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掃除組  作者: 飛鳥 希望
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出勤二日目

長編小説です。それぞれの章でそれぞれの人物の目線から物語が進んでいく予定です。

この物語を楽しんで読んでいただければ幸いです。ではお楽しみください!

Human Break―Emotion Break

一章 「丑」の使い


~壱~


掃除組。人の感情の暴走、そして崩壊を防ぐ。それが僕らの仕事だ――――。


人間性。それは感情にあり。複雑でもあり単純。しかしどれかひとつでも欠けてしまえば人間性は崩壊してしまう。感情崩壊、人間崩壊へとすすむのみ。それを防ぐため、掃除組は感情の世界、記憶の中へと踏み込む。そして崩壊の源である悪菌を取り除く「掃除」を実行する。神だけが僕らをそこへ送り込める。

掃除組は二人一組で行動する。人間の感情はとても複雑で、何が起こるか分からない。油断ならないからだ。

僕の名前は紅如こうき。この前、掃除組に入隊したばかりだ。掃除組は神の使いによって指導されている。驚くかもしれないが、そういう世界だ。

人間サマを創ったという大神サマというものの下に、その感情を司るという神々サマが降臨しておられるんだそうだ。それはどうやら動物らしいが・・・。

さて、さっき僕らの「仕事」と言ったが、掃除組は職業だ。この世界は13歳から職業に就ける。なにもやりたいことが見つからなかった僕だったが、人の感情についてはよく考えることがあった。それに、人助けをしたいとも少し思っていた。まあそんな理由で、たまたま見つけた広告のなかにこの掃除組をみつけたので入ってみた、というわけだ。

 しかしこの掃除組、実は世間によく知られているわけではない。こんな非現実的な設定の仕事だ。多くの掃除組が自分の職業を明かさない、紛らわすことが多いらしい。。人間サマの感情の中をゴロゴロとかきまわる存在なんて、たしかに知人友人には知られたくはない。だがしかし、僕は別に隠す必要もないと思っているが。


 今日は僕の出勤二日目である。昨日が初日。今日はこれからタッグを組む人物と顔合わせやらモロモロの予定らしい。二人きりで仕事に挑むことになるんだ、まともな人であってくれ。


 掃除組にも、事務所のような場所はある。町から少し離れた森の中。そこにある茶屋にある一室。こんなところに事務所・・・?と驚かれることだろう。僕も驚いた。聞いたところによると、初代掃除組を引退した方が、後世の掃除組の憩いの場になればと残していったらしい。そこがそのまま事務所になった。なんと心優しい・・・。心が少し暖かくなっていると、

「早いですね、紅如様。とても助かりますよ~」

聞くからに物腰の柔らかそうな声が背後からかかった。振り返ると初日、色々と教えてくれたセンパイが立っていた。こうセンパイ。皐さんだ。整えられたブラウンの髪。汚れのない服に身を包んでいる。誰にも笑顔で接し、礼儀正しい、ザ・パーフェクト紳士。それが僕の皐さんに抱いた印象だ。


「どうも皐さん。サマはやめてください。僕のほうが昨日入ったばかりのコウハイなんですから」

「あ、すみません。紅如さん。これのほかにも、執事をしておりまして、つい癖で・・・あはは」


これとは掃除組のことだろう。なるほど皐さんは執事をしているのか、その物腰の柔らかさや礼儀正しさも納得である。いやしかし執事業もやっているとは、良く体がもつものだと少々尊敬のまなざしを向けてしまう。


「しかしまだ紅如さんの相方さんはおいでになられていません。中でお待ちください。誰かしらいると思うので」

「分かりました」


言われた通り中で待つことにした。茶屋の一室に入ると、女性が一人椅子に座って何やら飲んでいる。部屋に飲み物の香りがほのかに充満している。・・・これは、紅茶?


「あら、どちらサマ?」

「えっと、昨日掃除組に入りました、紅如と言います!よろしくお願いします!」


少しつり眼の青い眼と長い黒髪。女性の細い指がティーカップを机に戻す。


「新人?皐のヤツが言ってたのはコイツのことね?へ~~」


眼の色が青いその女性は僕をジロジロ見ながら言った。


「アタシは葉青ばしょう。皐とタッグのね。これからよろしくね。新人クン。」


なんと、皐さんの相方だったのか。なんだか正反対のように思えるな、と考えていると、葉青さんはなにやら手でいじりだした。


「今回のヤツは手強かったわ~。盗んだ武器が粉々。は~、もっとホネのある武器を盗まなきゃ」


なにやらブッソウなことが聞こえてくる。


「盗・・・ってえ?!それハンザイじゃ」

「皐はどうせまた新人研修みたいなこと任せられてるんでしょ?アタシその間に新しい武器調達してくるわ~ちょちょっとね」


青い眼に鋭い光を宿した笑みを見せ、葉青さんは出て行った。ハンザイが起きる匂いがする・・・気がした。





ここまで読んでいただきありがとうございます。物語を楽しんでいただけましたか?次回もどうぞお楽しみに!


次回予告 登場人物が増えます。なんか不思議なことが起こるかもしれなかったりしなかったり。きっと起こります。

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