迷惑メール
先生2人、生徒2人のレッスンが終わり、
先生がたに言われたフランセのソナチネの課題は、
セリナちゃんとは2回ほど、丁寧にあわせ練習した。。
2楽章は、比較的、テンポを自由に出来るけど、その自由さ加減は、
セリナちゃんと一緒じゃなきゃいけない。これは、何度も練習。
3楽章は、ジャズのようなリズムで、お互い、リズムが違ってる所が、ポイントかな。
2回目の練習の最後に、セリナちゃんの希望で、ジョリベのコンチェルティーノ、
3楽章だけあわせてみた。
よりによって、一番、難しい楽章を・・・
セリナちゃん、弾き始めるうちに、だんだん厳しい顔になっていった。
それに、テンポが速くなってる。あせってるんだ。”俺の音を聴いて” と
さりげにアイサインを送るが、もうこちらを見ていない。
ピアノだけの演奏の箇所では、腕も体もガチガチだった。
「セリナちゃん、ストップ。ちょっとアセりすぎ。
確かにテンポアップする箇所もあるけど、今の演奏は、アセってるだけに
聴こえた。もっとユックリいくべ」
演奏をとめ、こちらを バツの悪そうな顔で見てる。
「あの、私、ヘンな顔してなかった?怖い顔じゃなかった?」
いや、なぜ、顔にこだわるのかわからないけど、迫力はあった。
真剣さがでてたけど、ヘン顔 ではなかった。
いや、それよりも、音だな。最後のほうは、力みすぎたのか。
俺の正直な感想に
「よかった。普通の顔だったのね。」
って、気にするところは、そこかい!!
「いや、今、演奏をとめたフレーズ。
力みすぎてるのか、音色がいまいちだったきがするんだけどな」
合点がいったようで、そのフレーズを 今度はゆっくり弾いた。
うん、今の音はOKだ。リズムも軽いし、音も響いてる。
まあ、もっと速く弾くべき所だけどさ
「はぁ~ やっぱ、ここが難関。もっと”ゆっくり練習”を繰り返さないと」
セリナちゃん、楽譜を睨みながらの独り言。
「セリナちゃん、なんか、顔がどうのって どういう事?
この間も気になったんだけどさ」
そう言った途端、セリナちゃんは、ギクっと体を縮めて黙り込んだ。
しまった。地雷を踏んだか?俺。
慌てて、フォローしようとすると
「うん、ごめん。今度、時間があるとき話すね。約束する。
さあ、次の順の人が、外で待ってる。早く出ないと」
セリナちゃんが、”約束する”って言った時、こぶしをギュっとにぎってた。
ううm。男の子っぽい。そういう仕草もまたカワイイな。
って、そうじゃないだろ、俺!
きっと、話すのに勇気がいるんだ。さりげに、負担を軽くしてあげないと。
「了解。気が向いたときにでも ね。」
俺は、気長に待つって姿勢で行こう。
持ち物をかたづけないまま、そのまま持って、外に出た。
持ち時間10分オーバー。まずい。10分のぶんの使用料を次の人に渡し、平謝りした。
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明日は、東フィルの金管メンバーによるアンサンブル演奏会だ。
ふふ。セリナちゃんとは、1時間前にホール近くの公園で、約束。
夕暮れの公園で、ブラブラ散歩するのも、最初のデートっぽくていいだろう。
”僕と付き合って下さい”って、そこでセリナちゃんに言うつもりだ。
少し、緊張するかも。
明日を楽しみに、コンビニ弁当を食べてると、メール着信。
智春先輩からだ。さっそく、開く。ええと・・・エエエエ!
俺は速攻、”絶対無理”と返信した。
智春先輩のメールは
”ごめん、お願いがあるんだ。トランペットの塚田君。本人、自分の楽器が
欲しいと親にねだったんだけど、すごく怒られたって。
それでも、本人、諦めてないし。親からはクレームの電話がくるし。
なんとか、塚田父のほうを、なだめてくれないかい。明日の金管アンサンブル演奏会へ
出向くって。カイトも明日、演奏会へ行くんだろ?
もう、僕じゃ、対応しきれなくて・・。
”息子がこんなにラッパなんぞに夢中になったのは、指導をした奴が
何か吹き込んだに違いない”ってクレームさ。いいがかりだよね。”
何か吹き込んだって、息しかいれてないぞ!!
だいたい、この間は基礎練習だけだったし、
”さあ、トランペットの世界は素晴らしいぞ”なんて、キラキラ目で
対応もしてない。智春先輩も先輩だ。俺が指導した事は細かく伝えたぞ。
明日は演奏会のあと、セリナちゃんと、居酒屋で夕食の予定
(セリナちゃんにはこれから了解をとるつもりだけど)
俺は、”父母からのクレーム処理なんて、 絶対無理” 自分であらためて確認。
気分が落ち着いたところで、勉強にとりかかった。
でも、演奏会の後、とんでもないことになってしまった。




