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第二話 夢

 俺は、預けられたの裏の道場で夜俺を預かってくれている夫婦から『授業』を受けていた。

 その『授業』は学校ではけして教えてくれないことだ。

 父も教えてくれなかった。

 父が教えてくれたのは、俺が父の仕事を理解するために必要な最低限の知識だけだった。

 しかし、夫婦はそれ以上の知識と体の使い方を教えてくれた。


 『力』を持つものが、たとえ術者にならなくても必要な知識だけで膨大な量であった。

 それには、筆記用具は必要なくただ、口答のみで伝えられた。


 そして、呼吸の仕方から教わる体の使い方。

 体の中に流れる『気』のめぐり。

 それを感じていかなければならない。


 でもそれを俺は喜んで受け入れた。

 父に憧れていた。

 父を尊敬していた。

 父が羨ましかった。


 父に近づけている。

 それが嬉しかった。

 それだけで良かった。

 一流の術者になろうとは思わない。

 父と肩を並べようとも思わない。

 ただ、ただ父と同じ世界を見たいのだ。

 そこに居たいのだ。




「お前の『力視(ちからみ)』をすることになった」

「『力視』、ですか?」

 修行を始めて十月ほどたったある日、突然に言われた。

「そうだ」

「『力視』って言うのはね、『霊力』があると確定した人間全てが受けてるものなの」

「それでどの程度『力』があるか『視る』ことになる」

 夫婦が交代に俺に説明をしてくれた。

「それが終われば、私は、術者になれますか?」


 父と同じように。


「術者になれるほどの『力』があればな」

「何度か挑戦できるから、気楽にやっていいのよ」

「ああ、緊張しすぎて『力視』が上手くいかず、術者になれる実力があるのになれなかった例も過去にはあるからな」

 道にのりはまだまだ遠いらしい。

「はい。分かりました」

「それまでは、一人で今までのことを復習していてね」

「一人で?」

「そうだ、その時になれば同行する術者が色々お膳立てをするが、一人で全てをこなさなければならない」

「そのために少し、一人になれておきなさい」

「はい。分かりました」

「どうしてもの時は声をかけていい。しかし」

「私たちからは声をかけることは無いわ。覚えておいて」

「はい」


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