命名
ホーンラビットは全魔物の中では最底辺に属する魔獣だ。
草食性で、多産、身体能力も脆弱と他の魔物どころか普通の獣にも獲物とされる程度の魔物だ。
因みに人族も食べる為に狩る以外に毛皮目的にも狩るの為、本当に搾取されるだけの存在と言えるだろう。
さて、ここで大きな問題が一つ浮かび上がる。
そう、俺が拾ってしまったこのちっこい毛玉は人族にも狙われる存在だと言う事だ。
猫達は大丈夫だ、一応住んでいる街の約八割の猫は俺の部下だし、部下達は俺の実力を知っているから絶対に歯向かう事は無い。
弟妹とクロにこのちっこい毛玉は俺の眷族としたと伝えれば間違っても手出しはしないだろう。
だが人族達は違う、好意的にみてくれる人族も居ないでは無かろうが…基本猫の事等自分達より下の存在だと思っている奴等だ、街中に魔物が居る等と許容出来ない奴など幾らでも居るに違いない。
と、なるとこのちっこい毛玉を守る為には、なりふり構わず奇異の目で観られようが俺の実力を認めさせて、居住権を獲得するしか無いな…(主人公は視野狭窄に成っているので強迫観念に陥っていますby作者)。
前から考えていた件をこの機会に実行に移す時が来たようだ。
しかし、何時までも“ちっこい毛玉”では面倒だな、早い所名前をつけないと…
そう思った俺は何時もの溜まり場に赴き弟妹達にちっこい毛玉を紹介した後に何か良い名前を思い浮かばないか訊ねていた。
「う~ん名前と言われてもね………ケダマじゃ駄目かい?」
ミケ、それじゃ観たまんまだ。
「ニク!ニクが良いよニコ!」
いや流石に其れは無いだろうトラ…旨そうに見えるんだろうな、襲うなよ?
「…タマの義妹……にぃ、にぁ…!!にいちゃ“ニア”にしよう!」
おお、タマは真面目に考えてくれたんだな!
ニア、ニアか良いんでないか?
「そうだ…な、うん“ニア”にするか!」
こうして“ちっこい毛玉”改め“ニア”が俺達の新しい家族になった。