1. 久々の、三谷
「えーーーー!?異動ですか?!」
上司と2人きりの会議室で大声がとまらない私。
「そうだよー、長濱はもうこの支店も長いからね。
5年で異動が基本のところ、もう7年もここにいてもらってたから、さすがに本社から指摘されちゃったよ。
次の支店も家から近いから通いやすいよ!!
長い間ありがとうね、がんばれ!!」
励まして、応援してくれるのは、
ありがたいよ、
嬉しいよ、
でもよ、でもよ、
いまは嫌なのーーーーー(涙)
メイはうなだれた。。
数日後正式に…
〜営業事務 長濱メイ、
桜舞支店へ異動の辞令〜
もちろん生活のため、
御意!!!!
唇を噛み締めながら
荷造りスタート。
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その夜。
案の定女子飲み開催。
女子のみと言っても、同じ支店の加藤先輩と2人飲み。
6個上で、新入社員のころからお世話になってる
なんでも話せる唯一の人。
「まさか、まさか、このタイミングーーー。
どう思います??
5年付き合ってた彼にフラれたばかりの32歳。
心のケアが必要な今。まさかの異動ーーー。」
私の愚痴をたんまり聞いて、
うなずいて、はげまして…
優しい先輩に、涙が…「うぇーーーーーん!!!」
「いや、あんた、
子供じゃないんだから泣き方直しなさいよ!!!
決まったんだから、覚悟きめて、
異動日までに引き継ぎして、
新しい支店に挨拶いってきな!!!」
と最後は喝を入れてもらう始末。
毎回このルーティーンでなんとか頑張れてる私は、
加藤先輩に感謝しかない。
「そーいやさー、メイが異動する支店って、
三谷くんいるよね??
ほらっ!何年か前に同じ支店で働いてた営業さん。
覚えてる??素敵だったよねー❤️
年下だったけど、たくさん助けてもらったなー^_^」
覚えてます、覚えてますとも加藤先輩。
三谷さん。
いや、三谷。
あいつは同い年だけど、私より先に入社したから、
先輩になる。
そして、あいつは私が嫌い。
嫌いと明言はしないが、まわりにはあくまで
《苦手》と公言している。
公言ということもあって、
もちろん私の耳にも入っている。
特にかかわる仕事も多くないのに
苦手に分類される意味がわからない。
営業トーク、向上心、ほどよいゴマスリも
彼の武器。
何より手足の長さ、整った顔。
これが社内の女子を虜にし、
仕事は女子社員の万全のフォロー体制が確立され、
敵なしの三谷。
うちの会社は営業と営業事務の2人1組で
チームを組む。
なんとしてでも、三谷と同じチームは避けたい。
傷心状態の今の私だと、
三谷からのチクチクした視線をかわしきれないー!!
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今日は新しい支店にご挨拶へ向かう日。
菓子折りOK
ブラウスのシワOK
社員証OK
笑顔OKーーーーー!!!٩( ᐛ )و
電車で20分。支店に入りオフィスにて、
よし!!
深呼吸からの…
「来月からこちらの支店でお世話になります、
長濱メイです。よろしくお願いします。」
よし!!
ご挨拶OK!
今月で退職予定のミサキ先輩が、
奥の席から駆け寄ってくれて
「引き継ぎは私から説明するね!」と。
ありがたやーーーー
社内でもベテランで社内評判ピカイチの
ミサキ先輩からの引き継ぎ。
わかりやすいので間違いなし!!
「今回はねーーちょっと量多めよ^_^
①事務統括の引き継ぎ
②若手育成の引き継ぎ
③通常業務の引き継ぎ
なかなかの量だけど、
メイちゃんなら大丈夫!!」
いやいやいや、量とてもじゃないけど、
多すぎやーーーん´д` ;
そこから三時間みっちり。
これからお世話になる支店なので、
ずっと笑顔で小さめの声で
「はい、わかりました!」を100回は言ったなー…
はてさて、できるかできないかはわからんが
やるしかない!!
やってやろー
最後の最後にミサキ先輩から
「今日はありがとうね
あ、そうそう、
メイちゃんと組む営業さんなんだけど、
《三谷くん》になるから、よろしくね」
…と。
おやおや、笑顔でぶっこむやーーーん
( ͡° ͜ʖ ͡°) Σ(゜д゜lll)
「はい、わかりました!楽しみですっ!」
…満点やろーー!この返し、満点やろー!!涙
どうしてこんなとこに!?と頭の中はぐるぐる。
「あ、三谷くん!こっちこっち!」
いやいや、ミサキ先輩、呼ばんといてーーー…
心の声も虚しく、
「久しぶり、長濱さん。よろしくね」
めっちゃ営業スマイルーーー。
ベテランのミサキ先輩の前だとみんな笑顔だけども、
あんたもかーーーい!!!( ・∇・)
「お久しぶりです、三谷さん。
こちらこそ、よろしくお願いします。」
…満点やろーーーー!
今日のあたし、満点やろーーー!!!!!涙