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上様の命

「状況は分かった。上様はワシらの監視と

共に護衛として助介らをつけていた。

そして林殿の追放と居場所を、自然とワシの

耳に入るようにしたのもその方らであろう?」

頷く助介。


「そこまでした上様の命とはなにか?」

「ハッ、 この戦国の世を如何に終わらせるか、民草は元より武家・天子様にいたるまで永く安泰にするために、どのような枠組みが今後の日本国にとって良いかを考え、皆が納得できるように実例を示せ! でござる」


「フフン、最後の『皆が納得できるように実例を示せ!』は上様の口調そのままよな」

助介はニヤリと笑い頷く。どうにも芝居掛かった奴である。


「日本の枠組みか、外国つまりはエウロパ(ヨーロッパ)勢とどのように対するかも含むという事じゃな?」

助介は頷く。


「某らが考える案を参考に、国の利益と織田家の利益を秤にかけて、落とし所を上様が決めるという所か?」

「参考案ではなく、たたき台となる土台を

示せとの事にござる」


これは大きく出たな。

領地経営でなく国家経営方針を丸投げしてきた。

上様らしいという所かの。


「して、今回の件は若様はご存知なのか?」と林殿。

「勿論ご存知でござる。極秘任務が完了次第、お二方の縁者は若様が召し抱えて名誉回復もなされるとのこと」


「ならば某に異存は無い」

決断早いな、爺のくせに。


「極秘任務に期限は有るか?」

「明確に指定は無いでござる」

(ンッ?それは無いということだな?)


「皆が納得する実例とあるが、ざっくりし過ぎだ。

個別に調略し腹を割って話をして、後に拗れること無いようにする必要があろう。それは誰が行うのか?」


「それですが、まずはこちらを」

と助介は懐から袱紗ふくさと小袋をゴトリと置いた。それぞれに書状を渡してくる。


内容はというと、

『色々と迷惑をかける、借りとさせてくれ、

必ず別の形で返す。国の今後の方策について任せる。

この信長愛蔵の脇差しを与える。

身の証として活用せよ。

活動費として毎月銭20貫づつ渡す。

必要なら増やすゆえ、そこの助介に伝えよ。

助介達の給金はこちらで払うので気にするな。

存分に使え。助介も金もな。

報告と相談は密にせよ。


茶器は買うなよ!』


相変わらずざっくりである。


「毎月20貫(約450万円)は1家が暮らすに多すぎるな。

詫びも含まれているのだろう。後は貴人や豪商らと密かに会えという事か」

頷く助介。



林殿の書状と見比べると、ほとんど同じだが。

「ワシの方だけ最後の一文が追加されているが……」

「上様なりの冗談でござる」


「そうか、書状だけだとそこは分かりづらいからの。何かの嫌味かと思ってしまっての。

それでワシの領地の受け継ぎと帳簿と現金の検査の方は済んでおるのかのう?」

「ハッ、それについてですが……」


何だ? 間を持たせおって、ドキドキする。

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