表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

5.ゴシップ誌

何も進展しない中、小さなゴシップ誌がある昔の事件を取り上げていた。

特に目新しい事実が書かれていた訳ではなかったため、ほとんどの者が気にも留めなかったが、平民の一部では話題になった。



記事のタイトルは『貴族学園の卒業パーティでの側妃様の真実について』というものだった。

内容については貴族にとっては別に目新しいものは無かった。

あの場には沢山の貴族がいて多数の目撃者がいたからだ。


かん口令もしかれてはいない。


* * *


現在行方が取りざたされている側妃様には幼き頃から決められた婚約者がいた。

さる高貴なお方だ。


その、さる高貴なお方は側妃様、当時の侯爵令嬢に対して卒業パーティで、こう言ったとされている。

記者が何名もその当時居合わせたもの、パーティでの裏方として働いてきた者達に取材した結果、ほぼ一言一句間違っていない。

そう断言できる。


「クラリッサ・フェイン! 本日をもって貴様との婚約を破棄する!!」


高貴なお方には当時の男爵令嬢がしなだれかかっていたが、それを見た側妃様は静かにこう言ったそうだ。


「承りました」


その場にいた卒業生たちはやはりという目で側妃様を見ているものと、嘲笑する者が多かったという。

記者の綿密な取材によりその理由は判明している。


彼女は酷い癇癪持ちで実家では使用人たちに当たり散らしているという噂があった。

高貴なお方の婚約者だという事を笠に着て、横暴な態度を取っているという噂があった。

そして、高貴な方のご友人であった男爵令嬢に嫉妬して酷い嫌がらせをしたという証言があった。


このことを、さる高貴なお方は憂慮され、卒業パーティでの婚約破棄宣言に至ったとされている。

この時側妃様をかばうものは誰もいなかったとされている。


そして、何故婚約破棄にするのかそのことを高貴なお方はきちんとその場にいた者たちに説明したという。

最後に高貴なお方は、嫌がらせにもめげず健気に過ごしていた男爵令嬢に心を打たれ彼女と添い遂げる旨を宣言した。

高貴な方を支持する貴族たちから多く拍手が沸き起こり、その後卒業パーティは和やかな雰囲気で行われた。


当時侯爵令嬢であった側妃様はその時も癇癪を起し、先に卒業パーティを後にしたとされているが、その部分に関しては不明である。

ただし、確かな情報筋によると屋敷に帰られた側妃様が侯爵より婚約破棄をされた件についてかなり強く叱責を受けたことは事実のようだ。

これは、貴族同士の政略結婚を一方的に破棄された令嬢に対する対応としてはごく一般的なものであるという点も合わせてお伝えしておく。

令嬢は高貴な方のお心を常につなぎとめておかねばならない役割を生家で課されている。それは貴族にとって常識だからだ。


修道院に入るしかないという醜聞の中、何故側妃様が今の地位におり、何故今忽然と消えてしまったのか。

我々は側妃様については継続取材中であり、第二弾の記事を近日予定している。

側妃様はちゃんと存在してるよ(怪談なども書いているため勘違いされていないかちょっと不安だった)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ