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天には地を。地には涙を。  作者: 紫暮 月
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最初の出会い

約5分後、広い校舎だからかなり長かったが、学園長の案内でようやく部屋にたどり着いた。


廊下から扉へ入る。まるで教会の扉のような装飾が施されて、流石学園長の部屋だなと感じさせた。


部屋に入れば、また扉があり、両脇には椅子が並んでいる。通し部屋のようなものか。

その椅子の一つに、男の子が座っている。生徒のようで、制服をだらしなく着ていた。


同い年くらいのその彼は、制服こそだらしないが、綺麗な金色の髪がはねてはいるが、何故だか良い所の息子らしさが伝わってくる。そっぽを向いた横顔は整っており目がとても綺麗な子。


対して、私はくすんだ灰色の髪色で毛先も整えていないし、前髪は伸ばしっぱなしで他人からは目がよく見えないようになっている。

私は自分が好きでない。


彼は学園長を見つけると、目を伏せた。


「……またか、オルダニア」


学園長が呆れたようにつぶやく。常連客なのか。


「この学校、俺には狭すぎます」


「わかっておるわい。さあ、お前も中においで。昼食をまだとってないだろう」


「はい。……そいつは?」


「新入生じゃ」


「この時期に!?」


意味がわからないとばかりに見つめられる。いい気はしないに決まっている。


「まあ、説明はあとだ。まず食べようではないか」


彼からは離れながら学園長の後ろをついていく。それでもなお、視線を感じるから嫌になってしまう。


扉をまた開けると、今度こそ部屋があり見たこともないような立派なものがたくさんあった。

長机から椅子、照明から硝子棚。天井に壁、絨毯。全てに装飾が。

扉の真っ直ぐ前にある大きな窓からは、学園中が見渡せるようになっている。


「良い匂いがするのう。今日の昼食は何か」


学園長の目線の先には給仕のワゴン。今まで村の外れで生活していた私にとってはご馳走だ。


「アリアス、遠慮はいらない。お前は今日からこの学園の生徒であり、我が娘同然である」


「はい、学園長」


「さあ、2人とも座りなさい。美味しい美味しい料理を食べてから話をしよう」




▼▲▼▲




「ご馳走様でした」


何年かぶりに食べたご馳走様は、私の胃袋には勿体ないような気がした。


そして、彼はまだ私を見ていた。


「学園長。俺の話は別にあとでかまわないけど、こいつ一体何者なんですか。人間の臭いがします」


「オルダニア、人間の臭いを嗅いだことがあったのか」


「昔ですけど……なんで人間が?」


「人間と決めつけてはならない。そうだな。お前にも言おう。アリアスは人間界に住んでいた魔女といえば良いだろうか。魔法はちゃんと使える」


「……」


「もしかしたら学園内で10の指に入るほど賢い娘かもしれん」


自慢げに話す学園長だが、少しかいかぶりすぎなような気がする。

私は父を助けられなかったのだから。もし、私がちゃんとした魔女であったのなら……

もしかしたら父の運命は変えられたのかもしれない。


『ちゃんとした』魔女。

魔女では無いと否定していたくせに、私はなんなのだ。魔女としての場所が与えられればくるりと意見を変えて。

父が見ればなんと言うだろう。


「そこで、オルダニア。お前に頼みがある。アリアスをお前の貴重植物幻獣研究観察部に入れて面倒を見てやって欲しい」


「はぁ!?嫌ですよ」


即答で断られた。別にいいけど、そんなにはっきりと……。


「だいたい、学園長だって植獣研部は勧誘活動をしていないって知ってるじゃないですか。新入生はいりません」


「とは言っても、お前は今肩身が狭い思いなのではないか?そのことには目をつむってやろう」


「うっ……」


「それに、アリアスは飲み込みがはやい。しっかり教えてやれば問題はないぞ」


「……わかりましたよ。ただし、入部試験はやりますから」


横目で私を睨み付けながらしぶしぶといったところだが、どうやら私はその貴重植物幻獣研究観察部の入部試験を受けることになったようだ。


「おい新入生」


「は、はい」


「用事が終わったらすぐ第五庭園の第三塔に来い。いいな」


頷くと荒々しく椅子から立ち上がり彼は去っていった。怒らせてしまったようだ。


「……」


「圧倒されておるな。勘違いしないでやっておくれ、ああ見えても根は良い奴でな」


「そうなんですか」


「それはそうと、アリアスには入学手続きをして貰わねばな。制服はそこの箱の中に入っておる。書類を取りに行ってくるから、その間着替えておいてくれ」


「はい、学園長」


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