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ラッパ吹きの休日  作者: 雪 よしの
音大生 院生時代
13/147

迷惑メール

先生2人、生徒2人のレッスンが終わり、

先生がたに言われたフランセのソナチネの課題は、

セリナちゃんとは2回ほど、丁寧にあわせ練習した。。


2楽章は、比較的、テンポを自由に出来るけど、その自由さ加減は、

セリナちゃんと一緒じゃなきゃいけない。これは、何度も練習。

3楽章は、ジャズのようなリズムで、お互い、リズムが違ってる所が、ポイントかな。


2回目の練習の最後に、セリナちゃんの希望で、ジョリベのコンチェルティーノ、

3楽章だけあわせてみた。

よりによって、一番、難しい楽章を・・・


セリナちゃん、弾き始めるうちに、だんだん厳しい顔になっていった。

それに、テンポが速くなってる。あせってるんだ。”俺の音を聴いて” と

さりげにアイサインを送るが、もうこちらを見ていない。

ピアノだけの演奏の箇所では、腕も体もガチガチだった。


「セリナちゃん、ストップ。ちょっとアセりすぎ。

確かにテンポアップする箇所もあるけど、今の演奏は、アセってるだけに

聴こえた。もっとユックリいくべ」


演奏をとめ、こちらを バツの悪そうな顔で見てる。

「あの、私、ヘンな顔してなかった?怖い顔じゃなかった?」


いや、なぜ、顔にこだわるのかわからないけど、迫力はあった。

真剣さがでてたけど、ヘン顔 ではなかった。

いや、それよりも、音だな。最後のほうは、力みすぎたのか。


俺の正直な感想に

「よかった。普通の顔だったのね。」

って、気にするところは、そこかい!!


「いや、今、演奏をとめたフレーズ。

力みすぎてるのか、音色がいまいちだったきがするんだけどな」


合点がいったようで、そのフレーズを 今度はゆっくり弾いた。

うん、今の音はOKだ。リズムも軽いし、音も響いてる。

まあ、もっと速く弾くべき所だけどさ


「はぁ~ やっぱ、ここが難関。もっと”ゆっくり練習”を繰り返さないと」

セリナちゃん、楽譜を睨みながらの独り言。


「セリナちゃん、なんか、顔がどうのって どういう事?

この間も気になったんだけどさ」

そう言った途端、セリナちゃんは、ギクっと体を縮めて黙り込んだ。

しまった。地雷を踏んだか?俺。

慌てて、フォローしようとすると


「うん、ごめん。今度、時間があるとき話すね。約束する。

さあ、次の順の人が、外で待ってる。早く出ないと」


セリナちゃんが、”約束する”って言った時、こぶしをギュっとにぎってた。

ううm。男の子っぽい。そういう仕草もまたカワイイな。

って、そうじゃないだろ、俺!

きっと、話すのに勇気がいるんだ。さりげに、負担を軽くしてあげないと。


「了解。気が向いたときにでも ね。」

俺は、気長に待つって姿勢で行こう。

持ち物をかたづけないまま、そのまま持って、外に出た。

持ち時間10分オーバー。まずい。10分のぶんの使用料を次の人に渡し、平謝りした。


ー・-・--・-・-・-・--・-・-・-・--・-・-・-・--・

明日は、東フィルの金管メンバーによるアンサンブル演奏会だ。

ふふ。セリナちゃんとは、1時間前にホール近くの公園で、約束。

夕暮れの公園で、ブラブラ散歩するのも、最初のデートっぽくていいだろう。

”僕と付き合って下さい”って、そこでセリナちゃんに言うつもりだ。

少し、緊張するかも。


明日を楽しみに、コンビニ弁当を食べてると、メール着信。

智春先輩からだ。さっそく、開く。ええと・・・エエエエ!

俺は速攻、”絶対無理”と返信した。


智春先輩のメールは

”ごめん、お願いがあるんだ。トランペットの塚田君。本人、自分の楽器が

欲しいと親にねだったんだけど、すごく怒られたって。

それでも、本人、諦めてないし。親からはクレームの電話がくるし。


なんとか、塚田父のほうを、なだめてくれないかい。明日の金管アンサンブル演奏会へ

出向くって。カイトも明日、演奏会へ行くんだろ?

もう、僕じゃ、対応しきれなくて・・。


”息子がこんなにラッパなんぞに夢中になったのは、指導をした奴が

何か吹き込んだに違いない”ってクレームさ。いいがかりだよね。”




何か吹き込んだって、息しかいれてないぞ!!

だいたい、この間は基礎練習だけだったし、

”さあ、トランペットの世界は素晴らしいぞ”なんて、キラキラ目で

対応もしてない。智春先輩も先輩だ。俺が指導した事は細かく伝えたぞ。


明日は演奏会のあと、セリナちゃんと、居酒屋で夕食の予定

(セリナちゃんにはこれから了解をとるつもりだけど)


俺は、”父母からのクレーム処理なんて、 絶対無理” 自分であらためて確認。

気分が落ち着いたところで、勉強にとりかかった。


でも、演奏会の後、とんでもないことになってしまった。





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