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異世界の生活は原付と共に  作者: 夢見月
第一章 原付「俺様の戦いはこれからだぁ!!」
15/32

原付「い、今更何の用よ!!」

ドンドンドン・・・・


「・・・リョウ!起きて!!早く!!」


ドンドンドドン・・・


 朝っぱらから頭に響く音だ。うるさいなぁもう。

 穏やかな寝起きとはほど遠い扉が吹き飛ぶんじゃないかと思うほどのノック・・・これはノックと言っていいんだろうか?

 ぶん殴って扉を破壊するつもりじゃないのか?

 蝶番も壁もミシミシ鳴ってるし、天井から埃が落ちてきてる。

 俺の爽やかな朝は埃と共に訪れたらしい。

 はぁ、まぁそんなことはどうでもよくて、サラが俺を起こしにきたらしい。

 しかも急ぎで。

 ここは期待に答えるべきだろう。


「ただいまリョウは寝ております、御用の方は発信音の後にメッセージをどうぞ。ぴー・・・」

「わけのわかんないこと言ってないで起きて!大変なの!!」


 寝ぼけた頭で考えた朝一番のボケをワケワカメとか言われた。ショックだ。引籠ろう。

 でも、鍵を開けて入ってくるつもりは無いみたいだけど、ここまで五月蝿くされると二度寝することも出来ない。


「わかったよ、すぐ行くから先に行って待ってて」


 とりあえずドアに向けてそう言っておく。


「早く、早くね!!」


 サラはまだ扉の前にいるみたいだけどとりあえずノック攻撃が止まった。

 チャーンス!

 俺は欠伸一つかましてもう一度布団に篭る。


 羊が一匹・・・・・・ 


 羊が二匹・・・・・・


 羊が三匹・・・・・・


 羊が四匹・・・・・・


 羊が五匹・・・・・・


 羊がろっ


「寝るなぁ~~~~!!!」


 ゴンゴンゴンゴン・・・・!!!!


 チッばれたか。

 さっきより音が酷くなった。

 離れた気配がしなかったから、たぶん聞き耳立ててやがったな。

 はぁ、しかたない。

 爆撃音をBGMにのそのそと着替えてドアを開ける。


「遅い!!もう鐘7つよ!!昨日早く起きるって言ったじゃない!!」


 かなりお冠な様子。

 可愛らしいそばかす顔が般若になってるよ。

 それでも愛嬌があるのは変わりないけど。


「善処するって言っただけ、検討するだったか?絶対起きるとは言ってないよ」

「屁理屈言わないの!次からちゃんと起きる事!!わかった?」

「はいはい、わかったことにしなくもないようなそんな雰囲気があったりなかったり」

「あーもぅ!!ちゃんと起きるの!!」

 

 君は牛か?もしくは俺の母さんか?

 ってさすがにからかい過ぎるのは問題なので話を戻す。


「はいはい。わかりました。それで何か用事があったんじゃないの?」

「リョウが変なこと言うからじゃない!ってそんな場合じゃないわ、大変なのよ!!」

「なにが?」


 火事でも起こったのだろうか?

 でも、それなら火事だー!って叫ぶだけで事がすむな。


「だから大変なのよ!ギルド長様が来たの!!」

「うん?」


 ・・・様付けなんだ、文法的におかしくないか?

 ギルド長ってそれ自体が敬称のはずだから、それに様つけるって佐藤様様って言ってるのと同じじゃ・・・。


「止まってないで早く!!」


 サラに腕を掴まれて引き摺られるよう歩き出す。

 せっかく文学的考察に浸っていたのいうのに・・・。


「ここに来てから朝が平穏だったためしが無い」

「それは全部リョウのせいでしょ!?」

「事なかれ主義者で平和主義者の俺が何したってんだ」


 はぁ、ため息が出る。

 かなりブルーな気分になりながら、強制的に連れてこられたのは食堂。

 待っていたいのはマスターにおばさん、ノイン嬢に見知らぬ中年とギルドのクソ爺。

 聞いていたとはいえ、朝から嫌なもの見ちまったよ。

 俺は爺を視界に入れた段階で進行方向をカウンターへと向けて着席。

 爺達に背中を向ける。


「マスター朝食一つ」

「ちょっとリョウ!?」


 サラが俺を咎めるが無視する。

 マスターは何かを感じたのか厨房に入っていった。


「リョウ=ノウマル殿だね。私はノリド=ノート。副ギルド長をしているものだ。話を聞いてもらえないかね?」


 中年男性が声を掛けて来た。

 ギルドの人間らしいけど一応初めての人なので最低限の礼儀は尽くすことにする。


「始めまして副ギルド長。私は『魔術師』リョウ=ノウマルです。すいませんが朝食が済んでいませんのでまた明日にしてください」

 

 カウンターの円椅子を回してペコリと挨拶。

 言い終わったらすぐにくるりと椅子を回してカウンターへと戻る。

 一瞬だけ視界に入った中年、ノリドさんは中々にダンディな渋い声と外見の方で結構いい男だった。

 将来の理想像にしたいくらいだね。

 でもすこし顔色は悪く、頬もこけていた。


「明日ではまた朝食の時間になってしまうよ。そのままでもいいから聞いて欲しい」

「・・・わかりました。聞くだけなら」


 クソ、引っかからなかったな。

 このまま帰ってくれれば楽だったのに。

 俺は振り向くこと無く声だけで了承する。

 今度はサラも何も言わないかった。

 そこにマスターが朝食を持ってきた。

 朝ご飯は昨日と同じシチューとパン。

 サラダは無いみたいだ。


「まずは、昨日父がしたことを謝らせて欲しい、すまない」

「あなたに謝ってもらっても意味はありませんが、とりあえず受け入れます」


 そうか、よく思い出せば苗字が一緒だ、気が付かなかったな。

 ってしまった、聞くだけだったのに反応しちゃったよ。

 しかたないか、ひとまず、水で口を濡らしてからパンを齧る。

 ・・・パンが少し固い。


「昨日父があなたを呼んだのは聖玉草を取りに行って欲しかったからです」

「それはノインさんから聞きました」


 口がパサパサになったのでシチューを頂く。

 色も匂いも昨日と同じ癖に味が全然違う、さらにうまみがましてやがる。

 でもちょっと濃すぎないかな?

 

「そうですか、その理由は聞きましたか?」

「いいえ、誰も言いませんでしたし今となっては興味もありませんから」


 固いパンをシチューを付けて食べてみる。

 固く味もほとんどしないパンに濃いシチューが丁度いい塩梅に染み込んで無茶苦茶うまい。

 なるほど、二つの悪い要素はこのための布石だったのか。

 やるなマスター。


「そうかい、それでも聞いてもらわないといけない。聖玉草はね、ある病気の特効薬になるんだ。珍しい病気なんだが、その薬を飲まないと一週間と持たないんだ」

「・・・まさか週熱病か!?」


 声を上げたのはカウンターの奥にいたマスターだ。

 どうやら知っているらしい。


「そうです・・・。私の娘が二日前の夜にその病にかかりました。それから八方手を尽くしていますが聖玉草は手に入っていません。医者もあと五日の命と・・・」


 なるほどそれで顔色が良くないわけだ。

 娘がそんな病気にかかればそりゃ心配だろうさ。


「どうかお願いです。聖玉草を取ってきて下さい。お願いします」

「嫌です」


 俺は即効で断る。

 俺を除いた全員が息を呑む。

 このパターン前にも無かったっけ?

 時が止まった空間で立ち直りが早かったのはノリドさんだ。


「ど、どうしてですか?」

「理由は幾つもあリますよ、全部言いましょうか?」

「・・・お願いします」


 一瞬の間があったが少し震える声で返事をしたノリドさん。

 ふむ、覚悟はそれなりにあるようだ。

 俺は椅子を回してノリドさん達に向き合ってからすぅっと息を吸い込み口を開いた。


「爺さんが気に入らない俺の大切な魔道具を壊すと言ったのが腹立つ呼びつけたくせにケンカ売ってきたのが笑えるギルドカードも市民カードもよこさなかった脅してきたのも許さないいまだに謝ってもいない聖玉草が何なのかしらない週熱病?知ったことじゃない別の人に頼めめんどくさい朝を邪魔された眠いスープおかわり以上・・・はぁ~」


 吸い込んだ酸素の限界まで一気に捲くし立てたから疲れた。

 一回深呼吸してから空なった皿をサラに渡す。

 反射で受け取ったサラだけど呆気に取られたのか動かない。

 おかわりプリーズ!って喋った内容の最後のほうは関係ないな。


「・・・父はそんなことまで?」


 ノリドさんの声が低くなった。

 サラもマスターも爺を見ている。

 どうやら非難のまなざしが爺に集中しているようだ。

 ザマァ!


「ははは、笑えるだろ?いきなりケンカ吹っかけたんだぜ?俺はありがたく買わせて貰ったというわけだ!副ギルド長には悪いが絶対に受けることは無いね」


 ほんと大爆笑だ!!


「父さん!なぜそんなことしたんだ!!」


 怒ってる怒ってる。

 いやぁ人の怒りってのは怖いねぇ。

 ノリドさんの非難が続く中、ずっと黙っていた爺がやっと声を出した。


「・・・そやつが本当にロードを倒したか聞いただけじゃ」

「はん?あれが人に物を尋ねる態度かどうかお偉いギルド長様はわからないらしいね」

「貴様!!」

「父さん!!」


 俺に杖で殴りかかってきそうだった爺をノリドさんが止めた。

 別に止めなくてもよかったのに。

 せっかくわざと怒らして殴られた所を正当防衛発動してボコってやろうと思ったのに。

 残念残念。


「ノインから聞いたつもりだったが父をかばっていたらしい、本当にすまない」


 ノリドさんが深々と頭を下げる。

 べつに頭下げられてもねぇ?


「最初に言いましたよ、あなたが謝っていも意味がないと」

「ギルドカードも市民カードも私が責任を持ってお渡しします。だから!」

「あなたは所詮副ギルド長でしかないんですよ?トップがNoと言えばそれまでです。話は終わり。ここにいたら俺の魔道具は壊されそうなので別の国に行きます。サラさん達お世話になりました。残りの宿代は好きにしてください」


 言い終わると同時に俺は立ち上がって部屋に足を向ける。

 シチューのお代わりもらってないけどいいや。


「・・・待ってくれ若いの」


 沈黙が部屋を支配する中、背後から爺の声が聞こえた。

 とても小さい声だったから聞こえないフリをしてもよかったが・・・すでに反応してしまった。

 中途半端に立ち止まった俺は振り向いて爺を見る。

 昨日の威圧感はどこへやら年相応の老人がそこにはいた。


「若いの・・・すまない」

 

 爺は小さい体を曲げて頭を下げた。


「ワシは孫のことで頭が一杯になっておった。若いのが部屋に入って一目見たとき覇気も何も無いこんなの奴に孫の命を託さないといけないと思うとワシは自分が情けなくなってしまって八つ当たりしてしまった。本当にすまない」


 ・・・謝る気あるんだろうか?

 そりゃ現代ひ弱っ子代表のオタクを見れば覇気なんかこれっぽっちもありはしないだろうけどさ。

 いや、自分で納得してどうするよ。

 でもまぁ一応プライド高そうな爺が頭下げてるわけだしね。


「ギルドカードと市民カード」


 俺はそれだけを言う。


「ノイン」

「はい」


 爺さんがノイン嬢を読んだ。

 ノイン嬢は二枚のプレートを取り出し俺に渡した。


「こちらのプレートがギルドカード。もう一枚が市民カードです」


 鉄のプレートに文字が彫られているだけに見えるが、色々と魔石を使って情報が入っているんだろう。

 俺はそれをマスターに見せる。


「これ本物ですか?」


 視線の端でギルド組三人が苦い顔をするのが見えた。

 謝ったとはいっても爺さんがあんなだった以上無条件で信用できない。

 マスターはカードを手にとって調べると頷いて返してきた。


「大丈夫だ。問題ない」


 マスターもギルド側と言えなくもないが信用しておこう。

 俺はそれをポケットにしまう。


「爺さん、とりあえず謝罪を受け入れます。孫の大事となれば視野は狭まるでしょう。ただし、二度目は無い。覚えておいてください」

「わかった。若いの、すまなかった」


 俺は出来るだけ冷たい声を出して警告しておく。

 爺さんはそれを聞くともう一度頭を下げた。

 うん、全然許していないがとりあえず心の中にしまって忘れたフリをしておく。

 

「よかった。これで聖玉草を取りに行ってもらえますね」


 ノリドさんがほっとしたようにそう言ったが


「あ、それとこれとは別」


 俺の返事に全員がこけた。

 漫才じゃないんだからそろってこけるなよ。


「これもさっき言ったけど、俺、聖玉草がどんなものか知らないんです。どこに生えてるかも知らない。ちらっと聞いたところによれば他の冒険者全が員断ったそうじゃないですか、そんな危ないの行く気はないですよ」

「ちょっと!今までのやりとりはなんだったのよ!!」


 これはサラだ。


「爺さんが俺にケンカを売ったことに対する謝罪だろ?話としてはマイナスだったものがゼロになっただけ」


 本当はマイナス値が限界突破して顔を見るのさえ嫌、同じ空間にいるだけで気持ち悪い。もう二度と会いたくありません、からマイナス1000ポイント、とりあえず忘れたことにしておいてあげるけど積極的に関わろうとは思いません、くらいになっただけ。

 俺は恨み事に関してはしつこいのさ。

 こけていた爺さんが何かいいたそうだったがそれより早く立ち直ったノリドさんが口を開いた。


「ゼロなんですね、わかりました。説明します」


 いや、だからゼロじゃないってばって、口に出したわけじゃないから仕方ないけど。

 喋りだしたノリドさんの話をまとめるとこんな感じだ。

 近辺に聖玉草を持った人がいないのは情報屋ギルドが言っていた通り、そこであと五日以内で取りにいける場所で聖玉草が生えているのが王都から北に馬を全力で飛ばしまくって約二日行った所にあるノルン山脈。

 その山脈の中腹に極少数だが生えている可能性があるとか。

 その時点でかなり無茶だがそれだけなら他の冒険者も断る理由にならない。

 問題は今の季節その山で翼竜が産卵を行うそうだ。

 他の動物の例に漏れず繁殖期は大変凶暴になるとかで山に慣れたその土地の狩人でさえ入ることは出来ない。

 一匹だけならどれだけ凶暴化していようが上位の冒険者で何とかなるのだかそこには大量の荒ぶる翼竜達・・・。

 ちなみに翼竜のランクはB+。

 ゴブキンより高かったりする。

 つまり、馬を乗り潰す勢いで休憩無しでまる二日走らせ、一日もなく荒ぶる翼竜の中、山を駆けずりまわって聖玉草を見つけてまた二日で戻ってくる。


「無理じゃね?」


 思わず素の言葉が出た。


「爺さんが余計なことしなかったら五日と半日あったのに今はさらに時間は減っていると、しかも五日ってのも病気の進行次第じゃ確実じゃないときてる」


 爺さんが項垂れている。

 最初の威厳はどこに行ってしまったんだと言いたいくらいに完全にただの老人となっている。


「山の麓にある村にあった聖玉草も同様の症状が出た子供に使ってしまったと・・・。もう娘を救うにはあなたを頼るしかないんです」


 テーブルに頭をつけてノリドさんが言った。


「ロード倒せたからって翼竜が倒せるわけじゃないっての・・・」

「ゴブリン・ロード倒せるってリョウって強かったんだね・・・」


 サラが呟いた。


「Cランクの冒険者苛める場面見てただろ?」

「そうだけど、どうも寝起きの様子とか見てるとね」


 確かにそうだ。

 眼鏡の現代ひ弱っ子見てたらそうなるわな。

 ふぅ、できるなら最初の依頼は魔術の練習がてらに簡単なものを受けたい。

 最初からこんなにハードなのは勘弁なのだ。

 それにゴブキンに術が有効だといっても翼竜に効くとは限らない。

 仮に効いたとしても大量に囲まれて全てと戦うことになったら体力が持つかわからない。

 用は魔力切れで肉弾戦でフルボッコは勘弁である。

 ・・・しかし、しかしである。

 もしうまくいったらこれはかなり期待できるんじゃないだろうか?

 これだけ難しい仕事をこなせばかなりの実りが期待できる。

 今後の仕事もやりやすくなるかもしれない。

 もとから失敗して当たり前の依頼。

 危なくなれば逃げればいい。

 無理だと判断すれば時間切れを待ってからワザとと汚れて登場とか。

 最悪そのままバックれる。

 うん。いい手かもしれない。

 そうとなれば。


「・・・報酬は?」

「受けてもらえるのですか!?」


 ノリドさんと爺さんの顔が明るくなる。


「成功を保障できるものじゃないです。分かっていますね?」

「わかっとる。こうなったのもワシが時間を無駄にしたせいもあるからの」


 これだけはしっかりと確認しておかないと。

 それに対して爺さんはしっかりと頷いた。

 これでトップのお墨付きが出た。

 信頼できないが信用しておく。


「報酬は白金貨100枚でどうでしょうか?」

「しろっひゃっく!!」


 ノイドさんが提示した額にサラが無茶苦茶驚いている。

 そりゃ街の住人からしたら多いだろうけど俺からすればまだ足りない。

 一級市民権買ったらそれで終わりだもん。

 俺が上乗せを要求しようとしたとき。


「馬鹿もんが!ワシの孫でもあるんだぞ。間に合ったなら詫びも含めてワシからも100枚だす合わせて白金貨200枚だ!」

「にひゃっ!!きゅう~~~・・・」


 サラがあまりの金額に倒れた。

 慌てて受け止めるおばさん。

 知ったことではないから無視する。

 こういう場合は交渉してさらなる値上げを狙うべきだけど、提示された金額は家も買って奴隷も買える額だから十分かな。

 だから何か別のこと・・・。

 うーん。思い浮かばない。

 俺の貧弱な頭脳が恨めしい。


「そうですね。あと俺が困ったことがあったとき何かしら便宜を図ってください。それほど無茶な要求はするつもりありませんから」


 自分でもどうかと思うあいまいなこの要求に二人は頷いた。


「孫の命の恩人となれば幾らでも」

「私もです」


 よし!そうと決まれば。


「それじゃ準備をしてすぐに出ます。ノルン山脈までの大きな地図と山のどの辺りに生えているかわかる詳細な地図。聖玉草がどんなものなのか分かる詳細な絵とどうやって保存して持って帰ってこればいいか、あとは、翼竜に関する情報を教えてください」

「ノイン聞いたな。地図と絵だ、急げ!!」

「はい!」


 ノイン嬢が宿を飛び出した。

 下っ端は大変だ。


「翼竜についてはワシが話す」


 爺さん翼竜のこと知ってるんだ。へぇ~。

 まぁ仮にもギルド長なら当然か。


「やつらは竜と名前がついておるが実際は骨と皮だけのデカイ鳥だ。翼を広げた大きさはこの部屋程度、爪と牙が強力じゃ。それ以外に鳴き声に注意すればよいが、ドラゴンみたいに火を噴くわけでもないからの、たいしたことは無いじゃろ」


 それでもかなり強敵のようだ。

 部屋の広さはおよそ15~20mくらい。

 大きさからしたら以前航空ショーで見たレプリカの零式艦上戦闘機程度の大きさか。

 かなりの化物だな。


「取ってくる余裕は無いだろうが、爪と牙が売れる。骨も使えん事は無いが安い。魔石はだいたい二等級だったかの」


 ほほう!それはそれはいい情報だ。うまくすれば臨時収入が見込めそうじゃないか。


「わかりました。ありがとうございます」


 俺は礼を言って部屋へと向かおうとしたが、


「ちょいとお待ち」


 今まで完璧に空気だったおばさんが俺を呼び止めた。


「朝方、エアロの下っ端がこれを届けにきたよ」


 オバサンが差し出した袋を受け取る。

 中を覗き込むと入っていたのは俺の作業着だ。

 よっしゃ!ナイスタイミング!!

 これがないと始まらないぜ。

 


 おばさんにも礼を言って今度こそ俺は部屋へと戻った。



次回、主人公舞う!


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