復活の壱、迷い込むテル達
慎重に進んでいき、階段から落ちないように、一段ずつ上ってしゃがむ。
階段は全部で十五段あった。
階段を上り切ると、鉄製のドアがある。
ドアノブの位置を確認したが、捻ってみてもびくともしない。
ガチャガチャガチャと音が鳴るだけで、開かない。
鍵穴もないので、内からは開けられないようだ。
鉄のドアは人の力では開けられない。
何か堅いものはないか。
頑丈であればあるほどいい。
壱は下を見る。
「……鉄の棒なら……もしくは……」
あれを持ってドアに突進すれば、鉄のドアを凹ませることはできるだろう。
だが、穴を開けるまではできない。
それに、階段の周りには囲いがないので、反動で吹っ飛んだら大怪我をするのも必至。
打ちどころが悪ければ、死ぬかもしれない。
自分の命を投げ打つかもしれない博打はできない。
団子が食べたくて仕方ない。
こんなときにもかかわらず腹の虫が鳴り、壱はその場に座り込んだ。
「くそ……」
助けがくるまで、待つしかない。
どうにかして、この場所を知らせられればいいのだが。
制服の中を探ってみても、明かりをつけられるようなものもない。
この場を切り抜けられるラッキーアイテムは、何も見つからなかった。
ならば、もう一度霧生がくるのを待つしかない。
一度脅されたのだ。
こっちが脅しても、罰は当たらないだろう。
霧生が壱の様子を見にきたときが、最大のチャンス。
それしか逃げる機会がない。
「……早くこい……絶対に、俺は抜け出してやるからな……」
壱は舌なめずりをして、不敵に笑んだ。
一方、テルたちは屋敷の中をさまよっていた。
屋敷は迷路のように入り組んでいて、地図がなければ、どこがどのような部屋なのかさっぱりわからない。
部屋の扉はどれも同じで、鉄製の扉なのだ。
天井にはシャンデリアがぶら下げられていて、床には豪奢な刺繍の絨毯が敷き詰められている。
何だか、不釣り合いで気持ちが悪い。
テルは壁を触りつつ、そこら中を見渡す。
「監視カメラとか、回ってないですかね」
みんなは部屋をくまなく見て、壱の居場所を探している。
美枝は拳を握り締めたまま。