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監獄アイドル シャイニングビッチ!  作者: 南極パラダイス
2/2

その2

「ちょっとケイ。あんたにいいモノあげるわよ」


アタシが自分に部屋のベッドに寝っころがって漫画を読んでいたら、いきなり大学二年生のお姉ちゃんが邪悪な笑みを浮かべながら、ズカズカと遠慮もなしにアタシの部屋に入ってきてそう言った。


「え~~、なによ~お姉ちゃんいいモノって?」


アタシは面倒くさそうに起き上がりながらそう言った。


「ふふふ、そーね当ててごらんなさいよ」


う~~ん、なんか嫌な予感がする。


だいたいあのケチでいつも金欠で困ってるお姉ちゃんがアタシに誕生日とかでもないのに何かくれるなんて絶対怪しい(因みに去年のお姉ちゃんの誕生日プレゼントは駅前で店員さんが配ってたワクドナルドの割引券)。


「ほらほら早く答えなさいよ!」


あ~あ、面倒くさい。でもここで無視すると余計絡んでくるからな~。


ここは適当に答えておくか。


「ん~~~。そうだな~。次のコ〇ケのスタッフ入場券?それさえあれば開場前に入れるから人気サークルの同人誌を買い漁放題!ヤブーのオークションで一儲けでき……」


バキ!


お姉ちゃんのお父さん直伝脳天空竹割りが炸裂!


「いた~~~~!もう!ぶつことないじゃん!」


アタシは殴られた頭を撫でながら恨めしそうにお姉ちゃんを睨んだ。




美人で一見深窓の令嬢のようなお姉ちゃんだが、実は大のプロレスファン(うちのお父さんの影響なんだけど)で、部屋中にプロレスラーのポスターが貼られ、何かというと直ぐに鉄拳制裁を加えてくるのだ。


「なに馬鹿いってんの!そんなもんじゃないわよ!」


「でも、お姉ちゃん昔とオタク友達とよくやってたじゃない!」


お姉ちゃんはいわゆるおオタクでもあり、大学では現代退廃文化研究会、略して『げんたいけん』に所属してる。


今はどうか知らないけど、ひと昔はコ〇ケのその辺の規制が緩く、どこからかスタッフ用の入場券を入手してきて、並ばずに入場し、大手人気サークルの本を買い漁ってた(もちろん今じゃこんなことできないけど)。


人手が足らず、まだ小学生だったアタシも借り出されたけ。


あ~あ。思い出すのもおぞましい。


あの会場の汗と熱気とそこにたむろする人間たちから発せられるおぞましい邪気が未だに忘れられない。


「あ、あれは、え~~、その~~~、若気の至りというやつで。い、今じゃちゃんと並んで入場してるし、それにワタシらは転売目的で買ってたわけじゃないんだから。あくまで作品への愛からの純粋な気持ちから……」


まあ何いったって言い訳にしか聞こえないけど。


でも確かに最初から転売目的やってる連中よりは少しは罪は軽いかな。


ほら!去年の冬コミで『高すぎたお城の男』の本買って、高すぎる値段でヤブーで売りさばいてるお前だよ!お前!




「あ~、はいはい。もう言い訳はいいから。で、何をくれるわけ?」


話が長くなりそうなのでアタシは強引に話題を元に戻した。


「あっ!そうそう、ジャジャーん!ほらこれあげるわ」


アタシの目の前にお姉ちゃんが二年前に買ったノートパソコンが差し出された。


「なーんだ。お姉ちゃんのお古のノートパソコンか。どうせ廃棄処分するのが面倒だからアタシに押し付けるんでしょ」


先日新型のパソコンを買ったのでお役御免というわけか。


「ギク!ば、ば、馬鹿ね。あんたパソコン持ってないでしょ。高校生にもなってパソコンの一台くらい持ってないようじゃ。時代に取り残されるわよ」


痛いところを突かれたのかお姉ちゃんの言葉に焦りを感じる。


「いーよ別に。ケータイだけあれば大抵のこと足りるし」


実際パソコンとか全然興味ないし。


「あっまーーーい!今時パソコンの一つ使いこなせないようじゃ、この就職超氷河期の時代生きていけないわよ。だいたいあんたみたいに顔もお頭も身体能力もオール『並み』な人間は一つでも多くスキルがあったほうがこの先、生きていくうえで色々有利なのよ。ケイ、だいたいアンタには昔から向上心というものが欠けて……」


「ああーっ!もう分かった!分かりましたから!」


「うむ、分かればよろしい」


ホントいつの時代でも年上の兄弟の説教ほど聞かされて疎ましいものはないよね。


「そんじゃお姉様からのプレゼントありがたく頂きます」


まあ確かにパソコン使うこともあるだろうし、旧式の中古だけど持っていてもいいかな。


でもさ、二年前の製品がもう旧式ってどんだけ儲けりゃ気が済んだよ。ビルのやつ。


「最初からそう言えばいいのよ。ほんじゃほい!本体と説明書一式」


パソコンと関連機器一式、ドカッとワタシに手渡すお姉ちゃん。


「うわ!なにこの説明書。こんなぶ厚い説明書読むやつなんかいないよ」


「まあ、最低限必要なところにはワタシが赤線付けといたから、そこだけ読んどきゃなんとかなるわよ」


「ならいいけど」


「それじゃあね。分からないことがあったら何時でも聞きにきなさいよ」


コミケのカタログ並にぶ厚い説明書パラパラとめくるアタシを残し部屋から立ち去ろうとしたとき、


「ああ、そうだ。ところでさあ~、あんたに先月五千円借りてたけど……これでチャラってことでいいわよね」


と、お姉ちゃんは言葉を濁しながら小声でそう呟いた。





……おい、こら、そこのアマ、ちょっ待てや。

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