第3章 アイラの夢と王子一行
主人公・ユナム(男/16歳)は、ランク2となり、夢を確かめに行って、ホントに遭遇した相手に加勢する。
大けがを負った仲間の代わりにと、ユナムを誘う相手が、この国の王子だった事に驚く。
共に行くか?という選択に迷っていた。
ふかふかのベッドで寝た際に、夢を見る・・・・。
・・・俺は、夢を見ていた。思い出の・・
唐突に見る、あの・・自分が居ないけど、リアルな夢じゃなく・・・
昔の・・子供の頃の夢。
幼馴染の少女・アイラ。町の他の同年代に比べて、やや小柄で、光に照らされると赤っぽく光る髪。長いのは好きじゃないと、肩くらいの髪にしていた。
いつか、アソオス王子が旅立つ時、共に王子の護衛になれるよう・・日々、訓練していた。他の子どもが親の仕事を手伝ってる中、俺たちだけは戦う訓練と旅の知識を学んでいた。
アイラはドジな所もあるけど、器用に立ち回れる奴だった。
ある日、俺たちは・・初歩の魔法を習った。
ほんの小さな火種を作るだけの。旅の中で野営しないといけない時、簡単に火を付ける為の初歩魔法。魔力乏しくても使えるとして、誰でも習う。
適性があれば、他の属性も使えるとか言ってた。
・・・俺に魔法の才能は・・・・あんま無い気がしている。
でも、アイラは風の魔法も初歩のだけど、ついでのように覚えていた。
差が開く一方だな・・と少し感じていた。
魔法が使えるようになったのが嬉しかった俺は、当時(10歳頃)・・
や ら か し た 事が・・ある。
先生となってくれた、元冒険者で魔法使いだった母から・・魔法は、便利だけど場所や相手を選ぶもの・・・と学んでいた・・はず・・・・だった。
でも、その時の俺は、ただ『魔法が使えるようになった』事に興奮して
・・・場所を選ばず、アイラと話しながらの帰り道でボッと火を出してしまった。そこへ突然突風が吹き、気づいたら出したはずの火は見当たらない。
直後、アイラが俺を呼び、屋根の上を指さす!
屋根が燃えてる! しかも、風で飛ばされた部分、全部に火の手がっ!
俺は慌てた。消し方を知らないっ!!
その時、アイラがクティノス家(牧場主)の井戸から水を汲んで!と言うまま、俺は水を汲む。
アイラ「その水をこっち投げて!」
は?ってな顔をしてた俺を急かす様に「早く!」と言うから、思いっきり水をぶっかける勢いで出す。
アイラは、その水を得意の風魔法で、屋根の上へと運び、消す。
これを繰り返そうって言うのだ。
近くで働いてた人達も、火事騒ぎに駆け付け、みんなで消火作業して・・
大火事になる前に消せたから、ホッとしたのも束の間・・・・。
・・・母は、鬼の形相で俺の名を呼ぶ・・・・ひぃ・・
思い出しただけでも、あの時の恐怖が蘇る。
母だけじゃなく、町長や父や・・もう、町のみんなが俺を叱る。
当時は、まだ木造で建てられた家ばかりだったから、本当に注意しないといけなかった。でも、俺を叱った後で、アイラとの連携は良かったとか、木造じゃなく、ギルドを作って職人呼んで家を建て替えようとかって話になっていた。
こってり怒られた俺は、半泣きしながら、家の裏手で座り込んでた。
2人の連携・・? 違う。あれはアイラが機転を利かせてくれたお陰。
俺は、自分でもこんなに弱かったのかってくらい、凹んだ。
足音が聞こえた瞬間、すぐ涙を拭う。
振り返ると、アイラが居た。何しに来たんだよってな感じで俺が言うと、アイラは今日の事はお互い、教訓にしようよ・・・と。
俺「教訓って・・それは俺だけだろ」
アイラは首を振る。
アイラ「私も気を付ける。魔法は使い方間違えたら”危ない”って事・・・よくわかったし」
確かにな。 でも・・・その時の俺は、かなり沈んでたらしく・・
今にして思えば、恥ずかしいけど・・・アイラに泣き言を言った。
俺「こんなそそっかしい奴が王子の護衛じゃ、迷惑かけるし・・やっぱ俺・・・・」と言ってたら、アイラが遮った。
アイラ「何言ってんの⁈ これから気を付ければ良いだけじゃん!」
でも・・という俺にアイラは首傷めそうなくらい、横にぶんぶん振る。
アイラ「ユナムは、きっと王子の護衛になれるよ!絶対!」
・・・。
アイラ「だって、あんたは同じ失敗は繰り返さないもの! 間違えても、それに気付けて次はしない!だから、きっと大丈夫だよ!!」
俺の心に、温かいモノが宿った気がした。
・・・・そんな夢を見た。
宿でのベッドが快適過ぎて、ぐっすり眠れた。
王子は王子でも、レスカテ王子。
でも、ココで別れたら・・・きっと、もう会えない。
次にどこかで遭遇しても、仲間になれないような気がした。
と、ノックの音。
宿の人のようで、朝食が用意されてるから、食堂に来て欲しいと言われる。
・・・飯付きか・・王子泊ってるもんな・・・。
と、着替えて降りて行く。
王子たちは、居なかった。
他の客と共に、遅めの朝食を食べる。美味い!
そして、装備を整える頃・・また宿の人が来て『ロビーで待ってる』との伝言を聞く。きっと王子たちだ。返事をしないと。
俺の心は、もう決まっていた。
ロビーに居る3人と挨拶をし、王子が口を開く。
王子「答えは決まったか?」
俺「はい。一緒に行きます!よろしくお願いします!」と一礼した。
3人はお互い顔を見合わせ、微笑む。
オリクト「歓迎するぞ!少年!」
ルア「よろしくね」
王子「では、今後の目的地について話すから、座ってくれ」
王子は、旅立ったばかりなので、まだこのレスカテ城下町から出ていない。
他所へ向かおうとした矢先に、ギルド長からの依頼で・・あの、見慣れない魔物の討伐に向かったって話。ギルド長には、もっとランクの高い人に頼むようにと伝えて、他へやっと行けるようになったんだ。
王子は、俺に「知ってるか?」と儀式の事を聞くから、俺は知ってる範囲で答えると・・「なら、細かい説明は省くぞ」って目的地について、話始める。
次なる目的地は、アソオス国。
レスカテ国の西大陸にある大きな国だ。
岩場と砂漠地帯と砂地地帯(砂漠とは違い緑地もある)があり、ほぼ砂の国。
しかし、技術力が高く・・海や地底深くの水を汲み上げて使ってるらしい。
俺も、まだ行った事の無い場所だから、よく知らないけど・・・。
町長の家にあった、世界地図や国の資料とかで、なんとなくは知ってる程度。
王子が言うには、そのアソオス国には、有名な塔があるが、そこではなく・・途中の山岳地帯のどこかに”試練の場”があるらしい。
とにかく、まずはアソオス国に向かう必要がある。
王子「まずは西門を抜け、アルメハの港へ向かう。そこから船に乗り・・」
ルア「アソオス国へ渡る・・・と」
王子は、うなづく。
そして、おもむろに立ち上がり「行くぞ!」と言い宿を後にした。
オリクトさんが、ついて来いよと手招きしてくれたので、遅れずついて行けてる。途中ギルドでパーティ編成し、俺も王子メンバーとなる。
そして、西門(ランク2で通行可能)を抜け、街道を通る。
ココからは、街道とはいえ魔物が出る事もある。特に夜は増えるから注意って言われる。それは習ってたから知ってたけど、ひとまず「はい」とだけ答えた。
夕方頃には、港に到着。
王子たちが強いので、道中の魔物退治は、楽 出来た。
しかも、港まで順調・・と言いたいが、実は・・・・・
街道途中でケガをした商人を見つける。
護衛も無く、自分の町へ戻る所だったらしい。
商人でも戦える人は居るけど、稀だ。
普通は冒険者ギルドで雇って、護衛してもらうのが一般的なんだけど・・。
その商人の周りには3人の遺体が。
かなり若い冒険者って印象を受けた。俺と大差ない年齢なんじゃないかと思う。確かに魔物は倒してくれたものの、亡くなってしまい、道中の安全確保の為の魔法壁のアイテムも底をつく所だった時に、遭遇。
商人の持つ、光ってるアクセサリーを狙って、鳥系の魔物が襲って来たのを退治。安全の為にと王子は、護衛を買って出る。
ルアさんが、先を急ぐべきだ・・とか、港へ連れて行こうと言ったが、王子は商人の目的の町へ送り届けると聞かない。
オリクトさんは、王子に従うって言う。俺も、その方が良いって思うって言うと・・深いため息の後「仕方ないですね・・」とルアさんも一緒に商人を町まで送り届けた。
もちろん、商人のケガはルアさんが、治してたけど。
港とは正反対の位置にある、アルツナイの町へ到着すると・・商人は深々とお辞儀をして、王子に「お好きな情報を教えましょう」・・・という。
アソオス王子たちの動向・アルツナイの町近く(町と港の間)にある、洞窟の情報・アソオス国の塔についての最新情報・・のどれか。
それに回復薬や細々としたものも補充した。
まだ日が高かったので、そのまま港へ向かって・・・・今に至る。
王子「ひとまず、宿へ行くぞ」
王子の一声で、宿へ向かう。
港では、商人ギルド運営の”商館”と呼ばれる建物がでんっと建っていて、その中に、宿屋も飯屋も武器・防具・道具・・となんでも揃ってた。
商館内を巡るのは、後回しでまずは宿が空いてるかを確認する。大部屋しかなかったが、部屋の隅にベッドをひとつ置き、結界を張って・・ルアさんは、そこで寝るらしい。
その後は、自由行動。
翌朝、海を渡りアソオス国へ。
港から出ないって条件で、うろついた。
真っ暗になるのかと思ってたけど、港は遅くまで灯りがついていた。
王子やオリクトさんは商館内の飯屋でご飯を食べていた所に遭遇し、一緒に食事をとる。
王子は、ランクの低い俺を気遣ってくれる。
剣士としては、成長してるものの・・まだまだ追い付かないな…と思う。
でも、着実にレベルアップは出来てるし・・次にギルドへ行けたら、ランクアップ出来るようにしておきたいと思った。
王子たちと他愛もない話をして「そろそろ寝ましょうかね」ってオリクト。
・・・さん・・って付けて呼んだら「オリクト・・でイイ」と言われたから。
宿の部屋に戻ると、ルアさんはもう眠ってるようだった。
俺たちも眠る。
明日は、いよいよ、初の船に乗って・・アソオス国かぁ・・・
やべっ・・興奮してると眠れないぞ・・・
・・まずは、寝よう。
・・・・・・・アイラのやつ・・今頃、どこで何してんだろ?・・
その日は、道中がわりとハードだったのか・・夢も見ずにぐっすり眠った。
眩しい日差しを目に感じて、眩しい光の中、うっすらと目を開く。
ルア「ユナム!もう朝よ!起きて!!」と起こされる。
王子も、オリクトも起こされてる。
ルア「私は一足先に港へ行って、乗船チケット買っておきますから、すぐ来て下さいね!!」
と、行ってしまった。
いつもの日常らしい。
今までは、一人だったから、わりとダラダラ過ごしてたけど、これからは朝・・たたき起こされるのか・・と思いながら、支度を整える頃には、船の汽笛が鳴っている。
慌てて商館を飛び出し、やや怒り気味のルアさんをなだめながら、船に乗り込むのだった。
いよいよか・・・アソオス国♪ 楽しみだぜっ
王子に同行する事にしたユナム。王子の最初の目的地へと向かう為、港から船に乗り・・アソオス国へ。
船旅内で聞ける話や遭遇する人たち。次回は、船の上~次なる港まで。
《商人ギルドと商館》
<商人ギルド>
・基本、どこのギルドでも登録可能(ギルド長不在でも可能)
・ランクアップの概念も無く、そもそも”ランク”と言わない。
・登録する事での恩恵は、アイテム入手しやすい・安く買える・貴重品入手・魔物素材高価買取など
・ギルドにより様々だが、商人ギルドで求めてるアイテムをどれか1つ渡す事で稀なアイテムと交換出来る。登録証無いと交換は利用出来ない。
・商人でないと、入れない店やダンジョン(魔物が出る所含む)も存在する。
・商人ギルドの長は、大抵商人ギルド内には居ない。その町で一番大きな商館に居る。
・商人ギルドの長に金を払えばどんな情報も買える・・・・らしい。
<商館>
・商人ギルドが運営元
・定住している商人たちの店が集まってる建物
・どなたでも利用可能
・置かれてる町によって品揃えが変化するが、商人証を持ってるとレアなアイテムなどや情報も提供してくれる。もちろん・・金はかかるが。
ちなみに、レスカテ王子一行のルアは、商人証を持ってるので、基本は素材換金はルアが行っている。
商人にはランクは無いものの、ギルドが欲しがるアイテムを渡していく事で信用値が溜まり、実は勝手にランクアップしてるような状態となっていて、特殊な店などにも入れるようになる。
ちなみに、商人証の名称は花の名前らしい。それが変化してるとランクが上がってる・・という仕組み。




