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ラッパ吹きの休日  作者: 雪 よしの
音大生 院生時代
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面倒見がいいというか・・

初あわせ練習の後、次回の打ち合わせした後、小百合ちゃんの話しになった。


話によると、セリナちゃんは、小百合ちゃんと友達で、俺の事も

たまに、話題にでてたそうな。

うm、どんな事だろう・・俺との恋話でない事は、残念ながら確かだ


「小百合ちゃん、カイト君の事、”マジメで面倒見がいい”

”面倒ごとをおしつけられるタイプ”とも言ってた。

もしかして、私のことも、その面倒ごとのうちに入ったりして」


俺は、思わずコーヒーを噴出してしまった。

セリナちゃんがそれをケラケラ笑ってる。


「それ反対ですよ。セリナちゃんが、”僕の伴奏”という面倒ごとを

押し付けられたんです。自分のコンクールも控えてるのに、セリナちゃんには

負担かけて、本当に申し訳ない」


伴奏とはいえ、コンクールだ。もしかしなくても迷惑だったと思う。

俺はたかだか院生だし。


「小百合ちゃんね。カイトとの練習、楽しみにしてた。

やっぱり、どうしても練習中、落ち込むというか、

迷路にはまっちゃうようなときがあるわよね。そんな時に、小百合ちゃん、

カイト君の音を聞いて、スッキリするんですって。

私も今日、聴いてわかった。カイト君の音は、明るくて聞いていて心が

軽くなる」


ごく普通顔で褒められたので、俺は絶句してしまった。

確かに俺の音は明るいと師匠にも言われた。

半面、暗い音や地をはいまわるようなドスドスした音は、苦手。

それで、ブログの”ポストカード”という曲で苦戦してる最中だ。


セリナちゃんは、練習室を片付けながら

「小百合ちゃん、”こんなの簡単”って顔で弾いてるように見えるけど

人一倍練習してる。たぶん、一日に7時間くらい?

そんな中で、カイト君の吹奏楽団や金管アンサンブル、そのほか、いろんな

話は、彼女にとっては、貴重だったかもね」


俺は3年生くらいまでは、いろいろやっていた。

吹奏楽団で、チケット売ったり、ポスター手配したり、金管アンサンブルで

アレンジしやすい曲をみつけたり。

音楽以外では、よく、コンパの幹事役をやらされた。

俺が手配すると、そこそこ間違いのない店で、会計やコンパの進行とか

上手なのだそうだ。

おかげで、知り合い。友達が多い。


「今はさ、コンクールの練習に集中してるし、吹奏楽もアンサンブルも

やめてしまったけどね。まあ、慰問演奏くらいかな。」

知り合いに頼まれ、老人ホームへ、慰問演奏にでかける。

今年も、そろそろ、演奏する曲などの詳しい打ち合わせを、しておかないとな。

伴奏に、セリナちゃん、ボランティア出来てくれないかな。

ーー・-・--・-・--・-・--・-・-・--・-・-・-・-・-・-


今日は、練習室がとれなくて、最後の時間帯の午後6時から、やっととれた。

(本当は満室だったけれど、キャンセルがでたおかげだ)

練習は、ウォームアップ、基礎練習、練習曲からはじめ、一息ついたところで、

携帯が鳴った。辻岡からだ。


「ごめん、カイト、練習中だった?実はお願いがあって」

「多分、無理だから・・」

「そこをなんとか」


の押し問答の末、”お願い”の内容だけ聞かされた。

辻岡君は故郷の名古屋で、そこのアマチュアオーケストラで協奏曲を定期で

演奏することになてったそうだ。それも、ハイドンのトランペット協奏曲。


例えアマチュアオケでも、そこで協奏曲のソロを演奏するなんて、羨ましい限りだ。


辻岡は、転んで歯を折り今は、仮歯だ。その仮歯が、今日、抜けてしまったという。

何やってんだか・・

そのオケとの練習が明日で、さすがに前歯なしでは無理だから、代わりを頼むというもの。

そのオケとの練習は、明日と、リハーサルで2回。


これは、さすがに俺は最初、断った。

コンクールの課題曲になってるので、ここで乱されたくなかったからだ。

でも、ホールで吹ける機会はそうそうない。うmm。

迷った末、結局、引き受けた。


土曜の夜の練習で、交通費は向こう持ち。辻岡の実家に一泊して、

日曜日に帰るという、優雅な日程だ。

もちろん、日当は、本人のもらう分をいただく。

1楽章のカデンツァなしで、1万円。


コンクール本番に響いたらと心配したけど、無用な心配だってわかった。






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