ギルド登録と太陽の子
――――――とても永い眠りについていた気がする...
おそらく一瞬の出来事であるが、眠気が吹っ切れとても心地よい。
目もよくなっているみたいだ。それは体が異世界転生に伴い、完全に新しくなったことを指している。
「あーそうだ俺、異世界転生したんだっけ。」
目を開いたときに見える、長い耳やごつごつした筋肉、宝石が装飾されてある杖に異世界転生を実感したように口走る。
それぞれエルフ、ドワーフ、魔法使い職といったところか。
自分の服装は転生前に自分が着ていた、真っ黒なパーカーと使い古されたジーンズ。
転生前に考えていた心配事が杞憂なのか確認するために急いで水面を探す。
「あれ、噴水だよな?」
現実世界では絶対に見ることができない規模の水の芸術に目を奪われる。
思い出したかのように水面を確認して、自分の姿を確認する。
「うん。想像してたのとは違うけどこれはこれであり。」
水面には白く長い髪、雪のような肌、エメラルドグリーンの目が映る。
ちょっとかっこいい系を予想していたがこういうお嬢様系(?)の姿もなかなかに行けるのだなと自認した。
「さて、冒険者ギルドを探しますか。」
自称神の話によると、この世界には各種ギルドというものがあるらしい。
そして、推測するに、この噴水の持ち主であろうこの建物だろうが...
「かっこいいけど...入るのに勇気が必要ともとれる。」
そう。想像以上に装飾などのレベルがハルが入るのに適してない。
しかし、異世界に来ることができたのなら冒険者になってみたいというのがオタク脳の持ち主の宿命。
理性と欲望で天秤にかけ、その天秤が欲望の方に傾き始める。
それと同時に、ハルは勇気をもって歩き出した。
さっき水面で確認したところ、姿はかなりの美少女(ハル基準)だったが、人々の反応は思ったより薄い。
なんというか、「なんか人が入ってきた程度」である。
まあさっき見た感じ顔が整ってるやつはたくさんいたしそんなもんだろう。
「こんにちは!今日はどんな用事でしょうか。」
いきなり話しかけられちょっとビクッとする。
どうやら受付の近くまで来ていたようだ。
「冒険者登録をしたいです。」
「わかりました。では、ギルド登録料10000エルをいただきます。」
ん?そんなお金もらってないぞ?
てゆうか登録料でそんなとられるとかホントに冒険者流行ってんの?
「お金持ってないんですけど。」
え。という言葉と共に流れる沈黙の空気。
当然である。ギルド登録しに来たのに登録料を持っていない。しかもたった1000エルなのに。
「あ、では、あちらに換金エリアあります。そこでお金を借りることができるので、そこで手続きをお願いします。」
早速出鼻がくじかれた。まあハローワークで登録料がないところなんてないもんな。と納得しつつ、最低限のお金くらい用意しとけよ。と不満を募らせる。
そして換金所でお金を借りた後また受付まで行かないといけない不親切設計。
「では、ギルドカードを作らせていただきます。」
歓声とともにギルドカードが作られ始める。
新人がギルドカードを作るときに歓声を上げるのは慣例らしい。
ギルドカードを包んでいた光が消え、はっきりと文字がわかるようになり、受付嬢がそれを見る。
「あ...太陽の子ですか...」
その言葉とともにかわいそうなものを見るような目でハルを見る受付嬢。
そして神による説明できちんと話を聞いており、その意味を知っているハル自身もまた驚愕とか絶望とかを超えて、哀愁漂う顔をしていた。
「まじ、ですか...」
この世界でいう太陽の子とは誉め言葉ではない。
この世界では魔力の源を月光としている。そして月の反対とは。
そう、太陽だ。つまり、太陽の子とは非魔力保有者のことを指す。
「とりあえず、ギルド登録は完了しました。では、あちらの掲示板に依頼票が張ってあるのでギルドカードを重ねることで依頼を受注してください。では、ご健闘をお祈り申し上げます。」
まじか。




