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クラスで目立たない超絶陰キャの僕は、三人の美少女ギャルに毎日言い寄られてかなり困ってます。  作者: 戸松原姉線香


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第43話 初恋が僕?

 初恋。読んで字の通り、初めての恋ということ。初めて好きになるということ。初恋は人生で一度だけ。二度はない。初めての恋なのだから。


 だから……その、あれだろ? 初めて恋をしたということだろ? 誰を?


 ———僕を。


 で、でも……好きになったとか、そういう嘘をついて僕を恥ずかしがらせて、赤面させたいからそういうことを言ってるんだろ? だ、だから、あんまり信じてないというか、なんというか。そ、それで……結局、誰のことを好きになったんだっけ?


 ———三司曇くん。


 き、聞き間違いなのかなぁ……? ぼ、僕? 流石にそんなわけないんじゃ……。


「もう! オタクくん! 頭がどうにかなっちゃってるよー! おーい! 戻ってきてー!」


 小鳥遊さんの声が聞こえ、ようやく意識を取り戻した。一瞬だけ思考が停止しかけたぞ。危ない危ない。


「はぁ……」

「大丈夫ー? 具合悪そうだけどー?」

「だ、大丈夫……。ちょっと頭が痛くなってただけだよ。気にしないで……」

「もしかしてー、ボクの話のせいでそうなっちゃったとかー? 別にそんな効力は持ってないはずだよー」

「否定はできないよ……」


 自分の声なのに、どうしてここまで体調不良を表現できるんだろう。あ、体調不良だからそんな声が出せるのか。完全理解。


「むぅー! ボクの思い出をそんなふうに言うなんてー! ボクにとってはかけがえのないものなのにー! オタクくんは酷いやつだー! あの頃の優しさはどこにいったのー!」

「ちょっ、やめてよ……。ただでさえ困惑してて、頭痛いのに……」

「困惑ー?」

「うん、困惑。小鳥遊さんが、僕のことを初恋の男の子とか言うからさ……」


 その話題を出したのは僕だった。自分で言ってて恥ずかしくなり、口元を隠した。小鳥遊さんは二回ほど瞬きをして状況を把握。その後に急激に赤くなっていった。


 しばらくの沈黙があってから、切り出したのは小鳥遊さん。赤い頬のままで、顔を近づけてきた。


「ど、どう思ったのー……? は、初恋って知って……」

「いや、まあ、その……。なんか……」


 やばい。小鳥遊さんの顔を直視できない。いつもだと自分から見たいと思うくらいに、真っ先に目を見るのに。なぜか、見れない。


 恥ずかしいとか、そういうのもある。なんだろう、これは。


「ねぇねぇ……どう思ったのー……?」


 近い。近すぎる。


 目を逸らしながら答えた。


「う、嬉しいよ……」

「ふふっ……! そっか……ありがとう、オタクくん……!」


 また抱きしめられた。今、心拍数を測ったら、すごい数値になりそうだ。



 ****



「次はボクの番ー!」

「へ?」

「いやいや、『へ?』じゃないよー! オタクくんが色々と聞いてきたんだからさー! 次は当然ボクの番でしょー!」

「そういうもの? だって僕の場合は、聞かないといけないことだったからさ……」

「つべこべ言わずに、次はボクの番なんだよー! なんでもいいから、ボクの質問に答えなさいー!」

「わ、分かったよ……」


 どうせ小鳥遊さんなら、僕がさっきまで目を合わせてくれなかったことでも聞いてくるんだろ? 聞かれたら聞かれたで、非常に回答に困る問いだけどな。


 まあ、そういう感じのが……。


「どうしてオタクくんは、こうやって高校に通っているの?」


 かなりガチな問いだった。


 これはこれで困る。


「ど、どうしてって……どういうところが……?」

「だってさー、オタクくんは今までずーっと施設にいたんでしょ? それにー、君だけの場所まで用意されていて、大事に大事に育てられてきたわけでしょー?」

「うん」

「本来だったら施設に在籍していれば、ほとんどがそこで時間を永遠に過ごして、大きくなっていくのに対して、一方のオタクくんはこうやって外に出て、普通の学校に通って、普通な生活をしてる。ボクとお話しできているというのも不思議な話だよー」

「ああ、そういうことか……」


 簡単な話だ。とても簡単な話。とてつもなく、簡単で単純だ。


「僕が、それを望んだからだよ」

「望んだ……。オタクくんが?」

「そうだよ。僕が望んだから、今、こうして高校に通って、普通の生活をして、君のお喋りできているんだよ」

「どうしてそう思ったのー?」


 思った通りだ。絶対に聞いてくるであろう質問だった。その手にはならないぞ? もう小鳥遊さんは質問することはできないのだ。


「はい、小鳥遊さんのターンは終わりだよ? 次は僕のターン」

「ずるいー!」

「ずるくないよ。別に何か悪いことをしたわけでもないよ」

「で、でもー! な、なんだかずるいー!」

「だからずるくないよ……」

「だってボクの質問は『どうしてこうやって高校に通っているのか』っていう質問だったー! ならその経緯とかも答えるべきだー!」

「えぇ……」


 何これ、答えないといけないのかよ。でも答えたところで、複雑すぎてよく分からないだろうし、そもそも僕にメリットなんてどこにも……。


「答えないと、オタクくんの秘密をみんなにバラしちゃいますー!」

「わ、分かったよ! 答えるから!」

「うんうん! よろしい、ボクの言うこと聞けてえらいねー!」


 頭を撫でられた。通常、僕が彼女にしてあげるものだけどな。


 僕は経緯を話した。


「嫌だったのさ、特別扱いがね」

「ふむふむ」

「ずーっと一人ぼっちにさせられてさ。正直、嫌だったんだよね。父さん厳しいし、母さん怖いし。もう色々と嫌だった。あと単純にクソつまんない場所だし。暇だし」

「うん……。そんな感じするよね、あそこは」

「施設自体は僕も一理あると思うんだよ。でもね、ああいうのは学びたい人間がいくべきところなんだよ」

「そうだね……」

「段々と感じてくるんだよね。とにかく抜けたいと思うようになった」

「うん……」

「クソつまんないからね。本当に純粋にそれが一番の理由かな」

「ど、どうやって……?」

「どうやって?」


 どうやって。これも簡単なことだった。


「直接父さんに伝えた」

「それこそ、どうやって?」

「え? クッソつまんないから辞めたいって言ったの。父さんは当然嫌がった。でも僕は駄々をこね続けた。おじいちゃんも加勢してくれた。最終的に相手が根負け」

「ふーん……」

「すごい簡単なことでしょ?」

「うん、簡単……。でも、ずっと辛かったんだね……」

「ん? うん、まあ……」


 また小鳥遊さんに抱きしめられた。


 今日なんか抱きしめられるの多くない?

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