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船員引き抜き



船団長と有閑殿が入っていったという屋敷前で、門番に「盛栄」が呼ばれて参ったと伝える。


門番の1人が奥に確認に行き、有閑殿と共に戻って来る。


「なるほど、確かに『盛栄』殿じゃの」

息子の信栄も連れて来てるので、合わせて盛栄である。


「あちらとの話はついたようじゃの?」

「大凡はな。残る人員が問題じゃ」


「ワシが船員たちに会って話してみよう」

船員たちがたむろしている所に案内してもらう。


大部屋でガヤガヤとスペイン人達が横になって寝ていたり、何やら話し込んだりしている。見知った者も多い。シエスタ(昼寝)仲間じゃ。


「Hola!(こんにちは!)」取り敢えず声を掛ける。怪訝な顔をされて「誰ダ?」という雰囲気。ワシの人相が変わったから分からないらしい。


「Hola!」信栄が言うと「Hola!」と笑顔で返って来る。


ウム、連れて来て正解だった。認識されたようだ。以後は有閑殿から借り受けた通詞を介しての話となる。


「ワシは信盛じゃ。寺に入って痩せてしまって分からん

かったようじゃの」

顔馴染みの者が代表して応える。

「オゥー、追放されて大変だったと聞いたヨ」


「内緒じゃが、上様と和解は済ませたでな。それよりお主達の方が大変そうじゃの?」


「そうなんダ、台風で船が沈んでネ、誰が残るか決め

なきゃならないんだガ、給料も大して出ないし、誰も残りたくないんダ」


「そうなのか、皆の給料はどれぐらいだ?」


それぞれが金額を口にする。大体同じである。少し高い金額を言った男は会計の出来る奴だ。


ワシはその1.5倍の金額を提示する。

「どうだ? ワシの所で働かんか?」


皆顔を見合わせている。

「仕事は何をするんダ?」


「沈んだ船を織田家が買いとったろう?それを引き揚げて修理して操船の練習をする。その手伝いをして欲しいんじゃ」

「俺達では引き揚げは無理ダ」


「引き揚げはこちらでする。船大工の経験がある者は日本の船大工と一緒に、修理をして欲しい。操船が出来る者は操船じゃ。

他にも得意な事が有る者は、その仕事に就いてもいい。働きが良ければ給金は追加するでな」

「期間はいつまでですカ?」


「望む限り居ていい、帰りたくなったら帰っても良い。ずっと居るなら家も嫁も用意するぞ」

そう言ってワシは懐から金子を取り出してみせる。

「オォー! 金は織田家からでるという事ですカ?」

「そうなるな」


不安を示す者もいたが、ここは織田領で治安も良く約束が違えられる心配も少ない。



希望者が名乗りを上げてくる。かなり多い。嬉しい誤算である。


全員は無理なので名前・父母の出身地と職業・特技・

家族構成など一人づつ、通詞が聞き、書き取っていく。


その名簿から採用する12人を、出身地と特技が違う様に選び出す。選んだ者の名前を呼ぶ度に歓声が上がる。


呼ばれなかった者の嘆きの声が漏れる。その者たちには次回に声を掛けるかも知れんと伝える。頭を振りつつ散っていく。



さて選んだ中の会計の出来る男、カルロスを呼ぶ。

「船団の出発はいつになる?」

「船体の点検と荷物の積み直しで明後日の昼頃デス」


「マニラ(フィリピンの首都)にはいつ頃戻るか?」

「1ヶ月程後デショウ」


「カルロス、マニラまで船を買いに行って貰えんか?買い付け金額の1厘(1%)はそなたの取り分じゃ。給料とは別ぞ」

シエスタってスペインが熱帯の国を植民地にしてた時からの習慣かと思ってたんですが、スペイン本国が6月頃から40度超える日があるため発生したとか。


時間帯は午後3時頃で2時間が一般的で、ただEU加盟の影響から廃止する企業も増えているらしい。

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