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友の誓い

暇つぶしに読んでください


宇宙船「方舟」の建造が佳境を迎えていた頃、リアムはジョンにとってかけがえのない存在だった。彼は口数が少なく、感情を内に秘めるリアムを、いつも気にかけていた。ジョンは、屈託のない笑顔でリアムの肩を叩き、冗談を言っては、彼の緊張をほぐした。




「おい、リアム。そんな難しい顔すんなって。お前は笑ってる方が、ずっといいぜ」




ジョンは、明るくリアムを励ました。二人は、冷凍睡眠カプセルの最終点検を共に行うパートナーだった。ジョンは、この旅が人類を救う希望だと信じて疑わず、リアムに熱っぽく語りかけた。




「なあ、リアム。この船が、俺たちの新しい故郷への道を開くんだ。お前は妹さんのために、俺は、人類の未来のために。俺たちがここで頑張れば、きっと、みんなが笑顔になれるんだ」




「はい!これで最後の微調整です、ジョン」




リアムが緊張した面持ちで、冷凍睡眠カプセルのパネルを叩いた。精密なモーター音が船内に響く。


「ああ、頼んだぞ」


ジョンは冷静に答えたが、その視線は装置から離れなかった。10万年という気の遠くなるような旅。たった一度のエラーも許されない。




「本当に、僕たちは10万年も眠るんですね…。こんな大きな船でも、辿り着けるのか…」




リアムは不安そうに呟いた。




「この円盤の直径は450メートル、高さは15メートルだ。体積にして、野球のドームおよそ4分の1になる。限られた資源で、最大限の居住空間を確保するために、この形になったと聞いてるよ」




ジョンは静かに語り、改めて続けた。




「そうだ。この装置が完璧に機能しなければ、僕たちは数えきれないほどの世代を送り出し、この船で一生を終えることになる。ジェネレーションシップ計画の目標達成率がほぼゼロなのは、君も知っているだろう」




リアムは沈黙する。しばらくの作業の後、彼は再び口を開いた。




「あの...一つ聞いてもいいですか。もし、途中で何かが起きて、僕たちがプロトコル外で覚醒したら…記憶が消えるというのは、本当なんですか?」




ジョンはパネルから顔を上げた。




「ああ、本当だ。脳に深刻なダメージが残る可能性がある。この覚醒プロトコルは、ただのルールじゃない。僕たちの記憶を守るための、最後の防衛線なんだ」




しかし、リアムの心には、誰にも言えない秘密があった。システムの小さなバグ。彼は何度も報告したが、上層部は計画の遅れを理由に耳を傾けなかった。優柔不断な彼は、強く反論することができなかった。その苦悩を、リアムはジョンにだけ打ち明けた。




「ジョンさん、俺、怖いんです。もし、このバグのせいで、誰かが…」




リアムは言葉を詰まらせた。ジョンは、彼の言葉を遮るように、リアムの肩を強く掴んだ。




「大丈夫だ、リアム。俺を信じろ。俺たちがそばにいる。それに、もし何かあったら、俺が絶対にお前を守ってやる。この旅の果てで、俺たち兄弟で、一番星に乾杯しようぜ」




ジョンは、リアムに優しく微笑みかけた。その言葉に、リアムは安堵し、ジョンを兄のように慕うようになった。




「…はい、俺、頑張ります。この船で、妹が元気に暮らせる世界を、見つけてみせます」




冷凍睡眠カプセルに入る直前、二人は固い握手を交わした。その手は、未来での再会を誓う、熱い絆の証だった。リアムは、ジョンの背中がカプセルの中に消えていくのを、ただじっと見つめていた。その日の夜空には、数えきれないほどの星が美しく輝いていた。星は不吉な予言のように冷たく瞬き、まるで二人を分かつ運命を夜空に刻むかのようだった。



最後まで読んでくれてありがとう

この物語はゆっくり読んでもらえると嬉しいです。

色々な登場人物が出てくるので

感想、リアクション待ってます。


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