泣いてるよ?」

「何だお前!」

「だから凛のダチだって。さっき言ったじゃん。質問のレベルが低次すぎる」

「ああっ!?」

 一人が春一の胸倉を掴む。そのまま殴らんばかりの勢いだ。

「あのさ、服伸びるから離してくれる?」

「ふざけんなっ!」

 春一を殴ろうと腕を引いた瞬間、横から春一の左手がフックのようにやってきて、そのまま頭を掴み、その勢いで頭を地面に叩きつけた。

「がっ……」

「離してって、言ったよね?」

 春一の冷たい台詞がその場の空気を凍らせる。凛も、残りの二人も固まっている。

「どうする、凛?俺がその気になれば、残りの二人も片付けれるけど、やっちゃおうか?」

「ああ?」

「ちょっと黙ってろよ。俺今凛と話してんだろ」

「なっ、テメッ」

 春一に手で制され、口では突っかかるものの、いざ行動に出そうとすると地に沈んだ仲間を見てしまう。目の前の男は確実に自分たちよりも強い。

「何ならお前がこいつら殴ってもいいんだぜ?今までの仕返ししてやれよ」

「え……」

「お前が遭ってきた目をこいつらに味わわせてやるんだ」



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