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第15章 地下道

フィエルテ国へ到着し、寒さに耐えながら町を越え、関所に辿り着いた。


 しかし、どうした事か・・中へと通される気配がない。そんな時・・・・


関所の左側に、夢で見たのと同じ辺りに穴を見つけたオリクトと王子だったけど、俺は嫌な予感がして、すぐ 止めた。


 門の兵士も・・驚いた顔のように見える。


真剣な目で何かを感じ取ってくれたのか・・王子もオリクトも・・

俺の前に座り直した。


オリクト『ユナム・・大きな声出すなよ…バレるだろ・・・』

  俺「オリクト、たぶんあの兵士・・穴の存在を知ってると思うよ」


 一同『!?』


 王子「それで、話というのは何だ?」

  俺「実は・・・夢で、見たんです」


ルアさんも、首だけ向けていたのを体ごと、俺の方へ向き直してた。


 同じ場所・同じ兵士、穴を通った者の悲鳴が聞こえた事を伝える。


 ルア「もしかして・・・」

  俺「たぶんですけど、あの穴通っても・・捕まるとか、関所の向こう側へは行けないんじゃないかって・・・」


 王子「なるほど。安易に行かない方が無難だな」


オリクト「・・じゃあ、どうするんです? ここで待っててもらちあかないと思いますぜ」


 王子「一旦、町へ戻るか・・」

 ルア「そうですね。ギルドで聞き直しましょう」


座り込んでたから、体力も回復してる。

立ち上がり、来た道を引き返す事にした。


距離的には、さほど遠くないので普通に戻る。

日が高くなってきたからか、来た時より滑らないし寒くなかった。


ただ・・ルアさんだけ、照り返しによる日焼けを気にしていたけど・・・。


再び、マラルの町に到着。


今日は良い天気なのに、相変わらず人少ない。昨日ほどじゃないけど・・。


ギルドで聞いてみた。関所の情報を。

昨日聞いた話と大差ない・・・とか思ってたら・・あれ?


オリクト「っておぃ・・ランク4必要なのかよ?あの関所・・・」

  ルア「どうりで通そうとしなかった訳ね・・・」


 なんという事でしょう・・・ってなもんよ。


あの時、みんなランクアップは”必要無い”って言ってたけど、こんな所に落とし穴が・・みたいな感覚になった。


この町のギルドにしては珍しく、今日は 冒険者 が多い。

なんでも魔獣討伐に参加しないか?って依頼を受けた冒険者グループばかりのようで・・。


俺たちの話が聞こえてたのか、ひとりの大剣背負った[ヴァレン]で、王子くらいの見ための男が、声をかけてきたんだ。


「兄さん達、ランク4にして関所は通れても、城には入れないぜ」


王子「ん? それは、どういう意味だ?」

「そのまんまさ。俺ら、ランク4にして関所は通ったんだけどよ・・。城に行っても、門が閉じたまんまで入れなくってよ」

「しかも! 城下町から行けるっていう山道も塞がっててさ~」と、髪をひとつで横に縛ってる女性・・たぶん・・[ノルティア]か[ストレヴィア]かな・・弓を扱う人も話に割り込んできた。


ルア「それだと、関所を抜ける為にランクを上げてたとしても・・城へも氷山へも行けない・・・って事だから・・つまり・・・・」


  儀式は ど う な る ?!って事・・だ よ な ?



王子も、ルアさんも、オリクトでさえ、どうしたら良いか途方に暮れてる感じだった。他に行く方法は無いのかな・・・船で回り込んで・・いや、無理か。


 関所の高い塀があるせいで、反対側から入れないんだろうし・・・。


と・・・そこへ、ギルドの人が 声をかけてくる。


「お話中すみません・・。もし お時間あるようでしたら、この町の町長に相談なさっては いかがでしょうか?」


 ルア「町長様ですか?・・・王子、どうしますか?」

オリクト「試験は、どうするんです?」


 王子「まずは、町長に会おう」


そう言って、俺たちはギルドの北の道から入って奥へと長く続く道の先に在った、古めかしい建物へと向かった。


・・・夜に来たら、変な魔物が出そうだな・・・とか思えるくらいの・・


俺たちが扉に近づくと・・勝手にギィイ・・と音を立てたかと思ったら、中から・・・この町の町長と名乗る人が出迎えてくれた。


 入口のフロア(広い空間)に入ると、入口の扉は閉められる。

町長「ようこそ おいで下さいました。レスカテ王子一行様方」


 ど う ぞ ・・と手招きされて、人の居なそうな音が響き、応接室って言うのか?そんな場所へと招かれて・・・座った。


 町長が自らお茶入れようとしてたから、ルアさんと一緒に、慌てて手伝う。


町長「ギルドから話は聞いております。儀式の為に城へと向かいたい・・という お話でしたね・・」

王子「ええ。しかしランクを上げて関所を通れても、城へは入れないと聞きましたが・・・」


町長は、お茶をすすりながら話を続ける・・・・しかし、この家・・町長しか住んでないのか? それにしては、すごく広いけど・・・・。


町長「この国の王様の方針でしてね。儀式の時は、城の門を塞ぐのです。外からは開かないように・・ね」

ルア「それは なぜ なのです?!」


町長「もう、すでに儀式は… 始 ま っ て い る か ら ですよ」


 !・・・あ・・え?・・・そういう・・事??


王子は、なんか納得したような顔だったが、それでも苦い顔をしている。


今まで・・・っつても、まだ儀式1つだけしかやってないけど、儀式の場所へ行って・・それから・・・ってな気分だったから、驚いた。


町長「しかし、皆様・・ちゃんと戻られて良かったですよ」


 その言葉に、なんか違和感を感じたんだけど・・・

オリクト「そりゃ、どういう意味だよ?町長さん・・」


オリクトの言い方に王子が止めようとすると、町長は 少し笑って・・・


町長「私が子供の頃、儀式の際に間違えたルートに引っかかった王子が居たんですよ。関所が越えられないからと横の壁穴から中に入ってしまってね・・フフフッ」


 俺「やっぱ、アレ!罠だったんですね!?」

という俺の声に、にこにこと微笑ほほえむ町長・・・・。


 あっ・・ぶ ね ぇ ぇ ・ ・ ・


ルア「それじゃあ、あの穴の先は・・どうなってるんです?」

町長「あのシャグラン関所の穴は 故意に空いてる のです。中はと言うと・・・ですね・・・」


 ・・・マジで、行かなくて良かった。


 なんせ、そこは・・ランク4(青)で入っても、危険な魔物が生息してる禁則地で、ギルドマスターの鍛錬所としての意味合いが強い場所らしい。


・・・ただ、やたらと弱いレベルや低ランクの人が入ると、早々に巡回してる兵士(青や黒カード持ち)に捕まって、3日ほど牢屋に拘留になるそうだ・・。


あの時の夢の子供は・・いや、正確には子供かどうかも分からないけど、捕まったのかもなと、思った。


 俺が見たのも、やられるような場面じゃなかったし・・。


オリクトも、話聞いてて青い顔をしていた。

王子「ユナムのお陰で助かったな」と突然言われて、え!って振り返る。

ルア「ホントね。ユナムが居なかったら、あのまま入ってたかも知れないわね」


王子は、町長の方へ 向き直って・・


王子「では、城へのルートは一体どこに・・・」

町長「我が家に御座います」


・・・・は?・・・え・・この家の中??


町長「明日にしては いかがでしょうか?」と言うけど、まだ日が高い時だ。

王子「いえ、行けるのであれば・・すぐにでも」


という王子の真剣な表情に、それまで にこにこしているだけだった町長も真面目な顔をして、俺たちを連れ・・2階へ上がる階段の裏側へ来た。


そして、何か壁に飾られている物に手をかけると・・ガタンッと音がして、きしんだ音と共に、地下へと続く階段が現れる。


町長「ココは、かつて王族の避難経路として使われていた道です。ここを城の方向へと抜ければ、城の内部に出られますよ。それから王に会われると宜しいかと」と教えてくれる。


オリクト「俺が先行しますよ・・王子」と町長に会釈してオリクト、ルアさん、王子・・・俺の順で入る。


町長「どうぞ・・・ご武運を・・・」


後ろで扉がまた、軋んだ音を立てて閉まると真っ暗に!と思ったけど、ルアさんがすでに、周囲を明るくしてくれてた。


階段を降りた先は、石で出来たブロックを積み上げて作ったような道が続いている。人、ひとりくらいしか通れない。


しばらく、進んで行くと・・・開けた場所に出る。



・・・・・そして、道がけっこう分かれてる・・・・町長!この先は・・って言いたくなったくらい、俺は慌ててしまったけど・・・・。


王子「・・確か、城の方角へ・・・と、言っていたな・・」

ルア「はい。つまりは西ですね」


オリクトに指示して、進んでいく。

他の道も行ってみたかったが・・・今は、城に辿り着かないと・・。


方向だけでも合ってれば、その先に続くようだったが・・中には、ぐるっと回らないと、行きたい方向に続いてない道などもあり、ダンジョンかよ・・って思ってしまった。


王子「本来、王族の避難ルートなら、大抵こういうものだ」と俺の顔を見て、言う・・・王子・・俺、そんなに分かりやすい顔してましたか?・・



 半分くらい来たのだろうか・・いや、ぐるぐる回ってるせいで、正直・・今がどの辺りか、俺は分かって無かった。


 ただ、上へ続く階段の近くに、壊れて下に落ちていた朽ちかけの看板に、ほぼ薄れて読めなかったが”関所”とは読めた。


オリクト「って事は、この上は・・関所か・・・」

 ルア「私たちは、ランク3に戻ってるから、今行ったらきっと捕まって、さっきの兵士の前に放り投げられそうよね・・・」



王子が個室を発見したようで、俺たちを呼んだ。


 暖炉もあるし・・布団の無いベッドがあった。


王子「ここで休むぞ」と言うので、俺が暖炉に火を付けて、ルアさんがベッドに布をかぶせて、寝袋を人数分出してくれた。


オリクト「肉と酒が恋しいぜ・・」

 ルア「お肉なら食べてるでしょ・・」

と他愛ない話を言い合いながら、保存食を食べて、水を飲む。


鍋でもあれば、保存食を暖かいのに出来たけど・・。

昔習った事、全然活かせてないなー・・って反省して溜息をつく俺。


王子「ユナム、体調でも悪いのか?」と聞いてくる・・はい?・・いや…

 俺「え・・・大丈夫ですよ」

ルア「じゃあ、なんでそんな顔してるの? たぶん王子・・心配したんじゃない?」

 俺「いや・・そういうんじゃなくて、鍋とかあればなー・・って」

ルア「・・うーん。調理器具は・・さすがに、無いわね・・・」

王子が不思議そうな顔をしている・・・まぁそうですよね。


 王子は・・・料理はしなそうだ・・・・。


 俺「鍋あれば、保存食と水で料理出来たのになーって思っただけで」


 なるほど・・みたいな顔で見てる・・・・。


みなさん、王都出身ですもんね・・・それに、今まで野宿してこなかったから、必要無かったですし・・。


・・まぁアソオス国で、予想外に砂漠で野宿したけど、あの時はそんな余裕も持てなかったし・・・。


とまぁ、いろいろ思う所はあるけど・・とか思ってると・・・


オリクト「儀式終わったら、鍋でも買ってやれよ・・ルア」

  ルア「そうね。調味料や食材も欲しくなるわね」

  王子「そうだな。おまえが体調悪いんじゃないなら良い。そろそろ明日に備えて、眠るぞ」


 王子の一声で、それぞれ寝袋に入る。


王子・・・なんか最近、やたら心配してくれるような?・・・


俺も儀式で、王子の・・・役に・・・たつ・・・ぞ・・ぉ・・・くぅう・・・





暗い中、起こされる。

まだ暗いじゃん・・とか思いたかったけど、ここは地下道。


暗いままですね・・はい。って事で、また保存食を食べ、出発する。


関所を抜けた辺りから、また少し複雑になってくるが、都度・・方向を確認しながら進んで行く。


道中は、強い魔物は ほぼ出ない。

光に誘われた虫や小動物系の魔物がちょっかいかけてくる程度で、レベルも上がる気配はない。


また、休憩場所を見つけて食事をして・・さらに進む。


すると、今まで石が積みあがった場所や木の壁などばかりだったのに、突然・・青く冷たい色のタイルで覆われている壁と、階段が現れた。


オリクト「出た瞬間に捕まる・・なんて事・・・無い・・ですよね?」

  王子「分からないが、行くしかない」

  ルア「ユナム、王子の横に居て。いつ戦っても いいように」と配置を確認して、オリクト先頭で進んで行く。


階段の終わりの天井を持ち上げると・・・

冷たい空気が・・隙間から流れ込んで来た・・・・・。

【ヴァレン】職業名のひとつ。

斧や大剣を使う(盾を持たない)戦士の事。


【ノルティア】職業名のひとつ。

近距離~中距離の弓使いの事。


【ストレヴィア】職業名のひとつ。

近~長距離でも命中率が高い、弓を扱う職業。


【マラルの町の町長】

寂れた町の町長として、残っている。ご家族は全員・・城下町に住んでいる。儀式の際は、王からの命令で城の門を閉ざしてる為、秘密の地下道へ案内させる役目も担っている。基本的には物腰柔らかな優しいタイプの人。この国の王様には苦手意識があるらしい。自身も城下町へ行きたがったが、地下道への入口を守る為に、残らなくてはいけない。


【シャグラン関所】(シャグラン=フランス語・嘆き)

マラルの町と城下町を隔てる関所。ランク4(青)カード以上の冒険者のみ通行許可している。ちなみに商人は、ギルド長くらいの人の紹介状などが無いと通行許可が降りない。そして、通行出来なかった者は、壁の穴に気付き、入るとそこは・・森の中の迷路と想像以上に凶悪な魔物が押し込められている。この為、ギルド経由の兵士などが巡回し、勝手に入った者を捕まえて、関所内の牢屋に3日ほど拘留し、関所の外(マラルの町方面)へと出される。

穴の先は、禁則地とされ基本入ってはいけない場所だが、関所を抜けれると勘違いする人が入り込むのが日常茶飯事であったりするため、いつしか『シャグラン関所』と呼ばれるようになった。


【マラル地下道】かつての王族避難経路。

今は儀式の時だけ使うように、町長に守らせている場所。

魔物はほぼ、出てこない。所々は朽ちていて、さらに地下へと落ちてしまう場所もあり、危険度が増している。城へ続く道は頑丈に作られている為、問題無い。所々に休憩場所が在る。


【寝袋】野宿の際に重宝するもの。

【保存食】硬いパンや干し肉・干し芋など様々な形態があるが、基本的に硬い為よく噛んで腹持ちを良くするらしい。


次回、王子たちは王に会い・・儀式が出来るのだろうか・・?

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