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EARTH‐MASTER ―篁 葉月編―  作者: 早藤 尚
10/15

PRE:01 春の兆し

「はじめまして〜東海林しょうじ 篤季あつきでっす! 一年間ヨロシク!」

 新年度の教室にやたらとハイテンションな声が響いた。

「よーっす、東海林〜! なにが"ハジメマシテ"だよ、みんな知ってんぜ!」

「東海林ぃ、髪の色戻しちゃったの? 似合ってたのに」

「あ〜わり。またあとでなー」

 入ってくるなり男子にも女子にも囲まれたそいつは、そんなクラスメイト達とはあまり話込まずに真っすぐこっちへやってくる。

 ……真っすぐ、僕のもとへ。

「よう、……久しぶり、たかむら

「………………」

「ハジメマシテ? 篁くん」

「………………」

「そんっなあからさまに"何コイツ?"みたいなカオすんなって」

 苦笑まじりにそう言うと、僕の前の席に勢いよく腰をおろした。

 ……クラス中が僕らを見ている。

「俺東海林篤季っての」

「……知ってる」

「うっそマジ!? 俺はお前のこと知らなかったよ」

「……だから何?」

 ――うさんくさい。

 このやたらと馴れ馴れしい男は、校内でも人気者だから嫌でも名前を覚えずにはいられない。

 でもこいつ本当にうさんくさい……。さっきから微妙に話も噛み合わないし、一体僕に何の用なんだ。

 東海林は眉間に手を当ててしきりになにか言葉を選んでいるようだったが、つと僕に向き直り、

「あ〜、あのな?」

「………」

 意を決した表情で至極真面目にその台詞を放った。


「昼メシ俺と一緒に食わねぇ?」


「…………………はあ?」



 ――とにかく、あいつの第一印象は怪しいことこのうえなかった。何が悲しくて男にナンパされなきゃいけないんだろう。思い返してみるとなんて最悪なんだ。

 それでも、僕があの世界を振り返るときに思い出すのは、……東海林だけなんだ。

 捨てるばかりで何も持たず、何も培わずにいたあの世界で、きっと唯ひとつ、僕の心の引き出しに入っていたもの。

 捨てた世界には未練はないけれど、……そう、出来れば、……またどこかで君に会えることを祈ってみよう。



fin…


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