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船の買い付け・船員雇入れ

船の出張買い取り提案にカルロスが応える。

「喜んデ!」


「船がこちらに到着してから金と交換は可能か?」

「手数料が1割ほど発生しますが良いですカ?」


「現金か後払いかは、上様と相談の上で決める。船の相場を書いてもらえるか?」

船の種類は大まかにキャラック(貨物用)、キャラベル

(探検用)、ガレオン(戦闘用)とそれぞれの標準的な

値段を書き込んでいく。


「何隻くらいなら買えそうかの?」

「マニラの港に残ってるのは2隻くらいでショウ。新艦の建造注文なら1年後に2隻程デスネ」


「船で戻ってくる時に船長や航海士の経験のある者も

雇ってこれるか?相場の1.5倍まで出すぞ」

「日本に立ち寄った事のある者達に声をかけマス。シエスタ大名の事を知っている者の方が話が早いですシ」


「シエスタ大名とは誰のことじゃ?」

「信盛サン以外に私達と一緒にシエスタした日本人は

居ませんヨ?」

(信栄もしていたと思うが)


「もう領地は持ってないぞ?」

「それでもお金持ちデス、金払いも良さそうデス。貿易をしたいのですカ?」


「そうなるな、織田家ももうすぐ戦が終われば自前の船で貿易を考えていてな。ワシがその担当じゃ。今回台風で船が沈没したと聞いて、今から準備しておこうと思ったのじゃ」

「なるほど、他に必要なモノありますカ?」


「海賊対策に新しい大砲がほしい。数は10で良かろう」

「了解デス」


「他にも印刷機や利益は出なくても、今後の日本に役立ちそうなモノかの。あと痩せた土地でも育つ食物の種や苗か。それは現金払いの方が良かろうな?」

「そうですネ、誰か同行しますカ?」


「信栄と護衛1人と通詞1人とカルロスの4人で行って貰いたい」

「ヒデですか、了解デス」


信栄はヒデと呼ばれているのか。きっと長い音節は覚えにくいのだろう。



信栄を探すと、居残り組の船員達とカルタをしてる。早速親交を温めているようだ。



「信栄! 助介」

「ハッ!」2人が近寄ってくる。


「上様の許可が出ればだが、信栄にはこちらのカルロスとマニラに行って、船と大砲や印刷機・今後の日本に役に立ちそうなものを買い付けに行って貰いたい」

「分かりました、父上!」信栄の声が弾んでいる。


「茶器は2つまでにしておけ。高価な物でなく、独特な作りで日本でも作れて、売れそうな物を選べ」


「承知しました!」

少し不安だが、こ奴の目利きに期待しよう。


「助介よ、護衛を1人出して欲しい。剣の腕は並でよい。若くて要領が良くて、船員と一緒に動いて言葉を覚える者が良いな。信栄にも同じことを期待してるぞ」

「分かりました!」

「希望者を募って適任者を選びまする」


「よし、ワシはこれから上様に報告じゃ。船の買い付けと信栄達の同行の許可をもらう。他に何か気になる事があれば思いつき次第伝えてくれ」

「ハッ」


「それとカルロス、4人乗客が増えるだろうから、その運賃を船団長と交渉してくれ。その分、船員を4人降ろすかも知れん。4人共雇う。この名簿の中から選べ。可能なら船長や航海士を優先で募集してくれ。相場の1.5倍出すとな」

「分かりまシタ」


「それと九州から奴隷として売られた日本人を現地で

見掛けたら買い戻してもらいたい。売られた時の5倍まで出しても良いからな」

「その者たちは日本の役にたつのですカ?」


「日本の矜持きょうじの問題じゃ」

「承知しまシタ」



シエスタも終わったようなので、配下のスペイン人全てを集め、今月給与の日割り分をワシの手持ちから配る。船員共は大喜びだが、ワシの懐は一挙に寂しくなる。


まぁ、その分は働いてもらおう。まだ船は動かせないので、それぞれの特技に応じて動いてもらう。


何か形に出来る者は作ってもらい、日本にこれがあれば

便利だと考える者には、必要な機材ややり方を書かせる。沈没した船の構造に詳しい者には図面を書いてもらう。


特にやる事が無い者には、船団の船員たちから本や役に立ちそうな物を買ってこさせる。絵付きのモノがよいと伝える。

役に立ちそうなモノは何でも高く買い取る。本は図書室に収めて皆が読めるようにしても良い。


自分の業務内容を記して提出させる。それぞれが役割に応じて動いていく。

信栄にはしばらく取りまとめをしてもらおう。


さてと、有閑殿に急いでこちらの交渉結果を伝えねば。



「なんと!余った船員を全員雇うとは大胆な人取りですな」

「後腐れは無い様に納得の上、当面の給料を与えたのみよ」


「しかし上々の仕事ですぞ!上様も喜びましょう」

「フム、でマニラで船を買う金は出ますかな?」


「予想以上に進展が早いゆえ、普通なら難しかろう。

が方面軍は大きく動かさんのだろう? 硝石に金を出さんで済むなら工面は出来ようぞ。なに、手前からも後押ししておくゆえ、信盛殿は話を進められよ」

かたじけない。所で彼らの給与は今後どこから

出す方が良いかの?もうワシの手持ちも尽きたでな」


「上様から報せが来てからになろうが、当座の分は手前から貸しておこう」

「助かる。それと通詞を当面付けて欲しいんじゃが、何人まで借りられるかの?」


「3人つけよう。一緒に過ごせば通詞の上達にもなろう」

「感謝する。船団の出航は明後日の昼らしい。早めに上様に報告書を出そうぞ」


「そうよな。手前も忙しくなってきたわい」


沈没船の購入の経緯は有閑殿が、船員の雇い上げとマニラで船を購入についてはワシから報告を上げる。一緒に届けて貰うとしよう。

1440年頃には金属活字を使った印刷術が考案され、印刷革命がエウロパで始まっている。

現時点の1580年では充分に普及と思われる。

アルファベットと数字・特殊記号で約50文字分の活字があれば十分。


ただ日本語だとひらがなだけなら同じ位で済むが、漢字までと考えると活字数が膨大になりすぎて、少し扱いが難しそう。

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