2-3
2-3
次の日は、数学系の一般教養科目で凛と春一達が全員一緒になった。一限目の授業で、始業まではあと三十分強ある。凛は笑顔で三人と再会した。
「よう、凛」
春一が大あくびをしながら凛の横に座る。丈と琉妃香は一段下の席に座って、凛に朝の挨拶をした。
「おはよう」
「凛、何かあったのか?」
「え?」
春一の突然の問いに、凛は一瞬きょとんとした。意味が分からず呆けていると、春一がポリポリと頭を掻いて溜息を吐き出した。
「まぁ会って二日の奴に言いたくはねーかもしんねーけど、何かあったなら言えよ?」
「う、うん……」
自分が問題を抱えていることは、春一にはお見通しだったらしい。しかし凛は友人になったばかりの春一達に迷惑をかけることもできず、歯切れの悪い返事をして黙った。
「もし、ダチに迷惑かけるのが悪いって思ってんなら、そいつは考え過ぎってやつだぜ。迷惑かけるからこそ、ダチって言えるんだろうが」
またも見透かされていた。凛は遂に何も言えなくなって、ただ俯いた。
「まぁ、そんなに重く考えんなよ。もしダチだからってとこで萎縮してんなら、俺に依頼をすればいい」
「依頼?」
「俺は妖万屋だぜ?妖からの依頼を遂行するのが仕事だ」
「あ……」
そう言われると納得してしまう。凛は心の中で葛藤をしつつも、このことはいつまでも自分一人で抱え込むわけにもいかないと思い、事情を春一達に話すことにした。
「前の大学で一緒だった人達なんだけど……」
「成程ねぇ。そいつはちょっとばかし可愛げがねぇ遊びだな」
「大学を変えたのも、それが理由なんだ。ここまで追ってくるとは思わなくて……」
「そっか。よし、依頼は引き受けた。そいつらを黙らせればいいんだな?」
「で、でも、怖い人達だから、危ないよ?」
「修羅場なら潜り慣れてるんだよ」
二カッと自信満々で笑う春一に、凛は安心感を覚えて笑顔で頷き返した。