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『追放された掃除屋の俺、全自動の「洗浄結界」を張ったら聖域が爆誕した。〜ボロボロの女騎士を洗ったら神話級の英雄に覚醒したんだが、俺はただの清掃員なんだが?〜』  作者: ジキルぅ
第3章:魔海浄化と人魚の涙編

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第32話:人魚の姫はシャンプーが苦手? リト、海底の「ぬめり」に挑む。

「……あ、あの。あなたが、この海を『白く』してくださったのですか?」

 おずおずと水面から顔を出したのは、人魚族の王女、セリナだった。

 彼女の美しい金髪は、先ほどまでの汚泥のせいでベタつき、鱗の間には不気味な黒い寄生虫(魔物の幼体)が入り込んでいた。

「白く、っていうか、本来の色に戻しただけだよ。……君、その身体、すごく重いんじゃない? 寄生虫が魔力を吸ってるみたいだ」

 リトは優しく微笑むと、人魚の王女に手を差し出した。

 アルテミスが背後で「……リト様、人魚の肌は大変滑りやすいですので、この私が代わりに支えましょう」と、鋼鉄の握力で介入しようとしたが、リトは「大丈夫だよ」と軽く流した。

「セリナさん、ちょっと失礼するね。……【局所・高圧・除菌ミスト】」

 リトが指先から放ったのは、霧状になった超高純度の洗浄魔力。

 それがセリナの鱗に触れた瞬間、潜んでいた黒い寄生虫たちが「ギェェェッ!」と悲鳴を上げて一斉に剥がれ落ち、海中でそのまま浄化されて消えた。

「はぁ……っ! 身体が……羽が生えたみたいに軽い……っ!」

 セリナが水面で跳ねる。彼女の尾びれは、リトの洗浄によってエメラルド色の輝きを取り戻し、周囲にキラキラとした飛沫を撒き散らした。

「でも、本当の問題は海底なんだ。……セリナさん、海底に『魔力のヘドロ』が堆積してるでしょ? あれを放置しておくと、またすぐ海が汚れちゃうんだ」

「はい……。海底には、数千年前の魔大戦で沈んだ魔王軍の軍船や、死んだ海獣の死骸が腐って、巨大な『ぬめりの層』になっているのです。……私たちは、もうそこには近づけません」

「なるほど。……なら、潜って『大掃除』をしないとね」

 リトの言葉に、同行していた女性陣が反応した。

「海底……。リト様と、密閉された空間で……二人きり、いえ、多人数で潜水……。……ふふ、リト様の撥水結界の中で、肌を寄せ合うのですね?」

 アルテミスの目が、怪しく光る。

「リト、私、水泳は得意よ。……王室のプライベートビーチで鍛えた私の泳ぎ、間近で見せてあげるわ」

 フラウレルムも負けじと、いつの間にか用意していた「魔力透け防止」の競泳水着(のような魔法衣)を披露した。

「……じゃあ、みんなで行こうか。……【全自動・洗浄・潜水結界:バブル・ドーム】」

 リトが指を鳴らすと、一行を包み込む巨大な透明な泡が出現した。

 その泡は、外からの圧力を完全に無効化するだけでなく、内部の空気を常に「森林浴レベル」の清浄さに保つという、リト特製の移動式クリーンルームだった。

 一行は、人魚のセリナに導かれ、未知の深海へと沈んでいく。

 目指すは海底三千メートル。そこには、世界で最も「掃除のしがいがある」地獄が待っていた。

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