第16章 霊峰・コレリック山
関所から引き返し、町に戻って町長の家から、地下道へ降りて進む。
明らかに、今までと違う作りの出口に辿り着いたユナムたちは・・・・
重い音を響かせ・・少し厚めの床板を持ち上げるオリクトに、王子も俺も手伝う。
少し持ち上げると、ふいに・・ガチャッ と音が鳴り、床板はその場で固定したようだった。ルアさんまで出てきたら、オリクトが床板を戻して閉じてた。
周囲を見回すが、兵に 囲 ま れ て は・・・いなかった。
フィエルテ城内は 氷 で作られてるのか?と思うくらいに、透明な青いタイルで覆われている壁が印象的で・・・そして、ひんやりとする・・・冷たい空気に包まれていたんだ。
・・へっ・・くしょんっ!
思った以上の大きな音で、周囲に響く・・・。
「・・・すみません」・・・・・ 俺 でした。
王子「‥まずは、王に会いに行くぞ」小さめに言った王子の声も、大きく響いた。みんなで固まって進む。
王子は、幼い頃にフィエルテ国にも来た事があるとかで、王様が居るだろう部屋へと進んで行くけど・・・。
俺「あの・・直接行って、会えるんですか?」
ルア「これも、儀式の一環って言うなら、会って下さると思うわ」
2階へ上がっていくと、兵士が入口の大きな扉の両側に立っていた。
俺たちに、気づいて槍を向ける!
瞬間、俺やオリクト、ルアさんが身構える!
王子「3人共、落ち着け」と制止する。
王子が静かに言い、俺たちは構えを解き、武器から手を離した。
王子「レスカテ国、第一王子である。フィエルテ国の儀式を受けに参った。王に、お目通り願いたい!」
兵士も、武器を元の位置に戻し、敬礼した。
兵(右)「承知致しました。お待ちください」
そう言うと、左側の兵士と共に大きな扉を・・同時に開く。
深い緑色の絨毯の先に、少し高くなった段差の上・・王様が居るようだった。
兵(左)「フィエルテ王よ、レスカテ王子一行が‥到着されました!」
兵士は、王子の方へ向き直り、手を動かし「中へどうぞ」と招かれる。
・・・どうやら、俺たちも一緒で いいらしい。
王様の前に王子、後ろに オリクトとルアさん。その後ろに俺の順で膝まづく。
王「よう来た。レスカテ王子よ、久しいな!・・儀式に来たそうだな。道中迷ったか?」
王子は、やや苦笑いしてた感じで・・・答えていた。
王「今、コレリック山の入口の者に伝令を向かわせた。しばし待てよ」
王子「ありがとうございます」
王「そうだ、そなたの前にアソオス王子が来たぞ。けっこう前だったがな」
どうやら、アソオス王子が最初に来たのは…ここ、フィエルテ国だったらしい。
王様の話聞いてたら、アイラが城の中で迷子になってたとか・・・何やってんだよ?あいつ・・。凄く疲れて戻って来た顔をしてた・・・とか言ってる。
え?・・・ここの儀式は ど ん な ・・なんだよ・・・。
そんな話で盛り上がってたら、突然 兵士が来て山の入口(城内からの出入口)へ、案内してくれるという。
王様にお辞儀して、兵士に連れられ・・渡り通路を通り、山に刺さってる・・・ように見える・・いや、ホントは‥山側の空洞になってた所に建物を建てたらしいけど・・・。そこへ向かってる。
渡り通路から少し進んだ先に、また兵士が居た。案内してくれた兵士は、王子に、俺たちに、一礼し・・来た道を戻って行った。
兵士「まず、説明させて頂きます。…お聞きに・・なりますよね?」
と何故か、おずおずと聞いてくる。
オリクト「なんで、そんな風に聞くんだ?」
兵士「いえ、あの‥以前来られた、アソオス王子たちは・・聞かずに入られてしまったので・・・」
俺たちは、それぞれ顔を見合わす。
王子「一応、聞いておこう」という声で、兵士の表情がパァァッと明るくなった。そんなに聞いて欲しかったのか?・・と、ちょっと笑ってしまった。
兵士「最初に、今から入るのが『コレリック山』で儀式への入口は、道なりに進んだ先にございます」
ルア「それは、知ってるわ」
兵士「・・その道中にある、レバーが各所にございますが…決して、動かさないようにお願いします」
オリクト「動かしたら、どうなるんだ?」
兵士「コレリック山の下層へ・・落下 致します」
俺「戻る道は、あるんですよね?」
兵士「はい。それはもちろん・・ございます」
なんだ、それなら別に・・たいして気にしなくても・・・なんて思ってたけど・・・兵士が続ける。
兵士「戻る道は、あります。ただし、戻るまで、相当・・長い時間が、かかると思いますよ。下層は・・ここ中層よりも複雑なので」
あれ?・・・気のせいかな?
オリクト「俺の気のせいか?・・もしかしてアソオス王子たちが、疲れて帰って来たってのは・・・」
うん。俺も思った!
はぁ~と、兵士は「そうなのですよ・・」と、うなだれる。
やっぱり!
ルア「アソオス王子たち、話聞かないで進んで、レバー押して・・辿り着く前に疲れたのね…。きっと、帰りも・・・」
王子「わかった。他に何かあるか?」
兵士「道中のどこかに宝箱があり、その中の 鍵 を、お探し下さい。目的地で必要となります。それから、道中の各所の壁にヒビがあります。簡単に壊せると思いますが・・魔物に不意打ちされぬよう、ご注意下さい。以上となります」
オリクト「鍵探せってよ」
兵士「すみません・・。王のイタズラでして・・・」
なんでも、王から渡すだけじゃ『 つ ま ら な い 』・・って事で、隠す事になったらしい・・・。どんな王だよ・・。
話聞いて、兵士の真横の穴から入って行く。
まずは鍵を探すのと、儀式の場所へ行く事・・だな。
少し歩くと、さっそく・・・赤いレバーがある。
王子「オリクト、ユナム・・・・触るなよ・・」
と、くぎを刺される・・・・。 え? 俺 も??
・・オリクトは、さっそく動かそうとしてたから、バッと腕を頭の方に振り…『何もしてませーん』って顔をした。
わりと一本道みたいに、続いている。所々に、やたらとレバーがある。
時々、階段をのぼっていく。坂の時は・・・滑って、なかなか登れない・・。
先に登ったオリクトが、みんなを引っ張り上げてくれた。
ヒビを見つけてオリクトに割ってもらうと、何かしらのアイテムを見つけたり、魔物が襲い掛かってきたりした。
もちろん、道中も・・氷や水の攻撃してくる魔物が多い。
俺の火の魔法や武器攻撃が効いたようで、そこまで苦戦するような事は無く・・・進んでいけた。
・・・しばらく、歩いていたが・・・・
ルア「行き止まりよ・・どういう事かしら?」
王子「周囲に、ヒビのある場所は・・無いか?!」
みんなで、手分けして探して・・・やや、バラバラになった頃・・
オリクト「王子!ヒビの先に、道が続いてますぜ!」
ルア「良かったわ・・でも、鍵は見つからないわね・・」
横道は、全部・・確認しながら来ている。
だいぶ進んだと思うけど、鍵は 見 当 た ら な い 。
キキーッ!と いきなり、魔物が俺の顔に突撃してきた!
俺「イテッ!・・なんだぁ?」
王子たちが、合流する!
王子「ユナム!無事か?!」
俺「大丈夫です!」
と、降って来たのは・・ヘイル・モルセーゴだった!
集団で襲って来た! でも・・あれ?・・なんか、鍵 持ってる奴居るけど?!
俺「王子! 一匹、鍵持ってる奴が居ます!」
そいつを集中して倒すと、他のが鍵をつかみ・・と繰り返して倒す。
オリクト「確かに、鍵だが・・宝箱に入ってるんじゃなかったのか?」
王子「一応、持っていこう」
そうこうして、作られた石壁の空間に出た。
奥に、人?・・・が、見える。
近づくと、それは声をかけてきた。
『レスカテ王子・・ですね? お待ちしておりました』
・・・人じゃないようだった・・・。
ルア「アルバートルの上位、マルモアだわ」
『さようで、ございます。みなさま、鍵は、見つかりましたか?』
・・・宝箱は、結局無くて・・・見つけてない。
王子は、魔物が持っていた鍵を見せる。
王子「これしか、持ってない」
『拝見致します』と…受け取って、調べてるみたいだ。
『確認出来ました。これで合っております』
すると、壁に灯りが灯ってる所の中央に、見えにくいけど・・・鍵穴がある。
そこへ 鍵をさし・・回す。
壁には、上に5つの、色付きで丸い文様が在ったのが・・1つに重なったかと思うと・・今度は逆に4つになり、等間隔で並んだ。
すると今度は、その丸い文様の下に・・それぞれ・・扉が出現する。
・・・なんだ? え? どれか、選べって事?
『ささ、王子、皆様・・1つ、扉を お 選 び 下さいませ』
王子が、青い文様の前に行くと、文様が明るくなった。
『王子様は、青の文様・・。ささ、皆様も・・どうぞ』
扉は、どこでも良いとかではなく、光らないとダメらしく・・・結局・・・
一番左側 王子(青) / 左側 ルアさん(紫) / 右側 俺(黄色) / 一番右側 オリクト(緑)という並び順になった。
『さぁ、皆様・・準備は、よろしいですか? お覚悟が決まりましたら、扉の先へお進み下さいませ。その先で、お待ち‥しておりますよ』
俺たちは、一斉に・・・扉を開き・・・暗い中へと進んで行く・・・・
暗い・・・とりあえず、進めば・・・いいのか?
前も後ろも・・全然、見えないけど・・・・。
しばらく歩いてると、瞬間的に明るくなる!!眩しい!って目をつぶる!
・・・目が明るさに慣れて・・周りを見渡すと・・・どこだ?ここ・・・
いや、なんか見た事あるぞ・・・。
俺は、室内だと思うこの空間で、風を感じ・・日の暖かさを感じ・・・懐かしさを感じた。
今のキニゴスじゃない。
昔の・・・キニゴスの町が・・・そこに、広がっていた!!
・・なんだ? ここで、何すれば い い の さ ーー?!
俺は、空へ向かって、大声を上げていた!!
【フィエルテ城】分厚い氷を切り出し、積み上げ、雪と水で作り上げられた城。常に氷点下の為・・解ける事は無い。ただし、厚手の服を着なければならず、暖炉も無い(城がとける為)。城下町側の扉は、現在・封鎖中。儀式を盛り上げる為と称して、塞がっているが…実は儀式始まる前に来た寒波で凍り付いてるだけ。氷部分を削ればすぐ扉は開けられる。渡り通路の先に、霊峰・コレリック山があり、その一部に城を組み込み、中から山の中へと繋がる道を作った。
【フィエルテ王】フィエルテ国の王様。
レスカテ王より2つ年上で、その時は1人で各地を巡っていたらしい。イタズラ好きな王様。
【コレリック山】(コレリック=フランス語・短気)
下層・中層・上層とある。下層は、複雑な迷路になっており、そこを根城にしている魔獣が最近城下町へ降りて来てしまい、騎士団が対応している為、下層(主に冒険者の為に開いている)の門を閉めている。中層は、下層から登るか、城内から許可された者だけ通れる。上層は、どこからも繋がってないが、フィエルテの氷竜が居ると伝えられている。なお、中層にある色は様々なレバー(手で掴んで上下に倒すタイプ)を動かすと、必ず(1つ残らず)下層の各所に落下する仕掛け。アソオス王子たちは、なんの気無しに倒して落下→中層に戻り→落下し・・の繰り返しをしていたという。儀式終了直後にアイラがレバーを倒し落下し・・。
【儀式に必要な鍵】儀式が始まると、王の手に出現する鍵。本来は、来た王子に手渡すだけだったが‥。
【ヘイル・モルセーゴ】
(ヘイル=英語・あられ/モルセーゴ=ポルトガル語・コウモリ)
集団で上空から縄張りに入った者を攻撃する魔物。1体では脅威では無いが、超音波による混乱や、氷の粒で攻撃してくる。仲間を呼ぶ為、運が悪いと戦闘が長引く。光るものが好きなので、それが宝箱に入っていようが嗅ぎつけ、足で持っていたりする。
【アルバートル】は、アソオス国で作られる、いわゆるゴーレムの事。
※しゃべる事は無い。
【マルモア】(マルモア=ドイツ語・大理石)
アルバートルの上位種で、室内での運用も可能・言語理解・話す事も可能など、あらゆる機能が高い。アソオス製。
【フィエルテ国の儀式】フィエルテ=誇り。己の誇りを再確認するのが目的。鍵から王子一行のデータを収集していて、それを鍵穴に入れた事で、情報に基づくカラーや文様を表示する。光った先が対応する場所であり、光らない所は開きもしない。最初に5つ並んでたのはアソオス王子たちの儀式の名残が見えていただけ。
次回・・個 別 儀 式 ・・スタート! ユナムは、クリア出来るのか?!




