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異世界の生活は原付と共に  作者: 夢見月
第一章 原付「俺様の戦いはこれからだぁ!!」
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原付「お、重い・・・」

「知らない天井だ・・・」


オタクとしてはやはりこのセリフは言わないと駄目だと思う。

時計を確認。朝の七時半。何時もの起床時間、アラームが鳴る数分前。

勝手に眼が覚める場合は頭の回転が速い俺。絶対に言おうと決めていたセリフで朝を迎えた。

どうやら何事も無く朝を迎えれたらしい。夢オチの可能性もこれで完全に消えた。

ベットに腰掛けて体調を一通り確認。

硬いベットで寝たせいで体の所々が痛いけどそれ以外に問題なし。

時々映画鑑賞(という名のアニメ鑑賞)しててそのまま床に転がって寝てしまうことがあるから別にこれくらい気にならない。

魔術の事を思い出したので短い呪文を唱えてみる。


「ライティング」


言葉を発すると小さな光の弾が出現。眩しい朝をさらに眩しく染めて寝起きの目玉に直撃。


「んん!目がぁ~目がぁぁぁ~」


どこの大佐だよと言わんばかりに地味なダメージを受けたが魔術も使える。

一先ず安心して部屋を出た。鳴子が盛大に鳴った。

多少は寝ぼけているみたいだ。

トラップを解除してまずは顔を洗い、歯磨き。

こんなこともあろうかと歯ブラシも鞄にいれてあったのだよ。

本当は時々急な出張に連れ出されるからなんだけどね。

ビジネスホテルならいいけど、訳の分からん民宿の場合歯ブラシすら置いてないってこともあるから用意周到で問題無し。

ただしそのせいで鞄はいつもパンパン。なんちゃって・・・。


寒い。


朝食に硬いパンとコーヒーもどきを食べてから適当にラジオ体操。

これからはデスクワークばっかりの鈍りきった体じゃもたないと思うから少しづつ動かしていかないと。

ついでにストレッチもしてから外に出てみる。

匂いはだいぶましになったけど相変わらずの地獄絵図。

死体をそのままにしてたから野鳥なんかがついばんでいる。

だって葬式の方法が分からなかったんだもん。っと可愛らしく誤魔化してみる。

土葬か火葬かどちらにしても知らない宗教の人におくられたくはないだろうってことにしておく。

本音はめんどくさかっただけ、数にして100弱もの遺体を一人で片付けるってどんな拷問?

ってわけでそのままの状態。

気候が穏やかだから腐臭を放ちだすのも俺が居なくなった後だし、俺はここに来なかった事にするつもりだから死体残しておかないとなにがあったか気づかない可能性もあるしね。

かくして問題を避けて逃げる事なかれ主義の俺は現状放置としたわけだ。

そうそう、宗教で思い出したけど文字は読めないみたい。

教会を漁っていた時本を見つけたわけ、羊皮紙を束ねた奴でいかにも普及してませんよって感じの聖書らしきもの。

開いてみたけど文字はさっぱり。

都合よく意味だけ分かるとかってことはなかった。残念。

チートもそこまで都合よく働いてくれなかったようだ。

ただし、数字は似たようなものが使われていた。

多少アレンジが掛かっているけど読めないことは無いレベル、だから数字関係はどうにか出来そう。

そもそも本に羊皮紙が使われてる時点で識字率は高くないと推察できるから地方の出ってことにしておけば字が読み書きできないことで問題になることはないと思う。

これも街に行ってからの確認事項ってことで脳内メモ帳に記入しておく。

そんなことを考えながら村を歩いていく。

いきなりランニングは辛いから最初はウォーキング。

村の様子を確かめながら村を一周りしてみる。

特に変わった事は無さそうだ。

そう思って町の外、ゴブリンを凍りづけにして砕いた畑まで来ると何かが光った。


「なんだろう・・・」


近づいて見てみると宝石らしきものが落ちていた。

親指の先ほどの小さなコンペイトウのような白く透明な結晶。

辺りを見回すと同じものが五つ。合計六つの結晶を発見。


「魔物倒すと手に入るアイテムとか?換金できるものなのかな・・・」


とりあえず全部拾っておく。村に戻ってゴブリンを倒した地点を見て周ると同様のものを十個見つけた。


「やっぱりゴブリンから出てきてるものなのかな。昨日は気が付かなかったけど・・・」


昨日は家捜し中心だったから視界に入らなかったのかもしれない。

とりあえず見つけたものは全部拾った。

ただし、ファイヤー・アローで半焼きになった二体とゴブキンからは見つからなかった。


「体の中にあるのかな?」


半焼けの一体を魔術で凍りづけにして砕いてみた。氷と混ざって見つけにくかったけど予想通り出てきた。


「これって普通の人はどうするんだろ・・・」


倒したモンスターを掻っ捌いて手を突っ込んで探しているのだろうか、そう思うとちょっと嫌な気分になった。

半焼けの一体は証拠として残しておくとしてゴブキンも同様に砕いてみる。

体が大きくて探すのに苦労すかと思ったが案外すぐに見つかった。


「体に比例してでかいな」


今度は野球ボールくらいの結晶が出てきた。しかも色付き。

黄色というよりは薄い茶色という感じにすこし濁っている。


「価値があればいいけど、どうなんだろ?」


頭をひねって考えても答えがでるわけないので一応持っていくことにする。

適当な袋を家から探して放り込み、ひとまとめにして原付に括り付けた。

これでもう原付は荷物満載、正直なところ載せすぎ。

旅用品も厳選したつもりだったけどかなりの量になっている。

前籠の中、後ろの台の上。座席の下。足元。紐で無理やり括り付けた横両サイド。

道路交通法違反で捕まりそうなレベルまで積んである。

旅慣れしてないからどうしてもアレもコレもとなってしまうから仕方が無い。

俺は原付を村長の家から引っ張り出してガタガタと押しながら村の外までやってきた。

そして少し悩んでからなんとなく一礼してから村を後にした。

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