第四話
それから2年後・・・
「プルルゥ・・。プルルゥ・・。」
土曜日の朝、孝の家の電話が鳴り響いています。
「もぉ・・自分の家の電話でしょ?・・どうして私が出なくちゃいけないのよ・・!」
普段より少し高い声で電話に出た裕貴は相手の声に少し驚いていました。
「もしもし?ゆうこ?来ていたの?もぉ・・いつも土曜日の朝は気だるい雰囲気だね・・・。昨日の夜はラブラブだったのかな?全くうちの兄貴のどこがいいんだか・・・」
そう言ってからかうように言ってきたのは孝の妹・亜紀でした。亜紀は孝の前では奥さんのように振舞う裕貴の良き理解者で、裕貴のことを女としてみていました。
「亜紀ったら、からかわないでよぉ・・・。」
「あれ〜?もしかして赤くなっているのかな?そんなに恥ずかしがらないで、もっと堂々と奥さんしていればいいのに!」
と、男の子のようにからかいだす亜紀に対して裕貴は
「そんなぁ・・・。うちの親が理解できない事を知っいてるくせに・・。あ、思い出した!亜紀この前、お母さんの前でゆうこ!って呼んだでしょ?あの後大変だったんだからね〜」
と、少し語気を荒げて文句を言いました。
それでも、悪気もみせずに亜紀は何事もなかったかのように
「細かいこと気にするなって!いいじゃん、そんなの。『私はゆうこよ!』って思い切って言っちゃえば・・」
「亜紀のばかっ・・・。」
「アハハ・・・。また、赤くなっているんだぁ〜。か〜わいいね!ゆうこは。」
二人の会話はどちらが男でどちらが女かわからなくなるものになっていました。でも、二人の会話が心地よく弾んでいることは他の誰からみても明らかで、裕貴にとって孝よりももっと気が合う妹の亜紀にはいつもからかわれていても楽しさを感じるのでした。そして、亜紀の前では女でいられることも