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ラッパ吹きの休日  作者: 雪 よしの
ドイツへ留学する
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バケーションの終わり、よき父親とは?

夏休みの終わり、カイトは香澄さんとクラウスの不仲の原因に、思い当たったようです。


誤字脱字が多かったので、直しました。内容はほぼ変わりませんです。

 結局、1週間の休みのうち、俺は3日間、香澄さんとマヨルカ島観光。フェリックスとクラウスは、浜辺で過ごした。香澄さんとクラウスの喧嘩がない、ストレスフリーな3日間になった。


 ガウディも参加したというパルマの大聖堂も見たし、鍾乳洞も見学にしてきた。中世の町ががそのまま残ったような街並みで、彼女の買い物にも付き合った。


 まあ、楽しかったけれど、楽しんでいいんだろうか?俺にはセリナちゃんがいるのに。ちょっぴり罪悪感だ。今度はセリナちゃんと新婚旅行で来たい。とあれこれ観光ルートを考えたりするうち、自然とにやけてきたみたいで、香澄さんから指摘された。


 ただ、3日目になると、クラウスのほうが、限界だったよう。疲れてる。そりゃ、海で3日間遊べば疲れる。


「だいぶ疲れました?」

「1日目の終わりで、すでに限界を感じてたよ。子供と一日一緒に遊ぶのが、あれだけえねるぎーがいるものだとは、思わなかった。言葉が上手く通じない時もあるし、ずっと息子にふりまわされてた。楽しいような、少し面倒なような。明日は、一緒に海に行ってくれ。頼む!」


 香澄さんは、明日、レストランで食べ歩きしたいと言っていたけど、あとまた買い物と・・

正直、俺も、海へ行きたいけれど、彼女を一人にさせるのもな・・


 クラウスが部屋のソファでグダってるところ、香澄さんが入って来た。彼女は海へはいかないのかな?海水浴には興味ないとか。


「香澄さん、あの・・・」

「ふふ、3日間でねをあげたわね。どう?息子とずっと遊べて楽しかったでしょ。でも、親としてはまだまだね。子供をある程度、自由にさせておかないと、身がもたないわよ。」


 彼女の顔は、”それみたことか、ざまあごらんあそべ”って言ってる。フェリックスが生まれてから家を出るまで、クラウスは育児には殆ど参加しなかったと、そういえば彼女は、愚痴ってた。それで、半分、育児ノイローゼのようになった。で”チェロを弾く時だけ天国だった”って。


 これから本格的にセリナちゃんとと考えてる俺は、結婚生活破たんのプロセスが、手にとるように分かった。これも”見聞を広める”の一つ?いや、どっちかというと知りたくなかったかも。


 残りの二日間は、俺はフェリックスと海水浴。確かに楽しいけど疲れるかも。バナナボードに乗せてあそばせたり。泳ぎの練習をさせたり。俺が疲れると、香澄さんがかわってくれた。

で、クラウスはというと、ほぼ寝たきり。砂浜で日光浴してる。


 そういえば、欧州の人って、日光浴を好むんだっけ。日焼けは火傷のようなもんだけど、痛くならないのかな?


「あまり日に当たりすぎると、水膨れでひどくなるんじゃないんですか?」

「起こしてくれてありがとう、傘の下で寝る事にするよ」


 じゃあ、寝るだけならホテルで熟睡したほうがとツッコミたい。少しでも日の光を浴びたい人種なのだろう。あーあ、でも行動は古いタイプの日本人の父親のようだ。


*** *** *** *** *** *** ***

 結局、4人一緒に帰国する事になった。”カイトがいないと”と、クラウスと香澄さんの一致した意見だ。飛行機の手続きは、面倒だった。バルセロナでテロと思われる事件がおき、バカンスを途中で切り上げる人も多かったせいだ。


 欧州では、今、テロが頻発してる。日本じゃ考えられないけどね。治安が日本と比べよくないのもあるけど、テロはそれとまったく別。食事を楽しんでるカフェで自爆テロがおきたるのは、防ぎようがない。怖いけど。


 家について、ホっとする。夕食は手抜きで、近所のベーカリーで買った、サンドイッチ、プリツェル、牛乳で終わり。


 香澄さんとフェリックスは夜の8時には寝たようだ。クラウスは居間でビールを飲みながら、TVを、半分、寝ながら見てる。俺は音楽室で練習をすることにした。


 体がだるい、目が半分落ちる。マウスピースで練習しながら、これじゃ効率あがらんと、10分だけ寝るつもりが、そのまま熟睡して、起きたら午前2時。もうこれは無理と、自室にもどりまた爆睡。結局、1週間、楽器に触らなかった。

*** *** *** *** *** *** ***


 翌朝は、フェリックスに起こされた。ううむ、子供に起こされるとは恥だ。香澄さんもやっと起きたばかりで、半分、寝ぼけ眼だ。クラウスはもうおこしても起きないだろうから放置。


「ごめん、カイト。寝坊しちゃった。朝はコーヒーとパンでいいよね。フェリックスには牛乳」

「彼には、オレンジジュースがあるので。本当は野菜とかとったほうがいいんですけどね」


 自分はどうでも、子供の栄養には気を付けないとな。すっかり俺って保父だ。


「カイトみたいに、マメな父親もいいわね。クラウスは頼りになるけど、怖いし、昔は子供の面倒なんかみなかったし。」


 はいはいはい、その愚痴、この間も聴きました。それに今の言葉、俺は頼りにはならない の裏返しじゃん。俺が何度、クラウスの事を弁護しようとも、一度、思い込んだらもう駄目なんだな。女の人ってそうなんだろうか。セリナちゃんも、頼りにならないやつと思い込まれたら、捨てられるのか?うわ、実際、俺ってなんちゃって学生でニート予備軍かもしれないのに。捨てられたりして。


*** *** **** ****

 今日はエドが遊びに来るんだっけ?練習じゃなくて遊びってとこが、まだ夏休みなんだなって思う。でもついでだから、今度のコンクールの事、少しでも打ち合わせしておきたいな。


 幸い、エドもそう思ってたらしく、一緒に家族で夕食に出かけた後、エドと俺は、今度の地元で行われる音楽コンクールの打ち合わせを、少しだけした。エドは俺の選んだ2次の曲に、少し疑問をもったようだ。もっと技巧的に難しいのを選んではと。俺の選んだ”ルスティカーナ”では易しすぎなのかも。でも、2次のもう一つの課題は、新曲で独奏だ。もう超絶テクニック使いまくりで、曲想も難しいというか、よくわからない。ちょっと難物だ。


 エドと30分ほど話し、練習日程を決めたあと、ちょっと聞いてみた。香澄さんの駆け落ちの相手、ジョン・ポールは伴奏専門のプロのピアニストだった。同じ業界だから、どんな人かなと、たんなる好奇心で。


「ジャン・ポールか、彼はお金持ちのお坊ちゃまでね。優男で人当たりはいいんだけどな、俺にはどうも、うそくさく思えるんだ。」


 そう思える理由を聞いて、俺はそのおぞましさにザワっと来た。エドは、噂を小耳にはさんだだけだし俺の勝手な想像も入ってるから、クラウスには言うなと念をおされた。言えるはずもない。まさか彼が◎◎◎かもだとは。


 

週一 更新。なるべく週末に更新します^^;

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