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『追放された掃除屋の俺、全自動の「洗浄結界」を張ったら聖域が爆誕した。〜ボロボロの女騎士を洗ったら神話級の英雄に覚醒したんだが、俺はただの清掃員なんだが?〜』  作者: ジキルぅ
第2章:異端審問と真・聖女認定編

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25/28

第25話:黒い後光の少女「ネフィリム」。汚れを愛でる反・聖女。

 漆黒の光輪を背負い、静かに佇む少女。

 彼女の名はネフィリム。教会の極秘記録にのみ記された、神の「影」を宿して生まれた存在――いわば「不浄の聖女」であった。

 リトが「原初の泥」を剥ぎ取り、回廊を清浄にしたことで、彼女を封印していた「闇の調和」が崩れ、彼女は目覚めてしまったのだ。

「ネフィリム……。まさか、実在したなんて」

 エルナが震える声で呟く。教会の伝承では、彼女は世界の汚れを一手に引き受けるための「生け贄」として、地下深くで永遠の眠りにつかされたはずだった。

「あら、エルナ。今の代の聖女様かしら? ……ずいぶん、白っぽいわね。まるで洗いたてのシーツみたい。……でも、シーツって汚れやすいのよね」

 ネフィリムが指をパチンと鳴らすと、リトがせっかく磨き上げた回廊の壁に、不気味な「シミ」がじわりと広がった。それはカビのようでもあり、あるいは誰かの恨み節のようでもあった。

「あ。……せっかく、さっきスクレイパーで仕上げたのに」

 リトが少しだけ頬を膨らませる。彼にとって、この少女の行動は明確な「清掃妨害」だった。

「ねえ、掃除屋さん。あなた、汚れを『悪』だと思ってるんでしょ? でも、汚れがあるからこそ、光は際立つのよ。……私は、この世界を『最高のビンテージ』にしてあげたいの。……埃とカビにまみれた、歴史の重みを感じる世界にね」

 ネフィリムが両手を広げると、彼女の背後から「深淵の墨」が溢れ出し、リトたちを飲み込もうとする。

 それは先ほどのマルドゥクの泥とは違い、もっと知的で、侵食性の高い汚れ。リトの撥水結界すらも、少しずつ「染まって」いくような感覚。

「リト様、危ない!」

 アルテミスが前に出るが、ネフィリムの影が彼女の足を掴む。

「騎士様も、その輝く鎧が曇っていくのを見るのは辛いかしら? でも、その曇りこそが、あなたの『愛の重さ』なのよ」

「……黙れ、不浄の娘。私のリト様への愛を、汚れ扱いするなど……!」

 アルテミスは必死に抵抗するが、ネフィリムの影は彼女の心に眠る「リトを独占したいというドロドロした感情」を刺激し、物理的な重みに変換していく。

「……うーん。ビンテージ、か」

 リトは、迫りくる影をじっと観察していた。

「いい考え方だけど、ネフィリムさん。……ビンテージっていうのは、ちゃんと手入れを続けて、その上で残った『艶』のことを言うんだよ。……君がやってるのは、ただの『放置』だ」

 リトがバケツから、見たこともない透明な液体を取り出した。

 それは、教皇や王女から贈られた数々の高純度魔石を、リトが自ら「溶剤」として煮詰め、抽出した究極の洗浄液――『エターナル・シャイン・ウォーター』。

「放置された汚れは、ただのゴミだよ。……今から、君のその『黒い後光』ごと、ピカピカに洗い流してあげる」

 リトがその液体を、自らの箒に浸した。

 戦いは、ついに「聖女」と「反・聖女」、そして「掃除屋」の三巴へと発展していく。

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