3. ときめけ、三谷
よーし、今日から、
三谷がビビるほどに
本気で仕事するぞーーー!!
営業さんが欲しがる手助けの
一歩先を処理するのが私の得意分野。
たしか、三谷はめちゃめちゃ事務作業も得意。
となると、私はいつもより先、つまり、
2歩先を処理してやろーじゃないかーい!(キラーン!)
朝イチ、三谷がお客様先に出かけた、
夕方三谷が支店に帰ってくる前がタイムリミット!
いつもの倍のスピードじゃーい!!
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三谷帰社。
「ただいま戻りました。」
自信満々の私。
お待ちしておりましたよ、三谷。
「お帰りなさい。
こちら、処理しておきました。
あと、こちらも資料作成し、
こちらのコピーもとっておきました。
是非お使いください。」
「…。」
沈黙の三谷。
勝ったーーー
私はついに見返したぞー!
メイは 笑みが溢れるのを必死に隠す。
「長濱さん、」
「はい、どうしましたか?三谷さん??」
はいはい、きましたー!
感謝と讃賞。
まってましたよー、さぁどうぞ三谷ぃー!!
ニヤニヤを必死にこらえるメイ。
「長濱さん、こーゆーのいいから。
これ、全部今朝始業前に終わらせてるから。
意味ないから。」
「…。」
え?この量を?!!!!
メイは目を丸くして、絶句してしまう。
「あ、すみません、三谷さん。。。」
はぁ…
三谷、いや、三谷様、
あなたは素晴らしい営業です、
もはや、営業事務はいらないのでは?
1人でチームをきりもりできる手腕の持ち主 三谷。
あー、、、なんだろ事務として悔しい。。涙
でもでも、、、負けてられない!
三谷の抜け漏れ、あらさがし、
端々までフォローして、
あいつが惚れてしまうほどの
事務になってやるーー!!!
なんだよ、まじで、全力だして、事務力まけて、
ありえないー!
ムカつく三谷ーーー!!!
メイの中で
モヤモヤやイライラややる気が
湧き上がる。
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この日から三谷の仕事のすすめ方や
三谷のスケジュール管理を徹底分析。
三谷、しばらく出張かー。
ふむ、この書類作っとくかー
でも、いらないかー
いや、三谷は喜ばないかもだけど、
最近疲れてそうだから、
作るだけ作っとくか。
…
できた書類を手渡すと
三谷の反応で
わたしが凹む未来が見える…
手渡しは抵抗あるなぁーーー( ̄◇ ̄;)
そうだ!!三谷はあの書類作ろうとするとき、
支店奥の資料庫のファイルを必ず見るはず。
よし、そのファイルにしまっておこう。
必要があるときだけ、この書類を見つけるから、
不要だったら存在も知られない。
我ながら良い案!!
あ、あと付箋もつけて。
《三谷さん
よろしければこちら使ってください。
長濱》
やりきった感が心地よくて、
メイはとても充実していた。
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今日は三谷が出張から帰ってくる日。
「ただいま戻りました」
お帰りなさいー!!と早速女子に囲まれる三谷。
笑顔を絶やさない三谷。
もちろん女子に出張先からのお土産配りも忘れない。
さすがモテ男。
やっと自席に辿り着いた三谷に、
「お帰りなさい、三谷さん。
お疲れ様です。
お手持ちの書類は私が処理しておきますので、
今日は早めに休んでください。」
と、担当事務としては
当たり前のフォロートーク。
でも、三谷は
「結構です。自分でやります。」
と、目も合わせない。
…三谷よ。
わたしのこと、ほんっとに信用してないのな。
はいはい、了解。
目の下クマだらけの三谷よ。
わたしは先に帰るぞ。
「承知しました。ご無理なさらず。」
そういって、帰宅することに決めた。
メイは会社をでて、
なんだか気になって、
無意識に何度も立ち止まっては振り向いた。
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次の日。
メイは やっぱり久しぶりにあった三谷の様子が
なんだか心配で、
いつもより早めに出社してしまった。
三谷、大丈夫だったかな?
無理にでも仕事もらえばよかったか?
モヤモヤがとまらない。
ひとけ のないオフィス。
早く来すぎたかな??
メイが席につくや否や、背後から人影。
振り向くと、そこには三谷が。
三谷、大丈夫??といいかけたけど、
そこまでの距離感じゃないから、
「お、おはようございます。」
と定番のご挨拶。
「おはよ。早いね、今日。」
「あーーー。。。そーですね。
三谷さんも。」
三谷と目を合わせると何を言われるのかと
ハラハラすることが多いので、
下を向き、ぎこちなくメイが返答すると、
三谷が、
「俺はいつも始業前2時間前には出社してるから。」
と。
…え???三谷が?なんでも飄々とこなす三谷が?
自分でやらなくても、
取り巻きの女子たちが手伝ってくれるはずなのに。
メイが三谷の日常に驚いていると、
「あのさ、、、
ありがとね。」
と三谷が
小さめの声で ぼそっ メイに話しかけた。
「え?」
なんのことだか分からなかったメイが顔を上げて
三谷の顔を見ると、
耳を赤くした三谷がこちらを見ていた。
目があうとすぐに目線をそらせて、
「資料庫の…書類…見つけて…」
小さくそう答えて、
その後すぐメイに背を向けて
早朝業務を再開した。
…【キュン】
ん?資料?
あーーー!!あの?!!!
資料庫に先週忍ばせたやつ?!
やったーーーーー!!
心の中のガッツポーズが止まらない。
いやまてよ、
…キュン??
おやおや、このキュンは、、、
あたし??
あたしのキュン???
なんと!!!?
わたしがときめいて どうするのーーー?!!!
Σ(゜д゜lll)