冷害と飢饉と南方開発
「林殿に追加で申し訳ないが、調べて欲しい事があるのです」
「うむ、何じゃ」
「今回の戦乱の世には人以外に天の影響があるかと」
「天というと冷害か?」
「はい、冷害で喰えなくなり田畑を捨てて京に流れ込み、疫病や治安の悪化で世がさらに不安定になったと聞きます。
そこで冷害が発生した年月と場所と影響を調べて欲しいのです」
「なるほどな。冷害に早く対処できていれば、防げることも多かったろうのう」と上様も同意する。
「はい、北が冷害なら南から米を運び、南が台風で不作なら北から米を南に送る。南方開発の理由になる冷害の記録が欲しいのです」
「生産地の分散か、天候の急変に強くなるな」
「左様にございます。また他に冷害対策として、エウロパから農業技術と新しき食物を仕入れる事も大事かと」
「そうじゃな」
「上様は天下統一後に船団をどの方向に向けますか?」
「強敵が居ない限り全方位じゃな、先に抑えた者勝ちじゃろ?」
「そのようですな。明には如何致しますか?」
「貿易にも応じん国など放っておけば良い。ジワジワと国力が落ちるだけじゃろ」
「それを聞いて安心しました。ワシも同意見です。ただ統一後に船で撃って出ると聞いて、水軍衆の様な慣れん事をするより、半島伝いに大陸を押し渡りたがる連中が多いと予想します」
「そやつらの意見を押し留める良き考えはあるか?」
「領土的な広さより交易路の確保が重要です。が先ほどの冷害対策としての南方開発は、良き理由にできます。
四国ほどに広く開発に労力が要りますので。基本的に陸地で他国と接しない方が良いかと」
「確かにな。が戦国の世を経て火力も増大した今、日本は大陸に対して優位を取れよう?
それを言い立ててくる者には如何する?」
「半島を渡って明の3分の1くらいまでは取れましょう。
しかしそこまで押されると明もエウロパ人から鉄砲・大砲を買って対抗するでしょう。
そうなると北と西の遊牧民族、南の明に囲まれます。異国で身動き取れなくなり、時間の浪費です」
「であるな、それよりは交易路の港となる島を点々と抑えるほうが良かろう。時間との勝負であるしな」
「はい、と言うことは重点はまず沖縄、台湾。そこからは情報を仕入れつつインド、更にはアフリカ周りの島々でしょうか?」
「じゃな、ゆくゆくはエウロパまで自力で辿り着きたいの。がまずは周辺の探索と、島に日本人をいれるぞ。北も東もエウロパへも着実にじゃ」
「是非やりましょうぞ!」
「そうよの、色々長くなったが、貞秀は
足利将軍家没落の経緯の調査
奴隷売買の禁止令の勅令の要請
冷害が発生状況の調査じゃな。
まぁ奴隷禁止令が優先での。他はついでに着実にじゃ!」
「畏まりました!」
「信盛は船と話の分かる人材確保じゃ。
他は五賢帝時代の婿取りの調査か。船を最優先で行け!」
「承知致しました!」
「さて、当面のことは決まったし、甘いものでも食べようぞ。それと」
と言って助介になにやら指示している。




