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『追放された掃除屋の俺、全自動の「洗浄結界」を張ったら聖域が爆誕した。〜ボロボロの女騎士を洗ったら神話級の英雄に覚醒したんだが、俺はただの清掃員なんだが?〜』  作者: ジキルぅ
第2章:異端審問と真・聖女認定編

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第23話:地下千年の闇「隠蔽の回廊」。消臭できない「過去の罪」。

 逃走したマルドゥクを追い、リト一行は大聖堂のさらに下、教会の公的な記録にも存在しない『隠蔽の回廊』へと足を踏み入れた。

 そこは、歴代の教会指導者たちが「不都合な真実」を文字通り「投げ捨てて」きた場所だった。

「……う。ここは、これまでの場所とは訳が違うわ」

 フラウレルム王女が、鼻にハンカチを当てて顔を顰める。

 彼女の潔癖な感覚が、この空間に充満する「腐敗」を敏感に察知していた。

 そこには、かつて異端として処刑された者たちの遺品、不正を記した帳簿の残骸、そして人々の信仰心を裏切って蓄えられた禁断の秘宝が、うず高く積み上げられ、腐っていた。

 それらが発する瘴気は、もはやガスのような物理的なものではなく、「絶望」そのものが空気中に結晶化している状態だった。

「リト様、ここは……。教会の、本当の影です」

 エルナが悲しげに呟く。聖女として光の中を歩いてきた彼女にとって、この足元の泥はあまりに重く、暗い。

「……うん。これは確かに、手強いね」

 リトの表情も、いつになく真剣だった。

 彼の「清掃眼」に映るのは、単なるゴミの山ではない。数千年分の「嘘」が重なり合い、地層のように定着してしまった『概念の頑固汚れ』だ。

「アルテミスさん、王女様。ここから先は、僕が一人で行くよ。……ここにある汚れは、吸い込むと『自分を信じられなくなる』毒を持ってるから」

「何を仰るのです、リト様! 貴公が泥の中を行くなら、私はその足場となる盾になりましょう!」

 アルテミスがリトの手を強く握る。その献身的な眼差しが、リトの周囲に微かな光を灯す。

「大丈夫だよ、アルテミスさん。……こういうときはね、『中から』洗うんじゃなくて、『外から』一気に浸透させるんだ」

 リトがバケツを置き、深呼吸をする。

 彼は自らの魔力を「酸素」と「洗浄剤」の混合体へと変換し、それを肺いっぱいに溜め込んだ。

「【大規模展開:超音波・酸素漂白ソニック・オキシ・ブリーチ】!!」

 リトが叫ぶと同時に、不可視の振動波が回廊全体を駆け抜けた。

 それは、壁の一枚一枚、ゴミのひと欠片ひと欠片に潜む「嘘」の分子を揺らし、剥離させるための衝撃。

 ガガガガガッ……!

 回廊が鳴動する。

 積み上げられた遺品や帳簿から、黒い「嘘の煤」が剥がれ落ちていく。

 リトは休まず、さらに「聖水ミスト」を全方位へ噴射した。

「嘘はね、隠そうとするから臭うんだ。……全部さらけ出して、日光に当ててあげれば、ただの『古い紙』や『鉄くず』に戻るんだよ」

 リトの洗浄波動が、回廊の最深部へと浸透していく。

 すると、どうだろうか。

 あれほど不気味だった瘴気が、リトの「超音波」によって細かく分解され、キラキラとした光の粒子へと変わっていく。

 腐っていた帳簿からはインクの染みが消え、そこには隠されていた真実の記録が、真っ白な紙の上に整然と浮かび上がった。

「見て! 回廊の壁が……透き通っていくわ!」

 フラウレルムが驚愕の声を上げた。

 泥にまみれていた壁面からは、教会の創始者が本来抱いていた「純粋な祈り」の壁画が、数千年ぶりにその色鮮やかな姿を現したのだ。

 だが、その壁画の奥から、再びマルドゥクの声が響いた。

「……無駄だ、掃除屋。この回廊の底には、我が教会の創始者が封印した『原初なる不浄』……すなわち、神が世界を創る際に切り捨てた『泥』が眠っている。……それを今、解き放つ!」

 回廊の最深部の床が割れ、そこから、この世のすべての色を飲み込むような「真の闇」が溢れ出してきた。

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