弟妹
兄弟姉妹の溜まり場は、異世界の定番『冒険者ギルド』の裏庭だ。
此処には俺の姉妹のミケとタマが住んでいる。
因みにトラはトラ縞、ミケは三毛、タマは白灰の二毛で俺が黒白の二毛だ。
一応同じ日に生まれて正確な順番は判らないが俺>ミケ>トラ>タマって感じの兄弟姉妹である。
両親共もう居ない、父親は生まれた時点で既に死んでしまっていたらしく会うことは無かった。
母親は俺達を産んで半年程した頃にある『馬鹿者』に殺されてしまった。
だから俺はこの3匹の兄弟姉妹達を守り抜くと決めている。
そしていつかは母を殺した『馬鹿者』に復讐を遂げたいと願っている。
「ミケー、タマー、居る~?」
溜まり場に着くと早速トラが姉妹達に呼び掛ける。
「なぁに~トラにいちゃ」
これはタマだ、兄妹の中で一番体格が小さく性格もおっとりしている。
耳の先、尻尾の先、足の先、鼻先のみ白く残りは灰の毛並みに覆われた末の妹は冒険者ギルドの看板娘としても知られていて、主に女性冒険者達に可愛がられている。
このポジションは元は俺達の母親のポジションで生活場所を引き継いだ形に成っている。
「ニコと狩りして来たんだ!一緒に食べよぅ!」
「えっ、あっ鳩だ~!ミケおねぇ~ニコにぃちゃとトラにいちゃが鳩捕って来てくれたよ~!」
「…鳩だって!」
ギルドの裏庭にある物置小屋の屋根から飛び降りてきたのがミケだ。
ミケは名前通りの三毛猫で姉御肌のキップの良いさっぱりとした性格をしている。
いつもタマの事を心配してなるべく近くで生活している、冒険者達がタマを抱き上げたりするのを何時もハラハラした表情で見守っている優しい娘だ。
「うん!ニコと一緒に捕って来たんだ!」
「ふん?トラ…兄ぃの邪魔はしてないだろうね?」
「えぇーしてないよぅ~ほらっ僕も一羽捕って来たんだ!」
トラは灰と黒のトラ縞だ、ちょっと食い意地がはってて気が弱い所があるが姉妹想いの良い男だ。
まぁミケにイヂられるのは気の弱さ故に仕方無いのだろうか?
因みにこの裏庭は、冒険者に依ってギルドに運び込まれた魔物の解体等を行う場所でもあるので多少汚してもギルド職員が綺麗に掃除してくれる。
なので俺達は獲物を食い荒らして残骸を残して置いても大丈夫だったりする。
勿論この日も三羽の鳩を四匹で分け毛繕いをし寝床に帰った。