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クラスで目立たない超絶陰キャの僕は、三人の美少女ギャルに毎日言い寄られてかなり困ってます。  作者: 戸松原姉線香


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第49話 オタクっちとバイト

 さて、帰ってきたのはいいのだが、これからまたいつもの生活に戻るのだろうか。


 学校ないのに何するんだよ。何もしないとか僕にとっては害でしかない。何もしないというか、暇を持て余すとかあんまり僕は好みではないし、どのみちそれが嫌になって何かしたくなるのだ。何かをしたくなってしまうのだ。


 そのせいでバイトに行っているのだ。そのせいで塾に通うことを決定したのだ。僕としては将来に必要だと思ったことをやるたくなってしまう傾向にあるため、性格も相まって一石二鳥と判断した。


 しかしその塾もそのバイトも、今は数日ほど休んでいる。帰省が終わり次第、顔を出すように言っていたが、なんと計画通りにはことは進まず、僕の方から帰省を終わらせてしまったのだ。これを聞いたらどう思うのだろう。


 うーん。ある一言が浮かんだ。


『早く言ってよ』


 絶対言われる。もうこれは確実に言われる一言だ。


 いや、まあ、悪いのは僕だとは思うし、勝手にこの期間くらいだろうなと考えていた僕の方に分があるのは分かりきっていることだ。


「……」


 だからこそ、自分から動く。


 スマホを手に取った。


「もしもし小田です」

「んあ? どした?」


 ちなみにバイト先の店長へ電話をしている。色々と迷惑をかけている可能性があるため、さすがにこちらを先に優先しておくべきだと思った。


「すみません、本当にすみません……。休みを入れさせてもらったのにもかかわらず、勝手に期間が短くなって突然報告して……」

「んー。あー。分かったー」

「はい、はい。すみません……って、え? 怒らないんですか?」

「怒る? なんでだ?」

「い、いえ……。怒っていないのであれば、それでいいんです。な、何でもないんです……!」

「んー。ああ、でも待てよ? 少しおかしなことが起きてな……。もしかすると、君と何か関係があると思ってるんだ……」

「おかしなこと? それは、なんです?」


 怒られるどころか、僕はいつもの感じで店長と会話している。まるで僕が気にしていたことなど知らないように、僕が申し訳ないと思っていたことなどどうでもよさそうに。


 店長の話によると、僕がバイトに来なかった数日の間で、一気に女性の客足が減ったのだという。あんなに女性が多く来店していた人気店だったというのに、なぜかそれが減ってしまったのだ。


 ……もしかして僕のせいだとか思ってるんですか?


 聞いてみた。


「ああ、思ってるが? 思ってるからこの話を君にもするんだろう?」

「……でも、何で僕のせいだって」

「君があの間に来ていなかったからだろ? あの数日で激減してしまった。君がいなかったあの数日で。何か妙だとは思わないのかな?」

「で、でも! それで僕のせいにするのは……!」

「明らかに君目当てでこの店を訪れる女性客がいたということだろう? バイト時の君は私の目からでもイケメンだと分かるからね」


 不意打ちのようだった。僕はうろたえる。


「ッ……。あ、ありがとうございます……。でも、僕目当てなんてあり得ないですよ。だって僕……」

「イケメンじゃないとか言うんだろ? 悪いけどそのことについては否定させてもらう。私だって、君のガールフレンドの金城ちゃんだって君はイケメンだと思っているよ」


 突如出された金城さんの名。彼女、僕がいない間にお店に来ていたのかな。だとしたら、なんというのだろう。いつも来てくれている彼女には感謝しかないし、僕のことを純粋な好意ではなくとも、友好的に接してくれているし、なんというか勝手に休んで申し訳ないな。


 しかし店長の言っているガールフレンドというのではない。そこはきちんと訂正をお願いしたいところだ。


「金城さんがそんな……。思うわけ……」

「まだ謙遜しているのか? もうそろそろ自覚したらどうなんだい?」

「……」


 雛ちゃんも、僕の写真を見て、意外とカッコいいなんて言ってくれた。


 でも、そんなことを思いたくはないのだ。自分がカッコいいだなんて、ナルシストも甚だしい。そんな自意識過剰な人間にはなりたくはない。


 でも……。でも……。


 店長が言ってくれた。金城さんもそう思ってくれているのか。雛ちゃんも、同様に……。


「認めざるを得ないんですかね……」

「ええ、認めなさい」

「すみませんでした。営業妨害してしまって……」

「まあ、確かに営業妨害だね。これはれっきとした営業妨害にあたる。あー、ひどいひどい。なんてひどいことをしてくれたんだろうなぁー」

「すみませんでした……」

「早く立て直してもらえないのかなー。誰か来てくれないのかなー」

「……」

「おやおや? なんだか人がまた減っていくよー? 全く、誰のせいなんだろうねー」

「今すぐ行きます」


 スマホと財布。あとはそれらを入れるカバンを持って外に出た。


 店について、すぐには入らずに外から窓を覗き込む。営業妨害とか言ってたからな。どのくらい客足が減ったのかが気になるところだ。


 しかし、僕が帰省する前とはほとんど変わっていない人数。店長の言っていた通り、女性客が多くはないが、その逆に男性客が増えているような気がする。


 おかしなことが起こっているのはそれだけではない。


 レジには男性客の長蛇の列。何かイベントでもやってんのか?


 よく見るとそのレジには金城さんがいた。

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