ヘタレ少女(仮)の告白
「好きなん……です…けど」
春の訪れを微かに感じる夕暮れ時。
日曜の騒がしい駅ビルの1階で、僕が告白した相手は______
「で?どうだったの?」
「取り敢えず、もうちょっと考えてもらう事にした」
「どうゆう事?」
僕の恋愛相談をいつも聞いてくれる友人Tに、LINEで事後報告の最中だ。
人生で一世一代の大告白、かなり緊張していたにも関わらず、一部始終はっきり覚えているのは、恐らく度肝を抜かれる返答を貰ったからに違いない。
「いいよ…って即答されたんです」
「いや、良かったじゃん!」
「嬉しかったけど、良かないよ!だって、僕はこれでも女子だよ!?」
そうなのだ。いくらボーイッシュな服装が好きで、化粧っ気が無く、「僕」という一人称を使っていたとしても、僕は生物学上、女と分類される。
あるものが無くて、無い物があるのである。
だからこそ、拒否される事はあれど、受け入れられる事はないと思っていた。
ので…
「1週間待ってほしいと?」
「はい」
「う○こじゃん(゜д゜)」
「違う、1週間じっくり考えて欲しいって言ったの!」
「だから、う○こじゃん( ゜Д゜)」
告白しておきながら、ビビッて返事を待ってもらうという意味不明な状況が完成したのである。ムカつくけれど、友人の発言に反論なぞ出来ない。
そして、1週間。
共通の知り合いとの食事会が終わり、一緒になった帰り道。
「考えても、答え変わらなかったんだけど……どうする?」
相手の口から出たのは、僕の覚悟を試すような一言。
始めは憧れから、周囲を惹きつける不思議な雰囲気と、誰にでも分け隔てなく接する人柄が羨ましかった。それから、この人の弱さを知って、努力を知って、気づけば姿を目で追っていた。
人懐っこくて、しっかり者で、時々驚くくらいカッコよくて、遠い存在に見える彼女が__
「先輩の無理のない範囲で…宜しくお願いします」
好きです。
ヘタレ少女(仮)の告白 おわり…?
如何だったでしょうか?
宜しければ、連載の方も宜しくお願い致します。