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第164話「6人の反乱者」(1)

エルバ城内では、まだエルバの話が続いていた…


改稿(2020/11/12)

 ベルが白い少年を倒した頃、エルバ城内ではまだ帝王とナイトの会話が続いていた。


「ちょうど良い頃合い…ですか?」


「あぁ……騎士団長グレゴリオに忠義を尽くして来たお前も、最近は奴の思想に疑問を抱き始めていたはずだろう?」


「まさか……グレゴリオ様がギギだとでも?」


「憶測するのはお前の勝手だ。が、グレゴリオの素顔は、お前でさえ見た事がないはずだ」


 エルバは、今がちょうど良い頃合いだと言う。

 しかし、なぜちょうど良い頃合いなのか、そして何のためにちょうど良いのか。ナイトにはそれが理解出来なかった。


「確かに、僕は未だにグレゴリオ様の素顔を見た事がない…」


「M-12隊長として行動する中、何か不自然な事を感じなかったか?」


「不自然な事…そう言えば強引なブラック・サーティーンの収集は不自然だ。ブラック・サーティーンを悪用されないための収集だと聞いていたけど、もしも騎士団がブラック・サーティーンを悪用しようとしているのなら……人間の身体を蝕む悪魔を解き放つ。そんな事も言っていたような気がします」


 ナイトが抱き始めていた疑問。それは、騎士団長グレゴリオの本当の狙いが伺い知れない事だった。

 ナイトは騎士団に置いて、グレゴリオに並ぶ権力者。

 ところが、そんなナイトでもグレゴリオの素顔を見た事がないと言うのは、おかしな話だ。


「良いぞ…少しずつ真相に近づいているのではないか?きっと騎士団のブラック・サーティーン収集と最終戦争(ラグナロク)には何らかの関連性がある。ギギの思惑が絡んでいるのは、まず間違いないな」


最終戦争(ラグナロク)…でもさっきあなたは最終戦争(ラグナロク)が文字通りの争いだとは限らないと…」


最終戦争(ラグナロク)が、どのような形で訪れるのかは分からない。もちろん文字通り人間同士が滅ぼし合う可能性だってあるだろう。いずれにせよ、ギギは最終戦争(ラグナロク)に関わる何らかの計画を持っているはずだ。新しい世界を創り上げるために彼女が選んだのは、“悪魔の力”だった。それは偶然か、それとも必然か」


「何が言いたい?」


「帝国崩壊後、彼女は積極的に黒魔術(グリモア)を世界中に広めて行った。彼女が帝国を滅ぼした理由は、人々を苦しみから救うためだけではない。無知な人間どもに“悪魔の力”を享受させるため、権力を手にする必要があったのだ。彼女と黒魔術(グリモア)、いや悪魔との間には、何か大きな秘密が隠されている」


「恐ろしい…ギギは一体何を考えているんだ…」


 エルバに言わせれば、黒魔術士(グリゴリ)騎士団は、何らかの形でギギに関わっている可能性が濃厚だった。人々の間で囁かれる最終戦争(ラグナロク)と、騎士団のブラック・サーティーン収集。この2つは、どのような形で繋がるのだろうか。


「ギギの野望は底が知れない。最終戦争(ラグナロク)を阻止するためにも、彼女の計画を思い通りに進めさせるわけには行かない」


「でも、ギギが考えている事が分からないのなら、止めようが無いんじゃ…」


「だから、ベル・クイール・ファウストをはじめとする、6名の新たな反乱者が集う必要があった。奴らの野望を暴き、食い止めるために」


「6名の新たな反乱者…?今バレンティスに、ベル君と僕を除いて4人の人間がいると言う事か?」


「その通り。正確には、私を含め4人だ。私の計画と偶然が上手く重なった事により、6名の新たな反乱者が、もうすぐ一堂に会すのだ」


 エルバの言う事が正しいとすれば、リリやアイザックがこの場所に来る事も仕組まれていたと言う事になる。その反乱者には、エルバ自身も含まれているらしい。


「そんなに都合よく、特定の6名を集める事が出来るんですか?」


「あぁ、偶然が重なった事が大きいが、夢の力を使えば少しばかりではあるが、物事は誘導出来るものだよ。私が実際に行動に移した事は、“エルバの意志を継ぐ者”の都市伝説に乗っかり、わざとらしくこの遺跡地区に姿を現した事くらいだ。正直6名全員集まるか確信は無かったが、どうやら作戦成功のようだ」


「あなたは運が良いようだ…」


「全くだ」


 巷に広がる都市伝説に便乗する事により、帝王エルバは見事自分以外の5名を、この地に集めた。


「気になっていたんですが、その“偶然”とは一体何なんですか?」


「やはり気になるか。偶然とは、ファウストが騎士団の秘密を知り、さらに部分的に記憶を消されてしまった事だ。死んだはずのエルバに関わるミッションならば、M-12のお前が任命され、経過観察のためにファウストがバディに選ばれる。私はそう踏んでいた。反乱者を集めるには、今が最高のタイミングだったと言うわけだ」


「僕がこの状況を作り出したと言う事か…」


「ある意味そうだ。私はお前に感謝しているぞ」


 記憶を失ったベルがバレンティスに赴けば、それに付随してリリ、アレン、アイザックがこの地に向かう。エルバは、そう言う展開を見通していたと言う事になる。策士であるエルバは、もしかすると白い少年とリリスもこの地に向かうように仕向けていたのかもしれない。


「“新たなはじまり”には、この6名が不可欠なのだ」


「“新たなはじまり”?」


「言ったであろう?我々は、世界が最悪の結末をたどらないよう、ギギの暴走を止める必要がある。ギギの暴走を止めるため、これからお前たちには動いてもらう」


 バレンティスに集められた6人は、ギギの暴走を止めるためにこの場に集められた。ギギは今も尚生き永らえ、影で暴走している。まだそれを直接目撃したわけではないナイトは、まだ半信半疑の状態だ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


エルバの言う“新たなはじまり”とは…

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