9.妖精の力と聖女1
王宮の魔術師の視点を入れようと一瞬思ったのですが、話があまりにも進んでないので一旦飛ばします
後で書き足したらごめんなさい
今回は王様視点です
※国王視点
王宮に仕える希少な魔法使いによるとやはり側妃の部屋からは魔法の痕跡と妖精の痕跡があるが、時間が経ちすぎて細かいことは分からないらしい。
一体側妃は何をやらかしたのか。
何かをしでかさなければ魔法の痕跡だの妖精の痕跡だのは残らない。
一体どれだけ迷惑をかければ気が済むのだ。
ただ、妖精というのはとても“面倒”だという事は知っていた。
だから妖精だの精霊だのと意思の疎通ができる聖女を神殿は保護している。
何か外への影響を宰相はとても心配していた。
それも尤もだと思ったため、神殿から聖女を呼びだして調査をするように手配をした。
王宮へ来たのは質素な服装をした平民だった。
聖女というだけで中位以上の貴族と同待遇とするという不文律の存在は知っていたが、来たのはただの平民にしか見えなかった。
特別な聖女というのだから、特別な女性なのかもしれないと少し期待してしまったがそんなことは無かった。
妖精の痕跡があるのは執務室だけとのことでその部屋のみ立ち入りを許された聖女はそれを監視していた者たちの話によるとくるりと部屋を見渡して、教えてもいないのに最初一番びしょ濡れだった場所で祈りをささげていたらしい。
それから報告を聞くために、謁見の間に聖女を通すことになった。
一応神殿に配慮しなければならなかったためだ。
優しき王妃は「私も立ち会います」と言ってくれた。
余の心を察してくれる良い王妃を持ったと嬉しく思った。
聖女は謁見の間で静かに首を垂れていた。
「よい、面をあげよ」
そう言うと聖女が余を見た。
疲れている顔だった。そして怯えている様にも見えた。
それが側妃を思い出して、いらだつ。
「何か分かったことはあるか」
聖女は「最初の見立て通り、妖精があそこで何かをしたのは事実な様です」と言った。
「それは我が国の側妃が妖精に連れ去られたという事か」
「いえ、そこまではわかっておりません。
それから、妖精に聞かれるとまずいですので、くれぐれも言葉遣いにお気をつけください」
聖女の言葉がザラリと不快感をさそう。
「おとぎ話の住人がまるで何かをするみたいじゃないか」
妖精はいる。
それを否定するつもりは無い。
聖女たちがそれを信仰しているのは別に今はいい。
だからといって、この国で一番の人間の発言に気をつけろというのはおかしい。
「まるで側妃が妖精にさらわれて、余までさらわれるような言い草ではないか」
ははは、と声を上げて笑った。横にいた王妃も口元を手で隠してたが笑っていた。
「そうだと、申し上げております」
絞り出すように聖女は言った。
一体この女は何を言っている?
「余を馬鹿にしているのか?」
知りたかったことは側妃を誰が連れ出したのか、でそこから分かるであろう今側妃がどこにいるのか、それだけだ。
妖精は恐ろしいんです。なんてことは知りたいことではない。