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第17章 誇り

なんとか無事にフィエルテ城へ辿り着き、山の中を通って儀式の入口へ辿り着く。途中で拾った鍵で、光る文様の下に扉が現れ、それぞれ・・入って行く。


 俺は、気が付くと・・・昔の木造の建物が並ぶ、キニゴスの町に居た・・・


 俺は・・・ 呆 気 に、取られていた・・・。


   なんで、 コ コ なんだ?


 「ねぇ、ユナム・・・」という声に、勢いよく・・振り返る!



 俺の目の前には・・・・子供の頃の・・・ 俺 が居た。


 「ねぇ、覚えてる? あの日の・・・ボヤ騒ぎを・・・・」



ボヤ騒ぎ・・・。

 それは小さい頃・・まだ、魔法を覚えたての時に やらかした・・アレか?



 突然・・場面が変わり‥‥風であおられた小さな火が、家の屋根までの壁や、荷車の干し草まで‥燃やしていた・・あの日の事。


 忘 れ て な い 。



 アイラの機転で、近所の家の井戸から 水を汲んで、アイラに投げ、それをアイラが器用に風魔法で浮かせて・・・・消したんだ。


最後は周囲に居た大人たちが、みんなで消して‥なんとかなったアレ・・だよな?


 「そうだよ」


 「君は、あの日・・・どうして火なんて出したの?」


それは・・ただ、魔法が使えるようになった事が…単純に嬉しくて・・・





「あの日、アイラは 冴えていたよね。覚えたての魔法で、空へ飛ばすなんて。しかも、水なんて・・そう簡単に 扱 え る も の じゃないと思うんだけど?」



・・・確かに・・・そう・・・だよな・・・。


今にして思えば、どうして・・そんなに 簡単に 出来たんだ?




 「アイラには、特別な力が‥あったでしょ?」


確かに『フェイン』って、先読みの力(少し先の未来が見える)が、ある。




 「そう。あの帰り道を歩いていたら、アイラには‥見えたんだ・・」


 俺が、や ら か す って事を?






 「ううん。自分が・・・燃 え て し ま う 所 を・・・」

は?!どういう事だよ?!! 


 「アイラが見てる世界は、自分に”降りかかる災い”を、見ているんだ。だから、なぜ燃えたのか、最初は 分からない」



 どうやら、アイラのフェインは・・

① アイラに[衝撃的な事が起こった瞬間]が見える

② その後、巻き戻るように順に‥出来事が見える

③ 原因となるキッカケが見える・・この時には、すでに‥俺が火を出した辺りになってるらしい。今回の話の場合は。



だから、起こる出来事を知っているから、対処出来たって話だけど・・。


 「もしも、あの時・・・アイラに、そういうのが 見 え て なかったら ?」



・・・え・・・・?・・・・





 「君は…アイラが指示しなければ、行動出来なかったよね?」


・・・・あぁ・・・うん・・・・・・





 「アイラが見えて無ければ、アイラは…もう・・居 な か っ た よ・・・」


胸が苦しい。


  なんだ・・これ?・・・息苦しい・・・。


もしかして、ボヤじゃなく・・町が燃えてたかも・・知れない・・・。



 アイラの機転・・だけじゃなく、アイラ自身が自分を守る行動をしてたから・・必死でやってたから・・出来た・・・事・・・・だったんだ・・・。


俺は、力抜けて・・・地面に・・膝から落ちて、両手をついた・・・



 

・・風が吹いて、目の前が変わっていく・・・・。





 今度は・・・ここも、見た事がある場所だ・・・・・。


冒険者になりたてで、試しの洞窟に入ったんだ。

でも・・ランク1の場所じゃない?・・・え・・周りの景色が‥流れていく。


消えない魔物の死骸・・・その先で、戦ってる人物たち・・・!



 「さぁ、次だよ」


この場面は・・・見たんだ・・・夢で。



 俺の特殊(固有)スキル・・ミルゼアの力が発動して・・・見た・・夢。


俺が登場しないけど、リアルな・・・夢。



 「君は ど う し て 、この場所へ…行ったんだい?」


どうしてって・・・・夢にしてはリアルだったし・・父さんの時と同じになるのは‥‥って思ったし・・・夢なら、夢だった・・って、確認したくて・・。




 「君が行かなくても…良かったんだよ。もしかしたら、別の人がその場に現れてたかも・・・」


ギルドで…王子たちの儀式の旅を邪魔したんじゃないか?とか、ギルドでも人をつのって向かおうか・・みたいな事も、実は…前日・・・ギルド内で聞いていた。


・・・聞いていたけど、夢のインパクトが強くて・・・・・





 「まぁ君が、もしも…行かなかったら・・・・こう、なっていただろうね」



 そうして見せられたのは、ソールさんが亡くなった事に全員が悲しみ、3人だけで旅を続け・・・アソオスでの儀式を受けて・・・・


 同時期の俺は・・・王子たちの儀式は他人事で、『炎竜』で活躍する少女の名前がアイラと知り・・・・悔しさや無力感、疎外感を感じて、冒険者としての旅も・・味気ないもの・・・と、思ってる顔になっている・・・。



 今みたいに、王子や仲間との絆も信頼も無く・・・。

アイラやアソオス王子たちとの共闘も無く・・・気ままな冒険でも、満たされなかっただろうな・・って思った。




 ヒュウウゥゥゥゥ~・・



今度は、何も見えなくなった。 真 っ 暗 。






 「君はさ、君が選択してきた事が、正しいって、そう思っているよね?」


・・うん・・まぁな・・・・。




 「でもきっと、相手からしたら・・正解って、思ってない事もあるんじゃない?」



 アイラが、目の前に現れる!


共闘前の、ピンチを助けた場面・・・俺が咄嗟に駆けつけたから・・・助かった・・・みたいなシーンだ。


アイラ「ユナム…私の事、甘く見過ぎじゃない? 塔に来てからずっと、何度もピンチはあったわ!でも、仲間や王子と乗り越えてきたのよ!」


 そりゃ・・・そう・・だな。


アイラ「だから、あの時だって・・傷がすぐ治るような魔法をステッラさんに事前に使ってもらってたから、数秒あれば回復したのに!!」


 だって、そんな事・・知らないし・・・・。


心配して探して、やっと見つけて・・・ってタイミングで、そんな事考えれなかったよ!


アイラ「あんたって、いっつもそう! 私ひとりで出来るのに、余計な事するんだから!」


 なんだよ・・・アイラは、文句 言い過ぎ! 素直に礼 言えばいいじゃんか!



アイラ「あんたの選択は、間違ってたかも 知れないって事よ!」


・・・・・・・・・。





 「もしも、夢を話してなかったら…塔へは・・行かなかったね」


でも言った。最悪、自分ひとりでも・・・行く・・・つもりでいた。




 「王子に話して、信じてもらえない未来も・・きっとあったね」


あぁ。だけど、王子も みんなも、一緒に来てくれたんだ。


あの時の王子の選択まで否定するようなら、アイラだろうが、アソオス王子だろうが、俺が・・許さない!!


 アイラは、怒り顔から・・ふっと笑って‥消えた・・・・。





 そしてまた、何も無い・・・黒いだけの空間が広がり・・・


 子供時代の俺が、話かけてくる。



 「君は・・・この先、どう 生 き る の ?」


 俺は・・・レスカテ王子の旅を、見届けるよ。




立ち上がり、服を整え・・・俺自身を見つめ・・・


 「俺は・・・」





 うっすらと、光に映し出される扉が見える。

ドアノブに手をかけ、開く。その光の中を・・・進む。


 後ろで・・・・「それが、君の”フィエルテ”なんだね・・・」


そう聞こえると、誰かの気配を感じる。

眩しかったせいで腕で視界を遮りつつ、歩いてたから・・その腕を下げる。


 王子「‥ユナムも、戻って来たか」

 ルア「あとは、オリクトだけですね」そう言った直後にすぐ、光の中からオリクトが出てきた。こんな風に出てきたのか・・俺も。


オリクト「げぇ・・俺が最後かよ…。お待たせしてしまって すみません、王子」

 王子「大丈夫だ。そこまで待ってない」


全員が揃ったのを見て、マルモアが 王子の前へ来て、手を差し出す。


そこには、長方形で緑色の紙が置かれている。


・・・・証か?


王子は、それを受け取りアイテム袋に仕舞う。

 ルア「来た道を・・戻れば‥いいのかしら?」


 『いいえ。こちらから、お進みください』

と、綺麗で鮮やかな青の扉が出現する。


 王子は、俺たちを見て・・お互い、うなづき・・一緒に戻る。



 ガチャリと・・・開けて出た先は・・・・・・



 「おう!戻ったな!!」と、王様の声。


え?!・・ここ、謁見の間?! つか、こんな所に扉は、無かったような?


俺らが全員出ると・・・扉は消えて無くなってしまった・・・・。


 王「無事に儀式終わったようだな!鍵を見つけるのは、苦労したか?」と、なんだか楽しそうに話かけてくる・・・。


 俺たちは、王に報告し・・儀式の証を差し出すと、またあの呪文・・


 王「アコルダール・レ・アムレート!」


紙はくるくると巻かれ、光となって・・また、王子の胸の奥へと消える。


 安堵の溜息が、全員から出る。


 王「儀式は終了だ。次へ向かうが良い!・・と言いたい所だが、今日はもう‥城で休んでいけ!」と、案内された部屋へ。

大きめの広さの寝室に、個室でベッドの部屋が‥併設されている。


  ルア「今回は、趣向が違って・・最初は 焦りましたよ」

オリクト「あぁ・・そうだな・・頭使うのは、苦手なのによ・・・」

  王子「この国らしいと言えば、らしい儀式だったな」

   俺「みなさんのは、どういう感じだったんですか?」

と、なんの気なしに聞いたけど・・・・。


 一瞬 みんな・・黙ってしまう。


え?・・・聞いたらダメだったかな?


 王子「自身の内面と…向き合わされたな・・」

王子の一言に尽きる・・と、俺は思った。


何十年も前は、” 儀 式 ” と言えば、魔物と戦うのが一般的だったそうだが、ちからを示すとは、腕力や体力自慢では無いのだからと、当時の<賢王けんおう>が、国ごとの特色を出すような儀式にしようって事にして、今の儀式までの道のりまでもが『儀式』として考えられるようになったそうだ。



 ルア「今日は、ゆっくり休みましょう」

オリクト「俺は、町を見に行きますぜ。王子も一緒に行きますか?ユナムは?」


 王子「俺は・・いい。行ってこい」

  俺「俺も・・・今は、いいや」

オリクト「つれねーなー・・ま、いっか。じゃ、行ってきますぜ」


と、オリクトは・・出て行った。 城の入口は、開いたのか?


 2人の王子が儀式を終えたんだし、開いたよな・・。


夕方、気になった俺は・・ちょっと城の中を探検させてもらっていた。

途中・・王様とすれ違い、王子たちを 呼べ と言われる。


部屋に戻ると、オリクトも戻ってきていて、王から呼ばれてると伝えると、ルアさんも一緒に王の所へ・・・。何かと思えば・・晩餐メシだった。


かなり、豪勢ごうせいな食事をして・・王 自ら語る 武 勇 伝 や、レスカテ王の儀式での話などを聞き、楽しく過ごし・・・部屋に戻って、ふっかふかな布団で眠ってしまう。


・・・次は、どこへ・・行くのだろう?





翌日。


朝食も、朝から元気な王様と、一緒に食事した。


その後・・挨拶をして、次の場所へ向かう事を話すと、王子に軽くて丈夫な鎧(マント付き・白い・魔法文様が刺繍されている)をくれたので、王子はさっそく、装備していた。服装にも合うし、より王子らしい見た目になった。


・・ここ最近、寒かったから防寒具で・・王子も”冒険者みたいな見ため”だったもんな・・・。


 儀式の褒美にと、用意されていたんだ。しかも・・・いや、その話は・・今度で、いいか。


ルアさんの魔法陣で、スリート港へ・・・戻った。

そして、今度こそ…コロモス国へと渡る、船に乗り込んだ。


寒かったけど、無事に儀式も終わったし、次は・・森の国か・・・。

今度は、どんな儀式になるんだろうか?


なんて事を思いながら、遠のくフィエルテ国と、その象徴の霊峰に積もる雪を見て…今回の旅を・・思い出して・・・

【キニゴスの町】主人公・ユナム や 幼馴染・アイラの出身町。レスカテ城下町の目と鼻の先くらいに近い場所にある農作地が多い町。


【フィエルテ国の儀式】個別儀式・その心にある誇りの形が文様と色になって現れ、扉の先で自分の過去・現在を振り返る。この時出る案内係は、入った者の姿で、氷竜の思念が宿る。それぞれの信念・覚悟・思考・誇りを読み取り、合格すれば入口と反対側に出る。見ためは変わらないので、入った所に戻ってると錯覚する。儀式が終われば扉が出て王の間まですぐなのだが、アソオス王子のグループは、全員揃うと来た道を引き返して・・。


【フェイン(先見)】アイラ・特殊(固有)スキルの名称。10歳前後で覚醒していた。

少し先の未来や動きがわかるものと伝えられてきたが、本当は自身に降りかかる災いを見て驚き、巻き戻るかのごとく段階を見て、起点となる場面で現実に戻る。巻き戻る中で慌てたせいで風魔法を上手く操れず、燃える事になってた事で、必死になった為、解決出来た事が何度もあった。


【ミルゼア(予知夢)】ユナム・特殊(固有)スキル

予知夢という形で自分の登場しない誰かが重傷を負う悪夢を見る。夢と割り切って行動した先には、必ず誰かが亡くなる未来へ繋がっている。が、ユナム自身は、行動する以外でそれを知るすべはない。


次回・・コロモス国での儀式へ向かう、王子一行。はてさて、今度は‥どうなる事やら?

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