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番外編2:今度こそ側妃様は消えてしまいました

※側妃様視点



「ねえ、なんで私だったの?」


責任を感じているのか何なのか。

それとも私が死を選ばないように見張っているのか、妖精たちは私の元についてきた。

時々消えているけれど割と私に用意された屋敷にいる。


特に共通の話題もないし、どの王族がどうなったのか詳しくは知りたくない。

市井におりてくる話で充分だ。


なので会話をできる内容も今日の天気なんてものを除くとそんな話しかない。


私とあの姫君は正直あまり似ているとは思えなかった。

髪の毛の色と瞳の色は少し近い位。


だからかわいらしいお姫様を血が繋がっているらしい親族は守った。

一般的には素晴らしいのだろう。

今まで培ってきた家族の絆を大切にすることは多分人としていい事なのだろう。


私には関係ないというだけで。


「え?見た目が似てた以外に?」


なんでそんなことを気にするのか分からないと言った調子で妖精が言った。

あなた達に選ばれなければもっとマシな人生が歩めたかもしれないから聞いていのだ。という言葉は飲み込んだ。


妖精に何を言っても仕方がないという事は分かってしまっている。



「努力係数がね、君は高いんだよ」

「係数?」


試算等で出てくる言葉だ。

王宮の政策を会議しているときに出てくるならまだしも妖精の口からそういう言葉が出てくるのが少し違和感がある。


「要は、努力がどのくらい身について能力になるかという部分だよ。

最初から天才だったら、意味がないじゃん」

「それはわたしの元々の能力がとても低く努力でしか能力が身に付かないという意味ですか?」

「うーん。そうとも言えるけど、努力が身につくのは人に取っていい事でしょ。

報われない努力は悲しいらしいし」

「……まさにその報われない努力をずっとしてきたわけですけどね」


妖精たちは顔を見合わせてうなだれた。


「妖精たちの評価基準と人の評価基準が違ってしまったのが今回の実験の良くなかった点だね」


妖精は言った。


「ところで君はもらったお金を使わないのだね」

「使ってしまったら、あの人たちはやるべきことはやったと信じてしまうでしょ?」


私がそういう。

どうせ政に付けない王族に屋敷を用意して生活をおくらせてやっている。

何もそれに対して返さない人間に対して自分たちは良くしてやっているときっと思う。

と断定してしまう位私は人間不信になっている。


なので、最初に髪の毛を売った。

貴族女性としては傷みが多い物だったけれどそれでも長い髪の毛はそれなりの金額で売れた。


その金で最低限のものと刺繍用の糸と布などの材料を買った。

それから、代筆の仕事と翻訳の仕事を探した。


魔法が使えるので最終的にはそれも仕事に組み込みたいが、今はとにかく生活費を王族からの金で賄わなくて済むようになることに重点を置いた。


刺繍は商会が買い取ってくれ、新たな道具も支給してくれた。

その商談の季節のご挨拶の手紙の代筆も請け負う事が出来た。


商人たちのギルドがあり、魔法使いの組合への連絡先も教えてもらえた。


全てを同じ人との取引で進めるのが恐ろしく、翻訳の仕事は別の街にあった教会経由で仕事をあっせんしてもらえた。


どの仕事も側妃の時より楽なもので、すぐに自分ひとりの食い扶持位稼げるようになった。


使いたくない金は、最初に渡されたものなど現金で届けられている金、そして通いできている使用人に支払われている給金だ。

こちらは私が直接払っている訳ではない。


どうせ、私の監視をかねていることなんてわかり切っているのだけれど、あの人たちに借りがあるのは許せなかった。


屋敷は購入したものだったのでそのままお返しすればいい。


私が側妃をしていた国にも借りは無い。

むしろただ働きであそこまでしたのだ貸しがある位だろう。


一年程静かに暮らした。

監視の目もそぞろになった。


妖精たちを脅すと、何人もの監視が城に帰って行ったと言った。


頃合だろう。


私は今まで渡されていた金と、使用人たちの給金相当の金を屋敷に置いた。


そして「あの国の側妃は死んだものとして扱ってください」というメッセージを残してその屋敷を去った。



今度こそ、側妃様は消えるのだ。


「ねえ、最後の責任として私にあたらしい名前を付けてくださるかしら」


私は妖精たちに言った。


妖精は悩んだ末、一つの名前を言った。

私はその名前を名乗ることにした。





そうして、側妃様は今度こそ消えてしまった。

どこに行ったのか知るものはあまりいない。


どこかの街で優秀な魔法使いがいるとか。

どこかの商会で優秀な通訳が大きな商談をまとめたとか。

そういう話は聞くが、側妃様がどうなってしまったかはとんと、分からなかった。


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