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商談成立

「次に、親書を出そうと思う。宛先はフィリピン総督と、スペイン王とポルトガル王、ローマ教皇じゃ」

「王や教皇へは親書を託して送ってもらうのですか?」


「そうなるな。内容は相互に交易の利便を図りたい。後日改めて使者を送るので正式に書面で誓約を交わしたい。と言う所かの」

「他の王家には個別に送るのでなく、教皇から通達を出して貰うと言うことでしょうか?」


「そうなるの。教皇は日本の天皇にあたるであろう?」

「ですな。天子様は全神社の総代でありますからな」


「うむ、それでマニラやマカオに日本の商館も置きたいでな」

「マカオはポルトガル領ですな。今回そちらも周りますか?」


「状況次第じゃな、そこは宋薫に任せる」

「ハッ、畏まりました」


「では、行こうかの」

「ハッ」


上様を中心に総員が動き出す。警護の者も通りに立ち、商館へと到着する。


門衛が直ぐに扉を開けたのは有閑殿を見たからか上様を

知って居たのか、さてどちらだろう。玄関横の広間へ通される。


信栄や久通殿と兄弟・守人、配下の船員たちが報告書の翻訳やらその確認をやっていた。


そこに上様がやって来る。直ぐに誰が来たか分かったのだろう。船員たちが片膝立てて頭を垂れる。信栄達も併せて頭を垂れる。

「その方達が信盛の元で働いてくれるそうじゃな。

嬉しく思うぞ。よく働き日本の言葉を覚える者には褒美が与えられようし、嫁も与えよう。余の配下になってもらう事も有るかも知れぬ。励むが良い」

「ハハッ!」


「マニラに乗り込む人員と規模が増える。乗り込む者は一緒に来るが良い」

信栄・久通殿・守人・カルロスが前に出る。


「これから船団長と話を付けるで、付いて参れ」

ズンズンと奥へ進む。勝手を知っているようだ。先導のものが奥へと先に進む。突き当りの扉を開ける。


「久しぶりだな。ビクトル」

「信長様も相変わらず忙しく動いてますネ」

船団長はビクトルというのか。


「ビクトルも色々と変更があって大変であったろう」

「それは有閑殿に沈没船を購入してもらったり、余った船員を雇って貰って助かりましたヨ」


そこで上様は用件を伝えた。乗客の追加と資金の信用借り、マニラでの船の購入、積み荷の購入、親書の事、商館の設置など。


「いよいよ、ジャポンも海に乗り出すのですネ。競争相手が増えるのは厳しい所ですが、統一されればそうなるとは予想していまシタ。お手柔らかにお願いしますネ」

「お互い補い合える様になれば良いと考えておるぞ」


「ハイ、では乗客の追加ですが問題有りまセン。その分船員を降ろして、彼らは雇ってもらえるのでしたネ?」


「あぁ、こちらで希望者から選ばせてもらうがな」

「良いでショウ。次に船の代金の後払いですが、3割前払いで残り8割を次回入港時デスネ。私達も現金を持ち歩きたくないので歓迎です。信長様なら約束を破る事は無いでショウ」

「余が死んでも息子が約束を果たすでな」


「そうですネ。商売は信用が命デス。出来れば今後は

現金決済で無く、信用取引(掛取引)で帳簿上だけでお互い処理したいですネ」

「そうだな。こちらがそちらの会計を学んだら進めようぞ」

(これはカルロスから会計を学ばねばならんな)


「それから私個人からも借りたいと言うことでしたネ」

「また日本に来るのであろう? ビクトルから借りた金には2割の手数料を払おうぞ。その代わり提督に借りる方は1割に抑えてもらうよう口添えして貰えんか?」


「なるほど、面白い! 了承がでるか確約は出来ませんが私から口添えしまショウ」

「親書の方はどうであろう?」


「送るだけなら問題ないでしょう。私も総督とスペイン王に口添えはいたしまショウ」

「有り難い。商館の設置は信用取引には必要であろうな」


「そうですネ。お互い口座を持ってその間でやり取りすれば現金の持ち歩きは不要になり、危険が減らせますネ」

「ではマニラの商館設置は急がせよう。働く人だが、日本から奴隷として売られた者がフィリピンにも居よう?  その中に読み書き計算とスペイン語を覚えている者も居るかも知れん。奴隷の買い戻しに協力して貰えんか?  売値の3〜5倍出そう」


「奴隷の買い戻しですカ。優秀な者ほど手放したがらないと思いますが、ジャポンとスペインの間にある痛い問題ですネ。総督から布告を出すように促してみまショウ」

「有り難い。それと親書にも書いてはいるが、ジャポンの呼び名な。ニホン(日本)に改めて貰いたい。」


「なるほど、ジャポンは日本の中国語読みのジーベンが

由来でしたナ。他国の読みが使われるのは気持ちよく無いデショウ。私からも総督に伝えまショウ」

「助かる。こちらはスペインと読んでいるが問題ないか?」


「正式にはイスパニョールですが、長すぎると呼び辛いでショウ? スパニョかスペインでも私達は分かりますので問題有りませんヨ」

「では以後もスペインと呼ばせてもらおう」


「ハイ、では降りる船員の選別を行って貰いまショウ」

「船長と航海士と会計が分かる者を欲しいのだが」


「下船希望者に沈没船の船長と航海士は居ましたが、会計はどうでしたカナ」

ワシは下船希望者一覧の紙を取り出す。スペイン語の上に日本語が訳されている。特技に会計がある者を探す。

ゴンサロ 会計

いた! 早速上様に紙を渡す。


「希望者の中のゴンサロが会計が出来る様じゃの」

「ゴンサロですか、良いでショウ。他には?」


上様と共に紙を見渡し、追加の人員に丸をつけていく。


「今回受け入れる者には印をつけたが、それ以外にも希望者がいたら、マニラで調達した船の船員に雇おう。ビクトルからも口添えしてもらえるか?」

「良いでショウ。では日本とスペインの未来が輝かしい

事を願いまショウ!」


「応!」

話はトントンと上手くついた。

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