原付「・・・ムニャムニャ、もうオイルは飲めないよ・・・ムニャムニャ・・・」
せっかく王都に入ったのに町並みを楽しもうにも辺りは薄暗い。
当然街灯というのは無い。
中心部、王城あたりはぼんやりと耀いているのがここからでも見えるが、こっちは星明りと各家からもれる明かりだけ。
ううっ、折角の感動が台無しだ。
レンガ造りの建物だけってのはそこそこ見ごたえがあるがやっぱり明るい時、人が賑わっているところを見たい。
こんなジャックでリッパーな人が路地裏から飛び出してきそうな雰囲気なんて最悪だ。
がっくりと肩を落としとぼとぼと原付を押しながら大通りを歩いていく。
かなりブルーな気分でぼんやりとしていた。
しかし、気が付くとちらほらと人が見え出した。
そして顔を上げた道の先。
明かりが見えだし騒がしくなってきた。
さらに歩いていくと一気に明るさが戻った。
おお、これこそファンタジーな世界!
そこは宿屋と酒場に挟まれた大通り。
いつのまにやらイーノが言っていた東街に入ったらしい。
南は静かだったのにここはまだまだこれからって感じだ。
さすが冒険者の街。あちこちから喧騒が聞こえ色とりどりの明かりがあふれている。
店が勝手にランプを設置しまくったんだろう。
そのランプも油式のランプじゃなくて魔石が使われているようだ。
さすがその他のギルド街でもある。
魔導師が作って設置しまくったのかもしれない。
酒場からは酔っ払いどもの叫びや、吟遊詩人の歌声。
怒声やケンカを煽る声なんかも聞こえる。そして、そして様々な人種があふれている!
くぅ~~~感動だ。
金髪の美形の尖り耳な奴、二足歩行のトカゲ顔、真っ黒ローブ、ちっこいひげ面おっさん、犬顔、猫顔、黒い顔、白い顔、蒼い顔に緑の顔。
ファンタジック!!
道の真ん中で立ち止まってる俺を変な顔で見て行く奴もいるけどまったく気にならないさ!!
これこそ異世界!
これこそファンタジー!!
ああ、これを見れただけでも異世界に来てよかった・・・。
しばらく感動に震えてから動き出す。
明日からもこの世界は続くんだ。
今は休むための宿屋を見つけないと。
きょろきょろと明らかな田舎物丸出しスタイルで道を歩いていく。
目移りしそうなものばかりだったが目的の宿屋はすぐに見つかった。
ここら辺の建物は全て四階建てのレンガ造りだけどその宿屋は横に広く周りの店より結構大きかった。扉の上に吊るされている看板はデフォルメされたベットの上に装飾のされた細長い三角。
恐らくここが『鞘の置き場亭』だと思う。
一階はどの宿屋も酒場をやっているみたいで扉越しでも騒がしい。
部屋があるか心配になるが入ってみる。
かなり大きい扉をよっこらしょっと開けると熱気とアルコール臭が一気に押し寄せた。
軽くめがねが曇る。
数秒で視界が戻ると丸いテーブルとカウンターに幾人もの『冒険者』が座り各々が飲み食いしている。
そして会話や料理を口に運びながら、はいってきた俺に探るような視線をしっかりと向けてくる。
まるで物理的圧力に変わったように集中して痛い。
こういう場合どうすればいいんだ?
なれてなくて混乱して入り口で立ち止まっていると両手に料理を持った20歳くらいの女性が近づいてきた。
「お客さんだよね?『鞘の置き場亭』にようこそ。そんなところで立ち止まってないで入って入って!!」
ウェイトレスのようだ、エプロンも何も来ていないただの街娘といった衣装で判らなかった。
しかしオーバーアクションで俺を中へと促したが料理が落ちることがない、プロだ。
「おっとすまない。道具が引っかかってね。こいつを入れれる部屋空いてるかい?」
そう言ってわざとらしく原付押しながら中に入れて聞く。
「うっわ、おっきな魔道具。お兄さん丁度よかったね、今日丁度一階の部屋が空いたんだよ。夜と朝ご飯付きで一日半銀貨一枚と銅貨25枚だけどどうする?」
「それはよかった。それで頼むよ」
「わかったちょっと待ってて、マスター!一階の鍵~!!」
カウンターの先、厨房に声をかけるとウェイトレスは料理をテーブルに届けて戻ってきた。
「宿帳に名前書いて、あと泊まりは何時まで?」
さすが酒場と宿屋をやるだけあって愛想がとてもいい。
顔にちょっとそばかすがあるがそれもチャーミングなアクセントとなっている。
ちょっと見惚れてしまった。
「お兄さん、そんなに顔見つめられると私の顔に穴が開いちゃうよ?」
「おっとすまない、穴が開くほどみていたくらいにチャーミングだったからね」
「うはぁ、くさいなぁ。でも、のりが良いね。だけどもうちょっとうまい返しを期待したなぁ」
そう言ってクスっと小さく笑う。
悪い評価ではないみたいだ。
しばらく世話になるつもりだから仲良くするにこしたことはない。
「厳しいな~。それで宿帳に書くんだったね。悪いけど代筆頼めないかな?」
「あら?お兄さん魔導師なのに字が書けないとは珍しいね、代筆は銅貨2枚ね」
知識を持つ魔導師が書けないのはやっぱり違和感があるらしい。
しかしどうしたところで書けないのは書けない。おれはポケットから半金貨を出す。
「これで宿代と一緒に。泊まる期間は未定だから足りなくなったら言ってくれ。名前はリョウ=ノウマル」
「りょう・・のうまるっと。半金貨ね、これだけ前払いしてくれると助かるよ。65日分で貰っとく。あとの残りは料理に期待して」
ウインクされた。
顔に似合っていて可愛らしい。
さすが商売人、表情の使い方をわかってる。
それに暗算も速い。ぱっと言われて判らなかった。
これで確証が持てたが銅貨もやはり100枚で銀貨に繰り上がるようだ。
「宜しく。それでここを紹介されたから飯は期待したいな」
「まかせられました。それじゃこっち、付いてきて。マスター、しばらくお願い!!」
結構広い所だがひとりでホールをやっているのかとちょっと心配になったが、階段から女性一人と厨房の中からおばさんが料理をもって出てきた。
そりゃそうだな。こんなに大きいのに一人ってありえないな。
そんなどうでもいいことを考えながら付いていく。
部屋は酒場の奥、井戸のある中庭を渡り廊下で抜けた先の離れ一階だった。
離れといっても作りは本館と一緒でしっかりした物だ。
「ここが部屋ね。井戸は好きに使って。お湯が必要なら言ってくれれば準備するよ、ただしちょっとなら良いけど体洗う量が必要なら銅貨5枚もらうわ。あとは鍵ね。これが部屋の、もう一つが中に置いてる宝箱のね。私達が入って掃除するとき貴重品はそこに入れといてね、さすがにそのおっきな魔道具は入らないけど。部屋に入られたくない場合は言ってくれたらそうするよ。換えのシーツとかは扉の前においとくから。あとトイレはあっちね。質問は?」
慣れた様子で一気に言われたが充分理解できた。
もっと環境が悪いと思ったけど予想よりよかった。
問題は風呂だけ。日本人としては辛いが今後何とかしよう。
「別にないよ。ありがとう」
お礼を言ったら女性は困った顔をした。
「うーん、お兄さん魔導師にしては変わってるね。冒険者って感じもしないし」
人差し指をあごの下に当てながら首を傾げる。
ぶりっ子っぽいが似合っていてかわいいから許す。
「旅は初めてなんだ。明日にでもギルドで登録しようと思ってる。変わり者って言われるのもいつもだよ。師匠のところにずっといたから世間を知らないのさ」
その嘘に納得したように頷いた。
「そっか、だからあんな所で立ち止まったんだね。他のお客さんがピリピリしちゃったよ。私との軽口に付き合ったから大丈夫だったけど・・・。でももしかしたらだからがんばってね?」
なにやら励まされた。
「どういうこと?」
「ん?察しが良さそうと思ったけどわかんない?魔導師だけど、初めて見る顔の不慣れな冒険者がここに一人、ね」
そこまで言われて察しが付いた。
腕試しされるかもしれないということだ。
うっわメンドクサイ!
「そんなに好戦的か・・・。酒も入ってたし、そうなるのか・・・はぁ」
「大きな町だから知らない人がいるのは当然だけど同じ宿に泊まると気になって手を出してくるみたい、私としては店に被害さえなければどうでもいいけどね」
「ひどいなぁ、助けてくれないの?」
「冒険者同士のケンカは年中行事。そんなのにいちいち手を貸してられないよ。だからがんばってって言ったの」
そういうものだろうか。
理解できるがこちらとしてはたまったもんじゃない。
いっそ料理を運んでもらって引きこもろうかと思ったが、こそこそするのは好きじゃない。
こっちも金を払った客だ。
普通にする分には遠慮しない。
「わかった。なんとかするよ。被害が出ないようにもする」
「適当にお酒奢っちゃうってのも手だからね。私もその方がうれしいし」
「無駄に金を使うつもりはないさ。ふぅ、さてと、片付けたら酒場に行くよ。その前に一つ。君の名前は?」
俺の問いかけに女性はきょとんとした後にこりと笑って言った。
「私はここの看板娘でサラよ。サラ=ウエルトン。宜しくねお兄さん」
「ああ、よろしく。お腹すいたからさっさとご飯をだべに行きましょう!」
「おお!」
俺の気合入れに一緒に乗ってくれた。
さすが酒場の看板娘。
サラ嬢は待ってるよ。と笑顔と供に残して酒場に戻った。
俺は部屋に入り荷物を片付ける。
ポケットに入れたままの白金貨と原付座席下の貴重品、魔石も宝箱に入れて鍵をかける。
ついでに原付用のチェーンも巻いておいた。
食料品はとりあえずそのまま。
明日どうにかしよう。
あとはこまごまとした道具品を纏めて終了。
パチンと頬を叩いて気合を入れてから酒場に向かった。
さっきよりもなんとなく酔いが深まった雰囲気のある酒場。
さてどこに座ろうかとくるりと見回すとサラ嬢がカウンターを指してくれた。
一人だけの客は俺だけみたいでカウンターには他に人がいなかった。
「すぐに料理出すから待ってて、お酒はどうする?」
「おまり得意じゃなくてね。何かアルコールの入ってないもの頼むよ」
「わかったわ」
サラ嬢の返答は一つのテーブルから起った笑いかぶさってほとんど聞こえなかった。
「がぁはっはっはっはっは!、酒も飲めねぇってよ!ここは何時からガキが来るようになったんだろうナァ?」
もじゃもじゃ髭のもじゃもじゃ髪の臭そうなおっさんが同じ席の奴に同意を求めるように囃し立てた。
「まったくですねぇ、兄貴。しかも魔導師ですぜぇ」
「なよなよとして女みていな野郎だ」
「がぁはっはっは!」
何がおかしいのか爆笑している。
完全に盗賊のボスとそれの取り巻きA、Bである。
いや冒険者なんだろうけどむさい体に毛皮で出来た防具類が山賊のように見せている。
もしくは原始人。
汚らしい姿が目に入ると料理が不味くなりそうなので完全無視で視界にも入れない。
俺はカウンターにぐったりと頬をついて力を抜いて料理が来るまで休む。
雰囲気から周りの客も面白がっているのがわかる。
「魔導師なんて変な踊りを踊るしか能がない頭でっかちだ、そうか、女みたいになよなよして踊って誘ってやがったんだな」
「きっとそうですよ兄貴!」
「まったく変な連中ですな」
またしても爆笑。
俺は完全無視。
そこにサラ嬢がちょっと不安そうに料理を持ってきた。
料理の匂いに吊られて俺は顔をあげる。
「これ、本日のオススメの牛肉の炒めもの。多めにしといたわ。あとはパンとサラダ。お酒は駄目みたいだから牛のミルクね」
「ありがとう」
サラ嬢がそれをおいて厨房に戻ると、さらに大爆笑が起った。
「聞いたかよミルクだってよ!!」
「完全に赤ん坊だぜ」
「ママのミルクが恋し~ってか?」
牛乳なんて久しぶりだ。
向こうだと気が向いた時しか買わなかったから一年ぶりに飲むかもしれない。
とりあえず一口。
ちゃんと冷えていてうまい。
乾いてた喉にはぴったりだ。
パンも柔らかくてしっかりした小麦の味。
混ぜ物とかはないみたいだ。
「ひゃっひゃっひゃ、ミルク飲んで完全にガキじゃねぇか」
そういえば普通に牛って聞こえたけど、俺の知っている牛と同じなのかな?
「これだけ言われても兄貴が怖くて何もいえないんですぜ、本当に玉無しなんでしょ」
肉もうまい!香辛料がきいていて野菜のうまみとマッチしてすばらしい。肉の触感は牛だけど料理の腕がいいのか確信がもてないほど柔らかくてうまい!
「ちげぇねぇ!がっはっはっはっは!!」
なまじ言葉が通じるだけに同じものか不安になったけどこれだけうまければどうでもいいや。
「さっきの魔道具だってよ、あんな馬鹿でかいのは初めて見たぜ、きっと腕だってだいしたことなんだろ」
サラダも青々としていて新鮮。
普段ならドレッシングが嫌いでポン酢をかけて食べるけど、このドレッシングはあっさりしていてとても好みだ。
「おい!聞いてるのかよ!!」
最初は量が多くてちょっと食べきれるか不安だったけどこれならあっさりと食べ切れそうだ。
箸がすすむすすむ、あ、箸じゃなくてナイフとフォークね。
「おい無視するな!!」
ああ、うまい。二月分払う価値があったよ。これなら安心して泊まれる。
「テメェ、いい加減にしやがれ!!」
兄貴と呼ばれていた男がいつのまにやら近づいて来てた。
そして俺の胸倉をつかんで立ち上がらせる。
身長差が有るせいで俺は爪先立ち。おっさんの身長は2mくらいか?
「おわいきなりなにするんですか」
「テメェ馬鹿にしやがって棒読みで驚いてんじゃねぇぞ!さっきから話しかけてりゃ無視しやがって!!」
料理が食べられない。
暖かいうちに食べちゃいたいのに・・・。
「話しかけてた?誰が?」
「俺がだよ!!」
「そうなんですか?」
「そうだよ!!」
「まさか!?先ほどから騒がしいと思っていましたが酔っ払いかキッチッガッイ!のたわごとなど耳に入れる必要もありませんから聞きながしてましたよ」
キチガイの所を強調してみました。
酔っ払いにしては頭おかしそうだったんだもん。
ああ髭もじゃの顔が蛸のように真っ赤に茹であがっていく。
不味そうだ。
おれはたこは刺身が一番好き。二番目はたこ焼き。
「て、て、て、てめぇ!!!!!!!!」
怒りがマックスになった髭もじゃが腕を振りかぶった。
殴られるのは嫌い。
俺は俺を傷つける存在を許さない。
だから正当防衛発動。
いちいち振りかぶってくれたお陰で動きが遅い。
逆手に持ち替えていたナイフをしっかりと握り込む。
そしてその手を髭もじゃから見えない位置から顎下に持っていき全力で前に突く。
「ぐふぅっっっ!!!!」
喉仏を突かれた髭もじゃが咳き込んで手を離した。
うわ、ちょっとツバがかかった。
気持ち悪い。
周りからは髭もじゃの体が影になって、俺が何をやったか見えず、いきなり咳き込んだように見えたはずだ。
見えたとしたらカウンターの中、セラ嬢とマスターとか言われてたおっさんだけ。
その人たちに見られたところでどうということはない。
ちなみにこの方法はカラテと柔道の有段者の家の兄から教わった方法。
胸倉をつかまれた際の対処法として金的を蹴り上げるよりよほど有効だとか。
初めてだけどうまくいった。
「いきなり咳き込むなんて病弱ですね。まぁそれだけ不衛生にしていたら当然でしょう。匂いも肥溜めの方がましってくらい臭いし!臭いし!!臭いし!!!」
俺的にこれが一番許せない。
せっかくのおいしい料理の匂いが台無しだ。
髭もじゃはまだ膝を突いてゲホゲホやってる。
靴にツバが付いたらどうしてくれる。
「テメェ!兄貴に何しやがった!!」
取り巻きAが騒ぐ。
俺は持ちて部分とはいえ汚れたナイフを床に捨ててフォークだけで食事を続ける。
ああ、肉がうまい!
てか、Aよ、騒ぐ前に髭もじゃ助けにこいよ、テーブルで騒いでないでさ。
「さぁなんのことですか?その人がいきなり咳き込んだだけです。臭いのでこれをさっさとどっかにやってください。あっ、サラさん、ナイフを落としてしまいました、新しいのと水でぬらしたタオルもらえませんか?」
気がつけば周りは静かになっていた。
しかし気にせず俺は食事を続ける。
呆然と俺を見ていたサラ嬢だったが俺の言葉に頷いて厨房へと入り5秒でタオルとナイフを持って出てきた。
「・・・見た目と違ってえげつない事するわね」
「さて、なんのことですか?」
渡されたタオルと一緒に小さく言われたがすっとぼけておく。
サラ嬢はちょっと苦笑いを浮かべたがすぐに離れた。
周りはいたって平穏、俺が肉を食べる音と髭もじゃの咳き込む声だけがする。
タオルで顔と手を拭いて4度ほど口に肉を運んでいると、やっと髭もじゃが起き上がった。
「ゲホッ!!て、テェっつヒュゥー、グフォ!コろ!ゲホっ!!」
顔は鼻水と涙と唾液でぐちゃぐちゃ。
立ち上がってはいるが何を言ってるのかわからない。
日本語でOK。
「私には男色の気はありませんから離れてもらえませんか?ついでにさっきも言いましたが臭いです」
「ウガァァァァァーーーーーーーーーー!!!!」
俺の声が聞こえたのか髭もじゃが喉の痛みを無視して獣のごとく叫んだ。
そして腰に挿していた剣に手をかけた。
第二段階。正当防衛発動。
「シャドウスナイプ」
俺は早口でつむいだ呪文を手に持っていたナイフと供に静かに放つ。
ナイフは狙いたがわず髭もじゃの影と床を射止めた。
剣が完全に抜かれた状態。
俺に切りつける数十センチ手前で停止。
顔を真っ赤にした髭もじゃは汚い顔を驚愕に染めて俺を見ていた。
「そんなに見つめられても男色の気はないと言ってるでしょう?もう、気分が悪いです。サラさん、料理を部屋に持って帰って食べてもいいですか?」
俺のそんな提案に呆然としていたサラ嬢は頭をぶんぶん振って許可してくれた。
俺はさっさと両手に料理を持って歩き出す。
「お、おい、まて!」
取り巻きBが制止の声をかけるが首だけむいて答える。
「あなた達も清潔にした方がいいですよ。じゃないとその人みたいに咳き込んだり、今みたいにギックリ腰で動けなくなりますから」
さらに、声をかけてこようとするが完全無視。
早足で部屋へと戻った。
せっかくの料理だったがほとんど冷めてしまっていた。
食べ物の恨みは深い、殺しとくべきだったかな?
食べ終えてからぼんやりとそんなことを考えたが、急に眠気が襲ってきた。
お腹がいっぱいになったのと旅の疲れが出たらしい。
扉に簡単な警報トラップを仕掛けて俺はベットにもぐり布団にくるまった。
村長の家より柔らかいベットはすぐさま俺を眠りに誘った。