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3.広がっていく森


 それでまたしばらく経った。

 アクナバサクはあちこちに木を植えて回り、量が安定して来た泉から水路を掘って、枯れた谷川へと流れる様に誘導した。貯水池の下のドレーン溝からも水路を引いたが、こちらはまだ池に水がない為、空堀である。

 まだ谷川の復活には全体的に水量が足りないけれど、窪地になっている部分には水が少しずつ溜まり、その周辺には草の姿が見える様になっていた。それでも思い描いている風景がある分だけ気が急くのか、アクナバサクは事ある毎に青い空を見上げてはため息をこぼしていた。


 毎日毎日精力的に働いているけれど、アクナバサクとしては労働という気はしていない。ともかく居住地である谷が豊かになって行くのが面白くて仕方がないという具合である。

 食事も睡眠も必要とせず、極度に魔力を消費しない限り疲労もほとんど溜まらない肉体だから、食物などの心配がないというのは大きいかもしれない。人間ではこうはいかないだろう。


 谷間は少しずつ植えられた木が増え、その多くはアクナバサクの『与える力』によってしっかりと根を張り、既にぐんぐんと伸び始めている。

 林と形容していいくらいになっている所もあり、そういう所を散歩しながら、アクナバサクは笑ったりため息をついたりと忙しかった。


 それで今日もずっと動き回って日が暮れ、今は家の中でホネボーンが描いた簡易的な谷の地図を広げながら、どこをどうするという作戦会議中である。


「今はこの辺まで植わってるんだよね。川に沿う様にして柳を植えて行って……」

「こちらはブナとミズナラですね。シイやクヌギも苗木が確保できましたから植えてしまいましょうか」

「まさかもうドングリを落とすとは思わなかったよなあ。わたしが力を込め過ぎたかしらん?」

「そうかも知れませんね。まあいいじゃないですか。おかげで種が手に入ったわけですし」

「そうね」


 二人してああだのこうだのと話し合っていると、不意にぱたぱたと屋根を叩く様な音がした。


「ん? 何の音だろ」

「雨でしょう」

「おっ、雨か! とうとう来たな!」


 と飛び出そうとするアクナバサクを、ホネボーンが引き留めた。


「何をしに行くんですか」

「いや、貯水池に水が溜まってるかと思って……」

「今降り始めたのに溜まっているわけがないでしょう。明日の朝に見に行けば十分ですよ」

「それもそうか」


 雨は次第に強くなり、谷じゅうに降り注いで木々と大地を潤した。相変わらず勢いは強いけれど、木々が枝葉を広げる様になっていたから、強烈に大地を叩きつける風ではない。

 夜が明ける頃には雨脚も弱まった。明るくなり出してから、アクナバサクは待ちきれないという様子で足踏みした。


「いい? いいよね? 見に行ってもいいよね?」

「はあ、どうぞ」


 許しを得た途端に外に飛び出した。

 辺りには靄がかかっていた。雨はもう上がっていて、しかし枝葉から落ちる水滴が雨の様にぽたぽたと垂れている。


「あ、水が流れてるぞ!」


 川を指さしてアクナバサクが言った。濁った水がざあざあと流れている。


「一時的なものでしょう。しかし今はここに木がありますから、多少は変わりそうですね」

「おお、ホントに柳の根が土が崩れるのを防いでる。うわー、こんな毛みたいな根っこなんだ。すげえ」


 二人は川辺に沿って歩きながら、川へと流れ込む水路の前で足を止めた。


「あっ、ほら、ここの水路にも水がある!」


 貯水池の裏法の最下段に掘ったドレーン溝に水が流れていた。それが森を横切る様に走って行って川へと流れ込んでいるのである。

 扇状地から森へと注ぐ雨水は、流れが急な分だけ地面を侵食して削る。それを水路で止めておくわけだ。


「ひとまず水路も無事に稼働していますね」

「ねえねえ、貯水池も見に行ってみようぜ」


 それで二人は扇状地を登って堰の上に立った。

 貯水池には思ったほどの量は溜まっていなかったが、それでも茶色い水が波打っていた。大体池の深さの半分くらいである。


「地面に浸透しますから、もう少し減るでしょうね」

「でも水が溜まる事は解ったぞ! おかげで土も崩れてないし、今のうちに木を植え足しちゃおうか、土が湿っている時の方がいいだろうし」

「そうしましょう」


 二人はまた苗木を抱えて登ったり下ったりした。

 場所によってはやはり崩れている部分もあったけれど、そういう場所は目をつけて特に根が強く張る様にしておいたから、全体的な被害はさほどでもない。


 雨が上がった後には、元の通りの日差しが降り注ぎ、地面からは靄が立ち上って、何だか汗を掻く様な心持である。

 アクナバサクは服の裾を持ってばたばたさせた。


「蒸し蒸しするねぇ」

「そうでもありません」

「そんな感じしない?」

「しません。骨ですから」

「そっかー」

「他に誰もいないんですから、服なんか着ないでもいいんじゃないですか。王様、元々全裸みたいなものだったでしょ」

「そりゃ、そうなんだけどさ。流石にこの姿ですっぽんぽんは憚られるというか……あれだね、こう、体毛も深くないし、殻とか鱗があるでもないから、何かまとってないと妙に不安になるんだよ、防御力皆無って感じがして。人間ってよくこんな体で大陸にはびこったよね」

「でも見た目は人間でも、王様の今の体はドラゴンよりも丈夫でしょう」

「うん……いや、だから気分の問題だよ、気分の。着てないと不安なんだって。お前だって骨だけど服着てるじゃん」

「肉がありませんからね」

「そっかー」


 ともかく暑ければ暑いなりに作業は進む。

 二人は木を植えたり育てたりして、土がむき出しだった傾斜地も、随分木が植わって葉擦れの音が聞こえる様になって来た。植えている時は夢中になっているけれど、終わって振り返ると随分な数を植えたものだと、アクナバサクは一人で悦に浸った。

 あちこちに木を植え、水路を造り、木の実などを集めて苗木を育てる。そんな事をひと月ばかり繰り返しているうちに、少しずつ森は広がって、二回ばかり降った雨で貯水池には安定した量の水が溜まる様になりつつあった。


 アクナバサクはうーんと伸びをして、はあと息をついた。


「よし、今日はこんなもんかなー。ホネボーン、わたしは散歩するけど」

「私はする事がありますから、どうぞご自由に」


 ホネボーンはここのところ何かもそもそと調べているらしかった。


 アクナバサクも最初の頃の闇雲な勢いがやや落ち着いていた。

 元々がのんびり屋だから、自分で決めた一日のノルマをこなした後は、好きな様に散歩をしたり昼寝をしたりして過ごしている。元々誰かから強制された仕事でもないから、自分のやりたい様にのんびりとやる事にしたのである。


 まずぶらぶらと貯水池の辺りまで歩いて行った。土手に植えられた柳はすっかり大きくなり、毛の様な根っこが池の縁から覗くくらいになっている。

 アクナバサクは土手に腰を下ろして、辺りをぼんやりと見回した。

 貯水池周辺にも様々な木が植えられて、水面に影を伸ばしていた。クヌギや椎の大きなのが枝を広げて、樫や楓も見受けられる。青空を映している水面に、木々の細い影が映り込んでいるのは何だか面白い。しかし風が吹くと水面がさざ波立って、空も影もぼやけてしまう。


 こうやって見ると、魔領にも色々な種類の木があったのだなとアクナバサクは感心してしまった。現世喰のエネルギーで復活した植物は、ここいらに生えているものばかりだった筈である。それでもこれだけ多様な植物が生えている。


 かつてこの辺りが闇の神獣の支配下にあった頃は、空は昼間でも常に暗く、日の光が差す事はほとんどなかった。

 それでも森には木々が生い茂り、沼地に藻や水草が溢れ、蔦や樹上蘚類などが辺りを鬱蒼と覆っていた。恐ろしく陰鬱ではあったが、自然があった事は確かである。

 それを残らず破壊し尽くした人間と現世喰の恐ろしさに、アクナバサクは改めて身震いした。


 ごろりと仰向けに転がって空を眺めた。周囲で風に揺れる葉の音や、水のさざ波の音が聞こえるだけで、同じ様な青い空も何だか違う様に見えた。


「はー……しあわせー」


 何だかむふむふと嬉しくなって来る。

 口端が自然に緩んでしまうので、アクナバサクは頬を両手でむにむにと揉んで胡麻化しながら上体を起こした。嬉しいと動きたくなる。

 散歩を再開すると、足取りが軽く、自然にスキップなんか踏んだりして、こういうのは勝手に出て来るものなのかと感心した。


 貯水池回りの扇状地や、そこから続く山肌にも植樹は続けられており、その多くがしっかりと根付いて、うんと広げた枝に青々とした葉を茂らせていた。雨で地面ごと流れてしまったものもあったが、救出して植え直した事で現在は欠けた部分もない。


 いずれあの山肌が見えなくなり、緑色のもこもこした枝葉に覆われるのだと想像すると、アクナバサクの笑みはより深くなった。

 人間に紛れて暮らす、という第二の人生計画は儚くも崩れたけれど、これはこれで悪くない。むしろこの方がいいとさえ思える。


 だが、森は出来たけれど、動物はおろか虫の姿もない。

 現世喰の貯めていた生命力は、土に埋もれていた種々の植物を目覚めさせるのには一役買ったけれど、動物を復活させるまではいかなかった様だ。

 そのうち、どこか遠出をして生き物を連れて来なくてはいけないだろうか。アクナバサクは腕組みして考えた。考えたせいか、自然とスキップは収まっていた。

 しばらく考えたものの、やがてあっけらかんと呟いた。


「ま、後の事は後で考えればいーや」


 この楽観性がアクナバサクのアクナバサクたる所以である。


 やがて扇状地を下り、その下の森に入り込んだ。

 森の木々は、初期の頃にアクナバサクが気合を入れて力を注いだものが多く、樹齢二百年は超えるものと同等の威容を誇る木々が幾本もあった。そんな木々は早々と実をつけており、アクナバサクたちはそれらを集めて、新しく苗を立てたり、あるいは直接播種したりして、少しずつ森の範囲を広げている。

 ただ、花粉を媒介する虫たちが不在のせいか、ものによって発芽率はまちまちであった。


 その中でひときわ大きな木が、最初に生えた幾種もの木が混じり合った巨木と、ダウジングで見つけた水場に植えた楡の木である。どちらも悠々たる太い枝を空に向かって広げている。

 どの枝もしっかりしているので、アクナバサクはこれらの木に登って枝の上で昼寝をするのが好きだった。一応家を建てているけれど、そこの寝床よりも木の上が好きなのである。


 睡眠を必要としない肉体を持つアクナバサクだが、『創る力』や『与える力』を多用して魔力が多大に消費されると、流石に疲労する。

 睡眠は魔力の回復を促進するから、そういうくたびれた時に限って、アクナバサクはのんびりと横になって眠るのである。元々のんびり屋のアクナバサクにとって睡眠は至福の時間であった。


 尤も、今はくたびれていないから眠る必要はない。というよりも、横になっても睡魔が襲って来る事はない。横になっているだけ無駄である。

 アクナバサクは何となく名残惜しそうに楡の木を見上げ、それからまたぶらぶらと歩き出した。


 森には大きな木だけではなく、灌木や下草の類も生えつつあった。それらがむき出しの地面を覆って、降った雨を地面にとどめている。大地そのものが蘇って来たので、それらはアクナバサクたちが手を出さずとも自然に顔を出す様になった。いくらかに力を与えて育てた他は、勝手に育つに任せている。

 中には小さな花をつけるものもあった。小指の爪くらいの小さな花が、太陽に向かって開いているのを見ると、アクナバサクはまた嬉しくなって何度も足踏みした。


 木の植わっている場所を領土とするならば、領土はまだまだ小さい。ものの半日程度歩けば全部見回ってしまえるくらいである。

 それでも、あちこちで足を止めてまじまじと眺めているうちに時間は経つ。

 すくすくと育つ白樺の若木たちを見、椎のドングリを埋めた場所で芽が出ている所と出ていない所に一喜一憂し、貯水池周辺や傾斜地に植えたブナやミズナラの林を散策し、川の縁に植える為に育てている柳の苗木たちを見た。


 傾斜地の一角には、ホネボーンに頼まれて作った大きな石柱が立っている。

 先端には魔水晶の大きなのが設置されて、それが刻まれた魔術式によって光っていた。

 最近ホネボーンが色々な調査に使っているらしく、周囲の魔力などに反応して云々という事であったが、アクナバサクにはよく解らなかったので、ホネボーンに全部任せて放ってある。


 そうして歩き回っているうちに日が暮れて、代わりに月が登って来て銀灰色の光を荒れ地と森とに投げかけた。

 アクナバサクとホネボーンの家は、最初に育った巨木の傍らに建て直されていた。

 この大木はいくつもの木が混じり合って伸びていて、ホネボーンが調べたところ、少なくともに十種以上の木の枝が確認できたそうである。今後の成長で、また別の木が顔を出す可能性もあるという。

 木はまだ少しずつ成長を続けているらしく、登る度に新しい発見があるのが面白いらしい。戻って来たアクナバサクは、木によじ登り、枝を渡ったり、幹に抱き付いたりして、あちこち見て回っていた。


 それでアクナバサクが枝にとまってほうほうと梟の鳴き真似をして遊んでいると、下から呼ぶ声が聞こえた。


「王様、そこにいらっしゃいますか」

「ほーほー!」

「はい?」

「いけね、わたしってば梟語で返事しちゃったよ、お茶目さん☆ いるよ! 何か用?」

「少しお話があるのですが」


 アクナバサクはするすると木から降りて、家の戸の前に立っているホネボーンの前に降り立った。


「何をしていたんですか」

「憩いまくってたんだよ」

「そうですか」

「どうかしたの?」

「少し相談がありまして。書斎に行きましょう」

「あいよ」


 二人は家に入った。

 家は少しずつ増築されていて、今はアクナバサクの寝室と、ホネボーンの書斎とがあったが、アクナバサクは基本的にずっと外をうろついているので、むしろホネボーンの書斎のスペースの方が広い。


 書斎の中にはホネボーンがしたためたらしい資料が、綺麗にファイリングされて並んでいた。

 木のテーブルにはいくつものガラス瓶が並んでおり、アクナバサクが作った顕微鏡なども置かれている。いつの間にか書斎というよりは実験室や研究室といった趣になっていた。


 アクナバサクは、壁に貼り付けられた種々のメモ書きを見てほえーと嘆声を漏らした。


「お前几帳面だなあ。何調べてるの?」

「生態系だの何だのを。いえ、本題はそれではなく」


 テーブルには大きな地図が広げられている。魔王谷の大まかな見取り図である。何か魔法を使って描かれたものらしく、木の植わっている地点が淡い緑色、水のある泉や池、水路などは淡い水色に明滅していた。

 ホネボーンがその一角を指さした。谷の上流のさらに上辺りである。闇の神獣の祠のあった断崖の上の方だ。


「ここに、奇妙な反応があるんです」

「反応?」

「王様に頼んで立ててもらった石柱があるでしょう」

「ああ、あれね。何に使ってるの、あれ?」

「前に説明したでしょうに……あれは広範囲に魔力の網を張る装置です。仮に現世喰や人間が近づいてきた際にすぐ解る様にと思って設置しておいたのですが、どうも別のものが反応しているんです」

「ああ、それでこの地図に色々出てるわけか……誰かが来たって事?」

「いえ、初めは微弱な反応だったのが次第に大きくなって来まして。今さっき見たらかなり反応が大きくなっています。少し調べてみないといけません」

「ははん、それで一人で行くのが怖いからわたしにもついて来て欲しいって事だな?」

「そうです」

「あれっ、素直」

「現世喰には私の魔法が効かないんです。理由は解りませんが」

「ああ、そういや崩壊の呪文が効かなかったな……」

「あれが効かないとなると私ではどうにもなりませんから、王様に頼る他ないのです」

「成る程ねー。ふふふ、アクナちゃんをどーんと頼ってくれていいのだぞ。今から行く?」

「お疲れでなければ」

「わたしは元気もりもりだぞ。よっしゃ、早速行ってみよう」


 それで二人は連れ立って家を出た。


 相変わらず煌々とした月光が降り注いでいる。伸びた枝や葉の影が地面にまだら模様を作っている。その中を歩いて行くと、やがてどん詰まりの崖に行き当たった。二人は飛行呪文で浮かび上がると、崖の上へと着地する。

 崖の上にはブナの木が多く植え付けられている。それがもうアクナバサクたちの背丈を超えて伸び、さらさらと風に揺れていた。

 その間を歩いて行って、反応があったという地点までやって来た。


「この辺?」

「そうです。少々お待ちを」


 ホネボーンは調べる様に杖の先端をあちこちに向けながら、その辺を歩き回った。アクナバサクは頭の後ろで手を組んでそれを眺めている。


「あった?」

「一応、反応はここなのですが」


 とホネボーンは立ち止まって地面を見ている。アクナバサクも近くに行ってみた。何もない。


「ないね」

「ありませんね」

「……何か埋まってるんじゃないの?」

「地中ですか。確かにあり得ますね」

「掘り上げてみようぜ」

「余計なものを起こさなければいいのですが……まあ、放っておくわけにもいきませんね。お願いします」


 アクナバサクは早速地面に手をついて力を込めた。魔力の糸が地面の中に伸びて行く。やがてそれが何かにぶつかった。糸がどんどんその対象に絡みついて、しっかり抱え込んだ。


「よーし、上げるぞー」


 アクナバサクが思い切り腕を振り上げると、魔力の糸に絡めとられたそれが、土をまき散らして地面から飛び出して来た。


「ぶあっ! ぺっぺっ! 口ん中入った!」

「……ふむ?」


 出て来たのは大きな石像であった。人を象ったものらしく、丸々としたふくよかな体型をしている。元々は精巧な細工がされていたらしいけれど、すっかり角が取れてしまっていて、それが却って表情などを優し気に見せていた。


「確かに、この像から強い魔力を感じますが」

「何の像なんだ、これ? 随分まん丸だなあ」

「地母神か何かじゃないですか」

「ふーむ?」


 二人が首を傾げていると、不意に石像がきらきらと輝き出した。月の光を照り返しているという風ではない。ひとりでに淡い光を放っている。その光が段々と強くなり、やがて像から離れて形を作り始めた。

 二人が唖然としている前で、一人の女がふわりと現れて優雅に着地した。


「はあぁー、やっと出て来られましたぁー」


 女は今起きたという風な様子で、両腕を上げて大きく伸びをした。木綿の服の下で、豊満な丸い乳が惜しげもなく形を強調する。

 アクナバサクはしばらく唖然としていたが、ハッとした様に頭を振り、女の方を睨みつけて、びしりと指を突き付けた。


「急に出て来て、お前さまはどちらさまだコノヤロー!」


 女は驚いた様にアクナバサクを見て、わたわたと慌てた様に体を震わした。


「あー、あのー、こんにちわぁ、ナエユミエナですぅ。よろしくお願いしまぁす」


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[良い点] シムシティならぬシムネイチャ いいな こういうゲームやってみたい
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