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異世界の生活は原付と共に  作者: 夢見月
第二章(前半)原付「俺様の退屈で暇な一日」
19/32

原付「お掃除ですか、頑張って下さい・・・って何見てんのよ!」

 馬鹿のおかげでさっき見つけた乗り合い馬車には当然のごとく乗ることが出来なかった。

 そうなると歩いてエアロさんの所に行くしかないわけだが・・・。



 馬鹿は多かった。



 ケンカを売られること2回。

 決闘を挑まれること4回。

 集団で襲われること11回にも及んだ。


 おかげでエアロさんの工房に着いた時は息も上がってバテバテで、逃げ回っただけなのに翼竜戦なみに疲れた・・・。

 武器を向けられたからには俺の信念としてケンカを買ってもよかったのだが・・・。

 この前の翼竜戦で多少は懲りた。

 自分でばら撒いた種は多いけど、調子に乗っても良いことはあまり無いだろう。

 原付のことは今更隠す気は無いとしても俺の『魔術』に関しては当初の予定通りなるべくなら秘匿したい。

 それに大人な俺は多少は自重と言う言葉を知っているのだ。

 本当は金が入るからもう余計な苦労を背負いたく無いってだけだがね。

 そんなわけで全部逃げてきたわけだけど・・・ずっとこの面倒が続くのだろうか?

 そうなるとかなり憂鬱だ。

 何か対策があればいいんだけど・・・。


「大変だったようだね」


 疲れ果てて到着した俺にエアロさんがお茶を振舞ってくれた。

 ふぅ美味しい。一息つけたぜ。

 少し違うけど緑茶のようで心が休まる。

 

「はぁ、どうしてこうも馬鹿が多いのか理解に苦しみます」


 相変らず片付いていない汚い工房。

 埃を手で軽く埃を払っただけの椅子にため息と一緒に腰かける。

 体には痛みがまだ少し残っているのにフルマラソンさせるなんて馬鹿共は俺を殺す気満々だ。

 いや、実際殺しに掛かってるのか?


「あんたがここ最近のなかじゃ一番の有名人だからさ、それに小銭も持ってる。ちょっかいだしたんだろ」


 まだ金は貰ってないけどね。


「できれば美人にちょっかいかけられたいです。もしくはかけたいです」

「はっはっは。もうちょっといい男になったらできるだろうさ」


 うう、どうせイケメンじゃないですよ~だ。


「服は出来てるからそっちで着替えな、あとは今着てる汗臭いボロ、そっちも直すんだろ?それと一緒に金を出せば終わりさね。金は白金貨半枚と金貨28枚だよ」


 汗臭いって酷い!体臭にはけっこう気をつかってるんだぞ!って言っても実際に自分で嗅いでみても汗臭いし汗が湿って冷たい。

 ここはさっさと大人しく着替えさせてもらう。

 しかし渡された服はファスナーやボタンなどの金具類以外は完璧。

 材質だって違うものだろうによくぞここまで再現したと言う代物だ。

 隣の部屋で着替えたが着心地としたらむしろ動きやすくなっている。

 大量生産の既製品じゃない、採寸した俺だけの作業着。

 これなら予定金額より少し高くなろうが全然構いやしない。

 素晴らしい腕に賞賛の嵐。やるなエアロさん。

 穴だらけの服は修繕のため、支払いの白金貨一枚と一緒に渡す。


「これはいい腕に対する投資です。こんど別件で頼むかもしれませんがそのときはよろしくお願いします」

「また面白い仕事をくれるなら歓迎さね」


 ありゃ、あっさり受け取ってくれた。

 自分で出しておいて何だけど、職人だから腕は安く売らないとか何とかで受け取らないかと思ったのに。

 まぁお金あるし仕事頼むかもしれないのはほんとだしね。


 こうしてエアロさんとの用事は済ませたので次はギルドに向かう。

 しかし鐘十二。あと一時間しかない。

 ディスさんの所に寄ってから行きたかったのに午前中馬鹿が多かったせいで予定が狂った。

 ここからギルドまでかなりの距離があるのにさらに飯食いに寄っていたら絶対間に合わない。

 せっかく体力が回復したところだけど走ってでも急がないと。

 そんなわけで道に飛び出すと、好運にも乗り合い馬車が目の前にあったのですぐに乗れた。

 ついでに馬鹿達の襲撃も無かった。

 おかげでってのも変だけどギリギリ鐘一つが鳴る前にギルドに到着することが出来た。

 爺が勝手に決めた時間だけど、やっぱり遅れるのは気分的に嫌だ。

 今日は最初に来たときと同じ表側から。

 受付がある綺麗で広いホール。

 昼の時間だけど結構な数の冒険者がここでたむろしていた。

 中には俺を見ている奴も何人かいやがるが・・・もちろん気にならない。

 他人の視線は俺に突き刺さっているようだが、俺の視線は人間を素通り、ホールの造型に目が行く。

 柱の彫刻とか綺麗だし、ただの手すりとかにも木目に合わせて細かな細工が施されてる。

 屋敷を買うならこんなのもいいかもね。

 いやもうちょっと小ぶりでいいかな。

 客なんか呼ぶつもり無いんだし。

 見栄を張る必要はこれっぽちも無いんだから。

 そんなどうでもいいことを考えながらカウンターに向かうと、そこに居たのはノイン嬢だった。

 手続きカウンター専門ってわけじゃないんだな。

 ノイン嬢は俺に気が付くとすぐに挨拶してきた。


「こんにちはリョウさん。とても大変だったようですね?」


 襲われたことを言っているようだ。

 なんというか耳が早いなぁ。


「ほんと酷い目にあったよ。よってたかってか弱い『魔術師』を苛めるんだから、せめてこっちが準備してからにしてほしいよ」

「そうですよね。ギルドとしては組員同士の揉め事はあまり介入しないのですが、今回ばかりは酷いですね」


 いや、出来れば助けて。

 本気で。


「その件も含めてギルド長がお話してくれるでしょう。ご案内します」

「はい、頼みます」


 ノイン嬢は受付を近くのギルド嬢に頼むと俺を案内してくれた。

 あっさりと交代を済ました所を見ると最初から俺を待っていたのかもしれない。

 そして連れていかれたのは最初に爺と会った豪華な部屋。

 部屋で待っていたのは三人だ。

 爺さんは当然として、いるかも知れないと思っていた思っていたノリドさん。

 そして淡いピンクのドレスに身を包んだフワフワとした雰囲気を出す中年というには少し早いくらいの女性。

 柔らかな笑顔にすこし小じわの乗った目元。

 短い髪が好みと外れて残念だけど、楽しく暖かな話が出来そうな人だ。

 年齢が気になるが許容範囲内だな。

 ちらりと確認だけすませて、促されるままソファーに腰掛ける。

 反対側に座る爺さんは前と同じように威圧感バリバリ!といったことは無く、ほっほっほとか言い出しそうなほどにご機嫌だった。

 孫が回復したんだから、当然といえば当然か。


「呼びさしてスマンの。怪我のほうは大丈夫か?」

「ええ、傷はほとんどふさがっていましたから。それでそちらの方は?」


 爺さんとの会話より女性のほうが気になります。

 俺の質問に答えたのはノリドさん。


「まずは先日の礼をさせて欲しい。娘の病気はすっかり良くなったよ。これも君のおかげだ、本当にありがとう。妻も礼を言いたいというので。ほら」

「妻のリンダです。このたびは娘のために命がけで薬を取っときて下さったそうで。本当にありがとうございます」


 爺さんも合わせて三人が深々と頭を下げる。

 か、勘違いしないでよね、別にあなたたちの為じゃないんだからってのはどうでもよくて。

 なるほど。ノリドさんと比べるとずいぶん若いきがするけど人妻なのか。

 それじゃ手はだせないな。

 実際のところは人妻ってだけで惹かれる要素なんだけど・・・。

 修羅場怖いです。

 慰謝料怖いです。

 そんなわけで駄目ゼッタイ!

 とか麻薬撲滅運動的に標語を頭に浮かべとく。


「娘さんが良くなってよかったです。これからも大切にしてあげてください」


 お金のためです、さっさと報酬よこせ。

 とか色々な内心は営業スマイルという仮面で隠して口から出すのは模範解答。


「もちろんじゃ、大切な孫娘だからの」


 爺がなにやら偉ぶってる・・・。

 テメェ、最初はプライド優先させてただろうが!

 と視線に乗せながらニッコリと笑みで返しておく。

 ノリドさんも爺の脇を肘でつついたのが見えた。

 爺さんは静かに巧みにそれをかわしている。

 まったくこの爺さんは喉もと過ぎれば何とやらのようだ。

 ノリドさんも困った人だと顔を向けていたが、付き合いは長いのですぐに諦めてため息をついた。

 そして爺がなにやら頷いて合図するとノリドさんとリンダさんが立ち上がった。


「それでは、私たちはこれで」

「うむ、良くなったとはいえ、しばらくは側にいてやりなさい」

「はい、それではリョウ殿、失礼します」

 

 そう言ってノリドさんとリンダさんが出て行く。

 礼だけが目的らしい。

 ま、治ったといってもまだ二日も経ってないから心配だろうな。

 二人が出て行ったあと、爺さんが咳払い一つ。

 さっきまでの緩んだ空気が消え去る。

 さてやっと報酬の話か。


「しかし、面倒なことになったの・・・」


 はい?報酬の話じゃないの?


「何のことです?」

「朝からケンカ売られまくっとるそうじゃないか。兵士や市民からは幾つか苦情も上がってきとる」


 ああ、そっちの話。

 それにしても苦情って・・・


「何もしてませんよ。俺は逃げただけで全部あっちが悪いんですから」

「わかっとるよ。しかし、逃げ回るのにわざわざ人ごみに突っ込まんでもよいじゃろ?」


 木を隠すには森の中。

 ってわけじゃないけど、体力も運動能力も無い俺が人から逃げようと思うとそうするしかなかったんだよ。 

 題して『人は壁作戦』

 日本人の人込回避スキル舐めんなよ。


「街中で魔術使うわけにもいかないでしょ?と、いいますか決闘そのものがどうかと思いますけど魔術師に対して前衛職の人間がケンカ売るってどうなんですか?」


 俺としてはこれが一番納得いかない。


「決闘は昔からの伝統じゃからの、今更どうにもできん。互いに武器を持って名乗りあい戦う。これも冒険者が良い仕事を獲るための一種の儀式じゃ。ケンカと違って周りに迷惑はかけんし・・・若造は迷惑をかけたが、殺される覚悟を持って挑むからそれだけにはっきりと自分の力を他人に見せることが出来る。じゃがそれだけにこうも頻繁に起こるもんじゃないんじゃが・・・今のリョウはいい鴨じゃからの。普通は一人で行動する魔導師といえば魔導師ギルドの人間で決闘は魔導師同士が行うもんじゃ。しかし、リョウは冒険者ギルド。単独で行動する魔導師なんぞあまりおらん。おったとしてもたいした腕の無いやつか、パーティに応募中じゃ。実戦でここまでの功績を挙げた一人身の魔導師はリョウが初めてかもしれん。手っ取り早く名を上げたい連中には必然的に狙われるじゃろ」


 ああ、そうですかそういうことですか・・・そりゃ確かに鴨だ。

 ケンカも冒険者ギルド限定なら酔った勢いとかいつものことって感じに流される。

 ユエちゃんみたいに強いパーティーの一員なら仲間が守ってくれるんだろうけど・・・。

 エアロさんの所に行ってからケンカ売られなくなったのも冒険者ギルド街から出て縄張り的に問 題になるからだろうか?

 けど、だからといって今しばらくは色々と金が必要になるから冒険者を辞めるわけにはいかないし。

 相手が油断しているときなら一人ぐらいは酒場でやった喉アタックとかの小技で倒せるけど、あんなふうに警戒バリバリの真正面バトルとなるともう無理だ。

 

「一応俺って二等市民ですよね?それでなんとかなりませんか?」


 裁判云々とかいってたからどうにかならないかな?


「Aランクの一等市民ならさすがに手を出す気も多少は治まるじゃろうが・・・リョウが冒険者でいるうちはたいして意味は無いじゃろ。ケンカが終わった後になら裁判はおこせるがの」


 その時俺は八つ裂きにされているだろう・・・。

 なんか意味がねぇぞ畜生。


「なんとかなりませんかね?これからケンカ売られ続けるって正直ぞっとするんですけど・・・」

「恩があるからのワシとしてもなんとかしてやりたいがの・・・。一人の冒険者を贔屓したとなるとあとあと困るのじゃ。わかってくれ」


 大人だもん、組織に属すること、そのトップでいる意味。

 わかりますがね・・・ほんとわかりますがね・・・。

 でもさ、結構公私混同してるじゃん・・・。

 お孫さんの一件とか・・・。

 まったくもってずるいなぁもう。

 うーん、もういっそのことケンカ買ってふっ飛ばしてやろうか・・・再起不能レベルまで。

 俺にケンカ売った事を後悔させるぐらい・・・。

 手を出すのを躊躇うくらい。

 実際宿屋ではそうだったわけで。

 魔術のことは秘匿したいけど俺の安全が最優先なわけで。

 それになんとか誤魔化す手段はあるわけだし・・・。


「こうなったらケンカ買っちゃ駄目ですかね?翼竜に比べればあんな雑魚共くらいどうとでもできますから。軽く魔術でドカンと」


 一応許可もらっとこう。


「いや、今はまずいの。今回のことで色々な所から目をつけられてしまっとる。いくら二等市民とはいえ街中で魔道具なんか使ったらすぐに捕縛されるぞ」


 えーとそれってつまり八方塞?

 四面楚歌?

 なにこの状況?

 どうしろっていうの?

 せっかく金が手に入ったのに逃げ続けるしかないなんて・・・。

 軽々しく依頼なんか受けなけりゃ良かったんだ!!!

 うう・・・。

 ずーんと沈み込む。

 背後には黒い暗雲が立ち込めている・・・と思う。


「ワシが出来るのは捕縛された時に多少温情をかけてもらうよう口ぞえすることかの。あとは、決闘も代役は認められておるから・・・護衛を雇うか奴隷でも買えという助言じゃだけじゃ。ああ、どこかのパーティへ入るならそこへの推薦状と商人ギルドの紹介はできるかの」


 パーティはパス。

 仲間なんか要らない。

 対等な仲間は面倒だ。

 意見の尊重とか助け合いとか正直そういう煩わしいのはもう嫌なのだ。

 となると護衛か・・・金での関係ってのも判りやすくていいけど、いまいち信用できないんだよね。

 元の世界にいる大統領SPクラスならすぐに依頼するのに・・・。

 すると最後に残った選択肢は奴隷・・・奴隷?


「護衛を雇うのはまぁ考慮に値するとして、奴隷なんか買っても役に立たないんじゃないでか?」


 確か囮くらいにしかならないって誰かが言ってなかったっけ?


「いや、そんなことはないぞ?戦奴隷ならそこそこ腕の立つ奴もおる。敗戦国の騎士団員クラスならギルドのCCCランクくらいの腕はあるからの。忠誠は期待できんが首輪がある以上は逆らわん。貴族には奴隷だけで護衛団を作っておる奴もいるぐらいじゃ」


 ビックリだ。

 その発想は無かった。

 俺の中では奴隷=女は性奴隷、男は労働奴隷だと思ってた。

 そうかそうか、よく考えればそういうやつがいてもおかしくは無いわけだ。

 元の世界では反乱とか起こされるとまずいから奴隷に武器を持たせるのはよくないんだろうけど、この世界じゃ首輪があるおかげで逆らえない・・・ニヤリ。


「そうですか、そうですね、奴隷を買って護衛につけることにします」

「わしとしては護衛を雇う方を押したいが・・・まぁそれも手じゃろ。今から買いに行くなら馬車ぐらいは貸すぞ?ギルドの外に出たらまた襲われるかもしれん」


 ギルドの建物内に居るうちは安全。

 外を出ると道の角ごとで誰かにぶつかるかもしれない。

 それが食パンを口にくわえた女学生さんなら大歓迎なのに。

 さすがにギルド長の馬車にケンカを売る阿呆はいないだろう。


「はい、お願いします。とりあえず、報酬とギルドカードもらえますか?あと魔石の精算もすましたいんですけど」


 先立つ物がなければ始まらない。

 話も終わったことだし金よこせ。


「ああ、わかっとるよ。ノイン」

「はい、すぐにお持ちします」


 今の今まで壁の花と化していたノイン嬢が一礼して退出。

 ほんの数分もせずに戻ってきた。


「こちらがギルドカードと市民カードになります。元のカードはこちらで御引取します。あと白金貨200枚の報酬は魔石を鑑定してから合わせてということで」

「それでいいよ。それじゃこれお願い」


 机の上に鞄からごろごろと魔石を転がす。

 数は二十一個、聖玉草の予備回収分八個。

 それとずいぶん前に村から頂いた宝石数個、すっかり忘れていたからこれも合わせて換金してもらう。


「さすがに数が多いですね。しばらくお待ち下さい」

「わしは、紹介状を書いてくる。あとはまかせるぞ」

「はい」


 爺さんは退出。

 俺は査定状況をぼんやりと眺めて待った。

 それにしてもほんとギルドの職員さんはなんでもできるんだなぁ。

 受付に鑑定に手続き全般。

 奴隷買うのもこれくらい使えるのが欲しい。

 役所の手続き全部やってきてくれるようなの。

 うん。なるべくいいのを買おう。

 そんなどうでもいいことを考えて二十分ほどで査定終了。

 先の報酬と合わせて白金貨230枚ほどになった。

 これで俺の全財産は白金貨約250枚。

 美人な奴隷も豪華な家も買える。

 一等市民権は今回の一件でわかったがあまりメリットがないようなので後回し。

 俺の生存権を確立する強い奴隷さえ買えればもう完璧。

 報酬を受け取った俺はVIP専用出入口に案内された。

 そこで待っていたのは以前乗ったことのある高級黒塗り装飾馬車、これに乗っている限り街中で襲われることはないだろう。


「こちらはギルド長からの紹介状です。奴隷商店への道は御者が知っていますのでご安心下さい」


 見送りにきたノイン嬢から手紙を受け取る。

 しっかりと赤い餅?の様なものの上にマークが押されて封がされた手紙。

 外国映画なんかでよく見かける手紙だけど、これ一つですごく偉くなった気分だ。


「ありがとう。それで爺さんは?」


 一時退出だと思ったのに呼びつけておいて用事終わったあとは見送りにこないなんてちょっとだけ不満。


「申し訳有りません。急の来客があったようでそちらの方に。また宜しくとの言伝を受けています」


 ふーん・・・。

 まぁエライギルド長様だし仕方ないか。

 それに報酬は貰ったからどうでもいいよね。


「そうですか、また依頼があれば・・・俺が暇なとき普通の依頼があれば宜しくといっておいてください」

「ふふふ、わかりました。それではまた」


 俺の返答に少し笑ってからノイン嬢は頷いた。

 挨拶も済んだし、俺は馬車へと乗り込む。

 向かうは奴隷商人の店。


 いい奴隷がいるといいなぁ。


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